20241025毎日新聞 福原英信記者
炭鉱で犠牲、海底に放置された183人 遺骨収容へ動く市民の思い「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」
戦時中の1942年、大規模な水没事故で朝鮮半島出身の労働者と日本人労働者計183人が亡くなった山口県宇部市の海底炭鉱「長生(ちょうせい)炭鉱」で、地元の市民団体が29日から、残されたままの遺骨の収容に向けた潜水調査を始める。9月下旬に陸上部を掘削して坑道への出入り口(坑口)を発見しており、調査では坑口などからダイバーが入って坑内の状況を確認する。事故から82年。市民団体は「遺骨を一片でも見つけたい」とする。
長生炭鉱は宇部市の床波海岸にあり、32年ごろから民間企業が本格操業を始めた。
太平洋戦争開戦から約2カ月後の42年2月3日、坑口から約1キロ沖合で落盤による水没事故が発生し、労働者計183人が亡くなった。当時、多くの朝鮮人労働者が働いており、うち136人は朝鮮人だった。
20240926 NHK山口ニュース
海底炭鉱「長生炭鉱」の入り口か 掘削作業で穴発見 宇部
かつて宇部市にあった海底炭鉱、「長生炭鉱」の水没事故で、亡くなった183人の遺骨の収集を目指す市民団体が、25日、掘削作業で深さ5メートルほどの地下に炭鉱の入り口と見られる穴を見つけました。
宇部市の「長生炭鉱」では、戦時中の1942年に落盤で水没する事故が起き、朝鮮半島出身の労働者136人を含む183人が亡くなり、遺骨は今も残されたままになっています。
宇部市の市民団体は、24日から炭鉱の出入り口を見つける土地の掘り起こしを始め、25日午後、深さ5メートルほどの地下で木の板を取り除いたところ穴が見つかったということです。
団体では、2015年に実施した電気探査や関係者の証言などから、「この穴が炭鉱の出入り口である可能性が高い」と見ています。
団体では、掘削作業を進めて、詳しい状況を確かめたうえで、10月下旬には、専門技術を持つダイバーが穴から坑道に入って遺骨を探す調査を行いたいとしています。
「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」の井上洋子共同代表は「安心しました。遺骨の収集に向けて着実に準備を進めたい」と話しています。