20241020西日本新聞
北九州市の初代門司駅遺構、最後の公開に250人 「少しでも残して」の声も
北九州市門司区の複合公共施設整備予定地で出土した明治期の初代門司駅関連遺構の発掘調査現場で19日、現地説明会が開かれた。市は施設整備に伴って遺構を解体する方針で、一般公開は最後。駆け付けた市民らは「少しでもここに残して」と惜しんだ。
昨年の発掘調査で初代門司駅関連の石垣や機関車庫跡などが出土。今年8月以降の追加調査では明治―大正期の「荷物上屋」「貨物上屋」「油倉庫」などを確認した。調査は11月まで。
学会や有識者は遺構について、鉄道と港、都市が一体的に形成された近代化の物証として「世界遺産級」「国史跡級」と高く評価。市は遺構の一部移築案を検討しているが、説明会に参加した日本イコモス国内委員会の溝口孝司副委員長は「移築は遺構を地面から切り離すため文化財的価値がゼロになる。一部でも現地に保存されれば価値は残り、将来、世界遺産の構成資産となり得る」と述べた。
説明会には県内外から約250人が集まり、門司港で観光ボランティアに携わる山下三男さん(75)は「想像より大きくて迫力があった。観光に生かせるはずだ」と提案。門司港で少年時代を過ごした同市小倉南区の堺正憲さん(73)は「遺構は門司港の宝、北九州の宝。この場所に少しでも残してほしい」と訴えた。(壇知里、古川努)