【クローズアップ】芸術の多様性、福祉にも 本渡看護専門学校で東京芸大が特別講義
熊本日日新聞 2023年8月5日 20:35
天草市の市立本渡看護専門学校で6月から、東京芸術大の特別講義が行われている。市と同大が5月に結んだ「アートと福祉」による島づくりを目指す連携協定の一環。看護学生が芸術の多面的視点を医療現場に生かし、学校としての魅力向上にもつなげる。
7月18日、1年生約40人が録画による月1回の特別講義を受けた。同大が2017年度からオンラインを中心に展開するプロジェクト「DOOR」の授業。この日は、LGBTQ(性的少数者)の当事者である一般社団法人代表理事の男性が講師を務めた。
プロジェクトは、多様な人々が共生できる社会を支える人材を育成する目的。毎回さまざまな分野の専門家や当事者、芸術家らが講師を務め、主に社会人を対象に開講した。
看護系を含め、学校との連携は初めて。同大学長でアーティストの日比野克彦氏が長年、同市の「天草大陶磁器展」に関わってきた縁があり実現した。日比野学長はビデオメッセージを寄せ、「福祉も芸術も人の心にどう作用していくのかが大きなポイントであり共通点。違いを認め合う芸術の特性を福祉の視点に入れると、現代社会で重要なポイントを見つけられるのではないか」と看護学生に呼びかけた。
協定書を手にする東京芸大DOORプロジェクトの田中一平特任助教(左)と馬場昭治市長=天草市
6月の第1回講義では病院でのアートの実践が報告され、学生たちは「芸術と医療や看護は何の関わりもないというイメージが変わった」などと感想を寄せた。1年の栗山奈央さん(34)と大西晴菜さん(18)も「同じような立場の人たちの中にいると視点が凝り固まってしまう。いろいろな価値観に触れ、多様性を知りたい」と興味を示した。
市は、東京芸術大との連携を、同校の新たな特色としてPRする。
同校は1991年開校の3年制。各学年の定員40人に対し、本年度の受験者は50人と、ピークの2011年度の136人の37%に激減した。併願者の辞退もあり、実際の入学者は39人と定員割れ。県内には3年制の看護専門学校が8校、看護系学科を持つ大学が三つある。市は少子化や近隣県の看護専門学校の定員増なども一因とみる。
一方、今春の卒業生の66・7%が市内の医療機関に就職。地元の人材確保に大きく貢献している。
「取り組みを学校の魅力向上につなげるとともに、市内の医療・福祉事業所にも拡大したい」と馬場昭治市長。同大でプロジェクトを担当する田中一平特任助教も、「DOORを通した学びでしなやかな思考を持つことで、ケアの質が上がり、強い地域や社会をつくることにつながれば」と期待する。(平井智子)











































