建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

OBS大分放送 20240329配信

「景観もへったくれもない、メリットもない」 国の重要文化的景観選定の集落 豪雨被災も“原型復旧”にこだわる行政に怒りの声 小鹿田焼の里

 

去年7月の豪雨で被災した大分県日田市にある「小鹿田焼の里」では、これから本格的な災害対策や復旧の工事が始まります。しかし、地元では国の重要文化的景観に選定されていることが「復旧の足かせになっている」という声が高まっています。
 

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■「原型復旧したがる…文化的景観選定のメリットなし」 日田市池ノ鶴地区でコメを生産している木下浩和さん(55)。地区では去年7月の豪雨で土石流が発生したことから、県は木下さんの私有地に治山ダムの設置を決めました。過去7年で3度目の被災ですが、原因を尋ねても答えることなく、工事を進める行政の意向に憤りを感じているといいます。 木下浩和さん「何十年も見てきた地元の人が一番わかってるはずなのに、そこに耳を傾けないんですよ。傾けない理由も聞いてみたいですけど、なかなか答えてくれないですからね」 去年の豪雨で地区にある棚田の8割以上が被災。木下さんの棚田も被害を受けましたが、災害復旧の申請を見送りました。その理由は、繰り返し豪雨に見舞われるたびに、土砂の流入や河川の氾濫による被害にあっているのにもかかわらず、県が“原型復旧”にこだわるためといいます。

木下浩和さん3メートルぐらいの河川では処理できないのがわかっているのに原型復旧したがる。理由が僕には見えない」

石積みの棚田が広がる池ノ鶴地区は、小鹿田焼の窯元がある皿山地区とともに、2008年に九州で初めて国の重要文化的景観に選定されました。この景観を守るため、様々な規制が設けられているのです。

地区では4月以降、棚田や河川の復旧も始まりますが、木下さんに知らされた計画では防災強化ではなく、文化的景観の維持にも配慮した「原型復旧」にとどまり、不安だと打ち明けます。

木下浩和さん「単なる農地です。僕たちからしたら景観もへったくれもない。だから文化的景観の選定を受けたメリットもない。やめてもデメリットもないですから、ない方がいいんじゃないかと思っている」

■誰のための何に向けた復旧なのか… 皿山地区の窯元、坂本浩二さん(55)は6年前、防災対策と作業場の拡張のため、自宅を含めて建物をすべて取り壊し、その土地に新しく建物をつくる「建て替え」を市教委に申し出ました。しかし、市教委から「家の構造や規模は変えられない」と説明を受けていました。 その結果、坂本さんは家の「建て替え」ができず、自費で4000万円以上かけて望まない「リフォーム」を余儀なくされましたが、後に当初申し出ていた「建て替え」は規制に抵触せず、市教委の誤った指導だったことが発覚。金銭的損失を受けました。 こうした事態を受け、26日の市議会で坂本さんにおよそ2200万円の和解金を支払う議案が可決されました。

坂本浩二さん「文化的景観というものを行政内で決めて、住民を無視したルールを守る必要があるのか。住んでいる人たちのことを第一に考えないのであればいらないですね」 こうしたなか、県と市は325日、災害工事に関する住民説明会を開催。この中で治山ダムの表面に、景観に配慮して「石積み模様」に施す内容が報告されました。

出席した住民「問題解決になっていない。景観問題をぐいぐい入れてくる意味を文化財保護課に問いたい」 

日田市教委文化財保護課 吉田博嗣課長「文化的景観の観点で、県に対して何か特別要望したり、お願いしたりはありません」 

説明会では、なぜ「石積み模様」にするのか、出席した住民から疑問の声があがりました。これに対し県は、国の重要文化的景観に選定されていることを配慮して決めたと明かしました。治山ダムの総事業費は約24800万円で、このうち「石積み模様」の施工費は約430万円に上るということです。 治山ダムの設置自体には理解を示す木下さんですが、「文化的景観があるが故に抜本的な防災対策につながらないのでは」と疑念を抱いている一方で、「防災の強化のためであれば私有地を行政に無償で提供する」と話しています。

木下浩和さん「田んぼにはできないから、防災としてこの場所を活用してもらっても結構です。被害を受けるのは住んでいる人ですよ。誰のための何に向けた復旧なんですかね」 地元では重要文化的景観の選定返上を求める声が高まっていて、日々の暮らしや安心をないがしろにしてまで必要なものなのか――いま問われています。

 

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