20250611 19:05〜21:50 ふ印ラボ定例ゼミ第46回
ミーティング要約: 惠洋 藤原のパーソナルミーティングルーム (2025/06/11) |
[要約] ジェレミー・リフキン『レジリエンスの時代』輪講を経て、派生的な観点から市民参加と政治、経営哲学、社会問題について幅広い議論が行われた。メンバーは、地域のガバナンス、企業の経営方式、そして個人のレジリエンスに関する様々な視点を共有し、特にトヨタ生産方式やアメーバ経営などの日本型経営手法の人間中心の哲学に注目した。また、市民参加型のまちづくりや予算公開の取り組み、少子高齢化問題、そしてGDPに現れない価値の重要性など、現代社会が直面する課題についても意見が交わされた。
ゼミナール概要(敬称略) ◉市民の主権と議会の傍聴 藤原惠洋は大分県から帰ってきた後、中山間地域が多い地域社会は行政サービスが行き届かないため市民も自己責任でまかなわねばならない営みが多い。もしくは諦め放擲しおまかせ民主主義となりがちだ。その際、あらためて市民の主権者としての役割について深く考えざるをえない。松浪榮は娘さんの貸し工房のスタッフ研修準備と日本イノベーション融合学会での発表準備について語り、両方の課題に対して熟考している。ゼミ開始の緩やかな関係づくりでは、参加メンバーは、最近頭を使って深く考えた経験についてお互いに話し合った。 ウェブ小作人による社会の評価 山田修は最近の社会現象について考察し、ウェブ小作人としてのユーザーの立場や、過度な民主主義、批判精神の欠如などの問題点を指摘する。藤原惠洋はこの意見に同意した。花生直樹は季節の変化に応じた活動や観察について話題を提供した。岩井千華も会話に参加し、グループは最近深く考えたことについて議論を続ける。 世界の不安定な時代への対応 藤原馨が最近の経験について、ドイツから来た友人や国東のシュタイナー学校での活動を通じて、世界中の政治的不安定さと人間育成の重要性について考えたことを共有する。彼女は、レジリエンスの時代の最終章で述べられている「生命愛意識の高まり」と自然との一体感を取り戻すことの重要性を強調し、これらの考えに基づいて行動することの必要性を感じている。 ユートピア論と直感的生き方 河村一郎は日頃より直感で生きている、と述べ、熟慮することは少ないと吐露した。最近「歴史とユートピア」という本を読み始めており、その中でユートピアの実現可能性について疑問を投げかけた。藤原惠洋はこの話題を受け、ディストピア論や建築文化における廃墟志向について言及、熟慮に関する問いかけが個人の生き方を反映すると述べる。さらには京都大学を中心とした最近10年間のレジリエンス研究会活動について最近知った。
ゼミチュートリアル「人間中心の経営方式の可能性」 花生直樹は、マッキンゼーのような大手戦略コンサルティング会社の新自由主義的アプローチと比較して、トヨタ生産方式(TPS)や京セラのアメーバ経営の人間中心の哲学についてChatGPTwp用いて深掘りしてみたと説明。これらの日本型経営手法は、現場主義、全員参加型の改善文化、人財育成を重視し、単なる効率化ではなく働く人のやりがいや尊厳を守る枠組みを提供すると強調。花生は、これらの方式を教育、介護、行政サービスなどの非製造業分野にも適用できる可能性を示唆し、人間中心の経営を再評価すべき時代であると結論付ける。 市民中心の行政運営 また花生は、マッキンゼイ型の行政運営に対する対抗手段について議論し、市民中心・参加型のガバナンスを提案。共感型・参加型ガバナンス、パブリックコモンズ、対話型リーダーシップなどの具体的な執行や理論を紹介し、市民と行政の協働や対話の重要性を強調した。また花生は稲盛和夫の「敬天愛人」の経営哲学や、人間の成長を軸にする論理観の必要性についても言及した。 チャットgptの市民参加 花生と藤原惠洋は、北九州市の文字駅保存運動における市民参加の不足と、新自由主義的な行政に対する懸念を示した。また大牟田市庁舎保存運動での市民ワークショップの取り組みについて共有し、花生はその視察を計画していることを伝える。 トヨタ生産方式の特徴 松浪はマッキンゼー方式を「狩猟方式」、アメーバ経営を「稲作方式」と比喩し、キリンビールでのM&A経験を共有した。藤原惠洋はトヨタ自動車の工場見学での経験を語り、トヨタ生産方式の特徴や非正規雇用の柔軟性について述べた。松浪氏はトヨタウェイの5つの基本理念(チャレンジ、改善、チームワーク、リスペクト、現地現物)を紹介し、トヨタの経営哲学について説明した。 現地現物対面解決の重要性 松浪がトヨタの人事担当部長との対話を通じて学んだ「現地現物対面解決」の重要性について説明し、社宅での問題解決方法を例に挙げた。これに対し山田氏と岩井氏が企業による私生活への介入や女性の自主性の抑制といった懸念を表明。松浪はトヨタの方針は社員に限定されており、家族には徹底されていないと補足説明。 図書館運営の市民意見 藤原惠洋と岩井は、市民参加のまちづくりと図書館運営における市民の意見反映の難しさについて議論した。岩井は市民参加の制度があっても、知識や経験の差により、実際の政策反映が困難であることを指摘。藤原惠洋はワークショップの経験から、人々との関係構築の重要性を強調し、岩井のスキル向上の必要性を示唆する。 中国の伝統思想の学び 藤原惠洋は組織化の重要性と、ニセコ町の予算公開の取り組みについて説明。岩井千華は市民の予算への関心の必要性に同意した。惠洋は大分県での農作業体験を共有し、松浪はアルスザントークでの中国人水墨画家との対話から、空き家の価値観の違いと中国の伝統思想の学びについて報告した。 次回ゼミは6月25日水曜日の夜に予定。 社会問題とレジリエンスについて さらに社会問題や個人のレジリエンス、農業活動、そして生産性に関する議論が行われた。岩井は少子高齢化問題について言及し、河村は個人のレジリエンスを高める重要性を強調した。花生は多神教の思想と仏教の役割について新聞記事を引用し、松浪氏は日本生産性本部の新会長の抱負を紹介し、GDPに現れない価値の重要性を指摘した。 |
次のステップです。
- 藤原惠洋: 議会傍聴の結果について仲間と情報共有を継続する。
- 松浪: 6月24日の糸島の貸し工房フルーレのスタッフ研修を実施する。
- 松浪: 7月5日の日本イノベーション融合学会での発表準備を進める。
- 山田修: 基礎文献からの学習を深める。
- 花生: 日本古代史の探求を継続し、歴史教科書の見直しに向けて研究を進める。
- 藤原惠洋: レジリエンスに関する先行研究のレビューを行い、日本社会でのレジリエンスの捉え方を整理する。
- 全員: 日々の暮らしの中でのレジリエンスについて振り返り、自分の行動にどう反映させるか考える。
- 全員: 未来に向けてのレジリエンスについて議論を深める。
- 全員: リフキンの「レジリエンスの時代」を読んだ経験を踏まえ、世の中に対してどのようなレジリエンスの力を提供できるか検討する。
- 全員: 定例ゼミの今後の継続方法について意見を出し合う。
- 藤原惠洋: 今冬インド滞在中の定例ゼミの運営方法について検討する。
- 花生: マッキンゼー型とトヨタ生産方式の比較資料を参加者全員にメールで送付する。
- 全員: 市民参加型のガバナンスや対話型リーダーシップの手法について学び、実践方法を検討する。
- 全員: 地域コミュニティとの対話や市民参加の機会を増やす方法を考案する。
- 藤原惠洋: 大牟田市庁舎保存運動のワークショップ経験を共有し、他の地域での応用可能性を検討する。
- 全員: 高齢者を含む幅広い市民層の意見を聞く方法を開発し、実施する。
- 花生直: マッキンゼー方式と日本的経営方式の違いについて、さらに詳しく調査し、次回の会議で報告する。
- 松浪: トヨタウェイの5つの基本理念(チャレンジ、改善、チームワーク、リスペクト、現地現物)について、具体的な事例を集めて共有する。
- 岩井: 市民参加型のまちづくりや図書館運営における課題と改善策について、具体的な提案をまとめる。
- 藤原惠洋: ワークショップの成功事例と失敗事例を分析し、効果的な市民参加の手法についてレポートを作成する。
- 全員: 次回の会議で、企業文化と市民社会の関係性について議論を深める準備をする。
- 惠洋: 次回のテキスト選定について提案をメールで連絡する
- 全員: リフキンの「レジリエンスの時代」の読み納めを6月25日の会議で行う
- 全員: 次回の会議(6月25日)に向けて、新しいテキストの提案を考える
- 全員: 単年度主義や企業の社会的責任について、さらに検討を深める
- 岩井千華: メイド(冥土)カフェの事例を通じて、高齢者の居場所づくりについて考察
- 河村: 田植えの補植と手植えの作業を完了させる
- 花生: インド訪問時にガンディーの思想と多神教の影響について研究する