ふ印ラボ第48回定例ゼミ遠隔ミーティング要約:AI+藤原惠洋 2025/06/25 |
[簡単な要約] 冒頭緩やかな関係づくりでは、忙中閑ありよろしく雨中閑あり、ならば何をする?という問い立てに参加者は自由に日常生活や個人的な取り組みを語りあった中、けっこう暇なし、が多かったようです。教育システムや若者のレジリエンス、そして市民と行政の対話に関する議論が行われました。リフキン著『レジリエンスの時代』講読の感想を松浪榮さんが総括、自然と人間の関係や教育の在り方について意見交換がなされました。花生直樹さんはマッキンゼー主義とも言える新自由主義時代の桎梏をどう乗り越えられるか、をChatGPTを駆使して示唆を得ながら、主権者教育の重要性や市民参加型の合意形成プロセスについて話し合いを展開しました。さらに世代間対話の促進や若者の政治参加を促す方法についても議論を重ねました。最後には次回以降の輪講対象書籍を推薦しあい、若い世代を招き入れながら持続可能な本ゼミの在り方が検討されました。 |
【詳しい内容】(敬称略)
緩やかな関係づくり
会議では梅雨の長雨の中だからこそ生まれる時間を生かした活動や個人的な取り組みを語り合った。進行役の藤原はユートピア思想に関する文献をじっくりと読み直している。山田は税金を避けるために物々交換や贈与の形で交流を行っている。花生は家の周りの庭の手入れに時間を費やしながらも日本の古代の文化的ルーツについて関心があるので文献を漁っている。松浪榮はお嬢さんが営むフルーレ従業員研修をしっかり行なった。河村は天候を見ながらの田植えの進捗状況と天候の影響について報告、さらに地動説を題材にしたアニメと、サヘルローズの著書について感想を述べた。一方、岩井は忙しいスケジュールの状況とそこで与えられた俳句の課題について。藤原旅人は暇がない中、朝4時から起きて大切な時間にしていることの習慣について。藤原馨は言語学に関する本を読んでいることを共有し、言葉の響きの重要性について。
リフキン『レジリエンスの時代』輪講の総括・感想
司会役藤原惠洋は『レジリエンスの時代』を読んだ感想や気づきを共有するよう促す。松浪がリフキン『レジリエンスの時代』についての感想を報告、自然と人間の関係、自然の再融合、そしてゲーテ的自然観の再評価に焦点を当てた。そこから意見交換を展開、リフキンの考えが既存の環境論を超えて人間の意識の変革を促す哲学的な呼びかけであることを強調。またヨーロッパの教育システムでゲーテ的自然観がどのように取り入れられているかについても議論し、色彩論や自然との共感的な関係性の重要性を強調しあった。
教育と資本主義のバランス
加えて教育と資本主義のバランスについても議論を重ねた。藤原馨は資本主義の必要性を認めつつ、それに囚われすぎることの問題点を指摘、バランスの重要性を強調する。松浪は、効率を重視するテイラー主義が教育に与える影響について言及し、手段と目的の混同を警告する。山田は、全人教育の重要性を指摘し、若者が思春期に必要な経験や読書の時間が奪われていることへの懸念を表明。
戦争への感情を客体化することの是非
岩井は、自分が主催する短大授業で学生に本を選んでもらう課題を実施し、戦争をテーマにした本を選んだ学生の反応について議論の素材を提起。学生が戦争の感情を客体化しすぎているのではないか、そして教育の目的は将来の自分ごととしてではなく、当事者意識として捉えることであると考えたことを共有しました。岩井はまた、教育実習の経験についても話し、学生が感情を表現するためにワークブックを使用することについて懸念を表明。
教育における共感の役割
教育方法の変化と教科書の進化について議論を深めた。藤原旅人は最近の教科書にワークが組み込まれていることを指摘し、岩井は教師の負担が増加していることを説明。また藤原惠洋は沖縄戦を題材にした慰霊祭での小学生の発表について共感の重要性を強調し、山田は米倉作品を通じて自己批判の観点から共感を考察。教育における共感の役割と、子供たちに適切な経験を提供することの重要性についても活発に意見を交換しあった。
若者レジリエンスの教育的欠如
加えて、若い世代のレジリエンスと自立性の欠如について議論し、特に教育システムの影響を強調しあった。若い世代が自分たちの考えや意見を表現することに慣れていないこと、そして教育システムが個人的な意見を尊重することに焦点を当てていなかったことを指摘。また、若い世代が社会の変化に対して危機感を感じていないこと、そして親の世話に頼る傾向についても議論した。若い世代のレジリエンスを向上させるために教育システムが改善する必要があることを結論づけた。
市民主権を守る粘り強さ
花生がマッキンゼー式の考え方に対する批判と新自由主義に影響された行政側を住民側の思いに近づけるための方策についてChatGPTを用いて得られた成果を説明。対話の方法として論破ではなく橋を架けることの重要性を強調し、行政との対話における5つの原則(相手のKPIを理解する、個人的感情ではなく集合的事実で語る、共通課題として問いを立てる、市民のストーリーを活用する、代案を持って臨む)を提示した。最後に、粘り強い市民力の重要性と市民が公共の主権者であることを強調した。
対話の場で提案する方法
さらに花生は、行政と市民の間の建設的な対話のためのツールを紹介し、対話の場で使えるフレーズ集、ワークショップ用の提案テンプレート、そして対話の場で使えるワークショップ形式の提案シートを含めた。提案の目的を明確にし、共感を示し、誤解を避けることの重要性を強調。また、提案のテーマ、具体的な声、提案内容、期待される効果、そして行政への要望を含む提案テンプレートの構造についても説明。最後に、対話を構築することで実質的な影響力を持つこと、そして継続的に使える市民の自治スキルを高める機会を提供することの重要性を強調して締めくくった。
ChatGPTによる対話の価値
花生がChatGPTを用いて対話の価値観やギャップの克服について探究、藤原惠洋はその取り組みを評価した。岩井と花生が主権者教育の重要性について議論し、若者だけでなく全世代の主権者意識の醸成が必要だと指摘。藤原旅人はチャットGPTの実用的な使用方法を学び、ふ印ラボで議論されてきた共感型ガバナンスや市民協働の概念がAIにも反映されていることに気づいたという。
市民の権力と主権
藤原惠洋は大牟田市役所本庁舎保存に関するワークショップの成果を共有したいと提案、みずから率いた市民参加型の合意形成プロセスについて説明した。花生と藤原旅人はAIを活用した調査結果について議論し、岩井は市民の意見を議会に反映させる方法について質問した。市民運動の重要性と、政治的な力を持つために必要な行動について意見交換。最後に、藤原惠洋は社会全体の再生=レジリエンスにおける主権者としての市民の役割の重要性を強調した。
世代対話と主権者教育
藤原惠洋は、20代の参加者を招き、宮本常一の著作を読み直すことを提案、世代間の対話を促進したいと述べる。さらに主権者教育の重要性や、若者の政治参加を促す方法について議論した。
次回の会合7月分は7月9日と23日、8月には50回目の節目を迎える予定。
【宿題】
松浪榮: スタッフ研修で使用した「まっすぐ理論」の内容を他のメンバーと共有する。
松浪榮: レジリエンスの時代における教育の目的を再考し、効率性と全人教育のバランスを検討する。
全員: ゲーテ的自然観やアニミズム的世界観について、現代の教育や社会にどう取り入れるか議論を継続する。
岩井千華: 学生に対して、戦争や他者の苦しみに対する共感性を育む教育方法を検討する。全員: 次回の会議で、リフキンの「レジリエンスの時代」の結論部分について更に深く議論する。
藤原馨:シュタイナー教育の色彩論と現代の教育環境デザインの関連性について、具体例を調査し共有する。
岩井千華: 教育実習生の指導方法について、ワークブックの使用を減らし、生徒との対話や意見交換を増やす方法を検討する。
藤原惠洋: 若い世代に対して、選挙参加の重要性や一票の意味について、より分かりやすく伝える方法を考える。
藤原旅人: ダイバーシティオンジャーツプロジェクトの受講者層を拡大し、20代30代の参加を促進する方策を検討する。
全員: レジリエンスの概念を若い世代にも理解しやすく伝える方法について議論を続ける。
岩井千華: 学生たちの自立心や社会への危機感を育てる教育方法について研究を進める。花生直樹: マッキンゼー主義に対する反論をさらに深めるため、チャットGPTを活用して調査を継続する。
岩井千華: 主権者教育の重要性について、具体的な提案を考える。
藤原旅人: ソーシャルキャピタルの可視化と地域コミュニティの信頼・絆を政策評価に加える方法を検討する。
藤原惠洋: 大牟田市役所本庁舎保存のワークショップの経験を活かし、市民参加型の取り組みをさらに推進する。
全員: チャットGPTの効果的な活用方法について、互いの経験を共有し学び合う。
全員: 推薦する本とその内容について考え、次回のミーティングで共有する