2025年7月23日(水)19:00〜21:30 ふ印ラボ定例ゼミ第49回Zoomミーティング
【要約】(敬称略)
冒頭、定例ゼミ参加者相互の緩やかな関係づくりでは7月20日(日)に投開票がなされた参議院選挙について選挙結果や政治状況についての意見が交わされた。藤原惠洋は参議院選挙の結果と参政党の台頭について意見交換を提唱。具体例として大分県の状況を伝えた。山田修は日本の政治状況が信じられないと述べたうえで社民党候補の選挙活動について言及、一方、外国人労働者の年金制度に焦点を当て社会的な理解不足があることを説明。契約期間中は年金と社会保険を払っているが、国に帰るときに一時金をもらってから年金受給資格から除外されることを述べた。
松浪榮は自然資本主義や公益資本主義の概念について関心を示す中、新たな民主主義のあり方を示した政党があった、それはチームみらいであり、その手法と新しい民主主義の思想について感想を述べた。一方、花生直樹は参政党の躍進と戦前的なイメージについて懸念を表明、むしろ大切な地域の伝統や自然の関係を取り違えては行けない、と話した。岩井千華は小山市での選挙の結果と投票者の動向について分析。若い世代が政治に興味を示さない理由は権力闘争が見えるからだと指摘した。藤原旅人はSNSの活用と選挙の不透明性について言及した。河村一郎は地元が保守王国の山口だからこそ国民を欺き続けた自民党が大敗したことがクリアに見えると指摘、日々無農薬でのイネづくりには草取りが欠かせない、手仕事で草を取り除くことについて意義を語った。
藤原馨は定例ゼミスタート直前先ほどまで国東シュタイナー学校のオンライン会議に参加していたことを報告、選挙について自民党は大敗したが表面的な問題が多すぎる、薬害エイズ犠牲者を代表し参院に出ていた候補が落選したことが残念だったと述べた。日本の教育システムが政治への関心を育成していないことについて懸念を表明、子どもたちが選挙に無関心である現状を痛感すると加えた。
あらためて藤原惠洋は主権者教育の重要性について議論すべきと訴え、チームみらいがAIを活用した政策に焦点を当てていることに注目しうると言及。松浪さんは家庭と学校での政治教育の必要性について同意、チームみらいが地域イベントで住民の声を集める取り組みを行っていることを説明した。選挙中の関税問題について、政治家が選挙のために都合の良い言葉を使うが、実際の関税詳細は示さないことが問題、と指摘した。松浪は最後に、ガンジーの「魂の言葉」の一節を読み上げた。
【輪講】宮本常一・ガンジーを読みながら考えたこと
九州豪雨と地域対策
松浪は、2017年九州北部の集中豪雨について東峰村での経験を共有し、8時間で743ミリという記録的な雨で小石原焼の窯や建物が流され、地域の伝統と自然の関係について話した。松浪は、地域の知恵として江戸時代から続く岩屋神社での鹿の肉の塩漬け保存食の利用や、神社の建物が洪水で流されたものの、石の建造物は流されなかったことについて説明した。藤原惠洋は線状降水帯の概念について説明し、山や森林の荒廃と植生の保水力の重要性について言及。2017年九州北部の集中豪雨被災後、東峰村や周辺エリアが失った日田彦山線への哀愁を憂えた。
対馬文化と合意形成の議論
宮本常一の生涯をテーマにした話題を提起し五島列島や対馬の文化について議論した。藤原旅人は宮本常一「忘れられた日本人」に記された対馬の村の寄り合いについて感想を共有した。松浪は長時間の合意形成プロセスが重要であると同意した。藤原惠洋は戦後日本社会を席巻する多数決のみに委ねた民主主義の限界について言及。身近な暮らしの中での問題を例に挙げ、国政へ地方自治へ主権者としての市民国民が自立的に関わっていくコンヴィヴィアリティ(自立共生)かつ包括的な熟議の必要性を強調した。
フィリピン山岳部生活と文化
山田はフィリピンの山岳部イフガオでの半年間の生活体験を通して、住民の強い自立性とコミュニティの統一性を体得したと説明した。藤原惠洋はイフガオの見事な棚田(世界文化遺産)を残す農村地域コミュニティと地元出身の映画監督キッドラット・タヒミックについて言及、山田は高床住居や伝統的な稲穂先の保存方法について詳しく説明した。岩井は民主主義と共通善の概念について議論、戦後の日本の経済中心の思想とマーケティング戦略の影響について懸念を表明した。
公益資本主義は可能か?
藤原惠洋は、北九州市で残せなかった明治期初代門司駅関連遺構保存問題時に生じた行政の態度、市民の声を聞くことなく開発を先導した際の新自由主義的政策について花尾さんと共感しあった。一方、藤原惠洋は球磨川氾濫時に大きく被災した肥薩線は熊本県の肝煎りで保存されることになった経緯を紹介、「鉄道は文化」という観点を取り戻すべきだと主張した。松浪は再度「公益資本主義」という概念について説明、原丈人氏が提唱したこの考え方は、企業の目的を株主利益の最大化ではなく、従業員、顧客、地域社会、環境など多様な利害関係への利益還元に置くものだと述べた。
阿蘇の水再生プロジェクト報告
さらに松浪は、神戸大学を中心としたバイオファンドリプロジェクトや大阪大学での交易資本主義の実装について説明、先日の島谷幸宏氏との対話で「ネイチャーポジティブ」という概念について学んだと述べた。松浪は、熊本県立大学の特別教授である島谷が阿蘇の外輪山を流れる黒川と白川の水を用いて、加藤清正が500年前に実施した同様の水の回復プロジェクトを再現していることを説明。松浪榮は、年間500,000,000円、10年間で5,000,000,000円のプロジェクトが国と民間の協力で進められていることを報告し、これが自然資本主義の考え方の実例であると述べた。
TSMC投資と水資源管理
藤原惠洋は松浪へ加藤清正が建設した灌漑システムの歴史と現在の水資源の重要性について質問、TSMC工場の誘致に伴う4760億円の政府投資があったことをどう考えるか、科学技術振興機構の大型プロジェクトや熊本県立大学との連携について問うた。松浪は島谷氏はTSMCが莫大な水と電力を使用することを前提に研究を展開しているだろうと説明した。藤原惠洋は、さらに熊本県が始めた太陽光パネルの規制について言及、阿蘇は世界文化遺産を目指すから水と光の資源を適切に管理することの重要性を強調、一方で巨大な太陽光パネルを表土に広げてしまう矛盾をどう考えれば良いのか、と指摘した。
資本主義と平和への考察
松浪レジュメを元に、松浪は資本主義の変遷について振り返り、自然資本主義への関心を共有した。最後に、花生が愛読する毎日新聞が徹底した参政党問題へフォーカスを当てながら展開した選挙報道に触れ、他の新聞メディアはどうだったのか、と質問、山田と藤原旅人がTBSの報道特集や朝日新聞の社説へ共感を示した。岩井は人類が平和な時代に恵まれたことへの疑問を提起し、藤原馨はガンジーの著作から「人間の体は宇宙のミニチュアである」という考えに感銘を受けたと強調した。
次回ゼミは8月13日午後7時〜開催。
【次回ゼミまでの宿題】
- 松浪: チームみらいの政策手法やプルラリティの思想について、さらに調査し情報共有する。
- 河村: 田んぼの草取り作業の効率化について新しい技術や方法を探る。
- 松浪榮: 地域の歴史や伝統的な知恵を活用した防災・減災策について調査し、提案をまとめる。
- 岩井: 若者に対し政治が生活の延長線上にあることを伝える教育方法を考案する。
- 藤原惠洋・馨: 五島列島を訪問、島社会の独自文化について調査する。
- 藤原惠洋: 選挙制度について複数候補者に投票できるシステムの可能性を検討する。
- 山田: イフガオの伝統的な暮らしと自治システムについて、さらに詳しい情報を収集する。
- 岩井: 「共通善」の概念について、日本社会での適用可能性を研究する。
- 全員: 宮本常一の手法を参考に、地域社会のエピソードを収集し、共有する。日常生活の中で興味深いエピソードや「マチネタ」を収集し、共有する。
- 全員: 原丈人氏YouTube動画を視聴し、公益資本主義について学習する。
- 全員: 若者の政治参加を促進するための教育や啓発活動について検討。主権者教育や政治参加の重要性について議論を継続する。選挙や政治に関する情報を批判的に分析し、ファクトチェックを行う習慣を身につける。
- 全員: 次回の選挙に向けて、政党や候補者の政策をより深く理解し、批判的に分析する方法を考える。
- 全員: 地域社会での対話や交流を促進し、政治や社会問題について議論する機会を増やす。
- 松浪榮: 次回のゼミで公益資本主義と自然資本主義についてさらに詳しく説明する。
- 全員: TSMCの熊本進出と地下水利用について、持続可能な共存方法を検討する。
- 全員: 阿蘇地域の太陽光パネル設置と世界遺産登録の問題について議論を深める。
- 花生: 選挙報道に関する良質な情報源を引き続き探す。
- 山田: TBS「報道特集」や立教大学砂川ゼミによるシンポジウムの動画を視聴する。
- 藤原旅人: 自然の資本化についてのメリットとデメリットを考察する。
- 藤原馨: ガンジーやシュタイナーなどの先人の言葉を継続して学び、自身の思考に取り入れる。
- 全員: ローカルコミュニティの活性化について考え、アイデアを共有する。


































