20250221西日本新聞 平原奈央子記者
日韓の架け橋、詩人の願い継ぐ 没後80年、尹東柱の遺族が最期の地福岡訪問【令和と戦後80年】
1945年に福岡刑務所で27歳で獄死し、日韓で作品が読み継がれる詩人尹東柱(ユンドンジュ)。没後80年の今年、再評価の機運が高まっている。逮捕時の留学先だった京都の同志社大は命日の16日、「両国の架け橋となった」と名誉文化博士号を授与。18日には遺族が福岡市早良区の刑務所跡を訪ね、故人の遺志と作品を未来へ継承する思いを新たにした。
尹東柱は旧満州(現中国東北部)で生まれ、現在のソウル・延世大を卒業後の42年、立教大に留学し、同志社大に編入。朝鮮語文学を尊び故国の将来を語り合ったことが「独立運動」と見なされ、治安維持法違反容疑で逮捕された。45年2月16日、収監先の福岡刑務所で獄死した。
遺族6人は市地下鉄藤崎駅付近を出発し、火葬場跡と推定される場所などを回り、黙とうをささげた。尹東柱のおいで成均館大(ソウル)名誉教授の尹仁石(ユンインソク)さん(68)は「私が初めて覚えた日本語は『フクオカ』でした。家族が伯父について話すたび耳にしていた」とこの地への思いを口にした。一行は今回、福岡、東京、京都とゆかりの地を訪ねた。仁石さんの長女多瑛(タヨン)さん(32)は「日本で作品が読み継がれ交流が続き、伯祖父は人と人を結ぶ媒体のような存在と思った。私も次世代の交流の一助になりたい」と話す。
没後80年に合わせ、福岡市の「書肆侃侃房(しょしかんかんぼう)」は、日本語訳とハングル原文を掲載した仁石さん監修の対訳詩集を刊行。24日午後2時半からは、同市早良区西新の九州大西新プラザで作家・姜信子さんの講演会と地元大学生による討論もある。入場無料。問い合わせは、福岡・尹東柱の詩を読む会(馬男木=まなぎ=さん)=embi0220@gmail.com (平原奈央子)
福岡刑務所や火葬場の跡地を訪ね歩くおいの仁石さん(写真左端)ら遺族たち=18日、福岡市早良区 - 日韓の架け橋、詩人の願い継ぐ 没後80年、尹東柱の遺族が最期の地福岡訪問















