主催 たけたアルティザンカフェ(主宰 藤原惠洋) たけたアルティザンカフェ・プロジェクト第一弾
竹田市民公開講座 アルティザン・トーク 〈たけたアルティザン〉に聴く、ものづくり・ことづくり・ひとづくりの文脈・矜持・未来
【第27回】 2024 年10月27日(日)14:00〜16:00
語り手 嘉月沙英さん 声楽家・音楽家
聞き手 藤原惠洋 九州大学名誉教授・たけたアルティザンカフェ代表
会場 竹田総合学院(大分県竹田市大字植木731)
テーマ 奏でる中低音域ユーフォ二アムから奏でる身体のソプラノ声楽家へ〜私たちはどこから来て、今どこにいて、これからどこへ行くのか〜
演奏会やオペラでの東京藝術大学出身者の活躍は枚挙に暇がありません。同卒業生のソプラノ声楽家の嘉月沙英さんも近年多様なステージでの活躍の場を広げています。さらに大分県出身者によるユニークな演奏会(第2回2024年8月23日公演 Iichiko音の泉ホール)公演時、司会者の先輩から嘉月さんは県出身者随一の変わり者とユニークな紹介をされました。それはなぜでしょうか?
この演奏会で嘉月さんはアルプスの羊飼い少女を歌うドイツ歌曲を選び、透明感あふれるソプラノに伸びやかなヨーデルを奏でました。この選曲は久住山麓の嘉月家ルーツを思わせます。雄大な光景や田舎暮らしが嘉月さんの音風景の原点かもしれません。
聞くところ、中学入学時、創部したばかりの吹奏楽部では顧問の先生から唐突に馴染みのないユーフォニアムを勧められた際、自分らしく演奏できるよう誇りを持って一生懸命に打ち込んだとのこと。中3で出場した大分県吹奏楽コンクールでは創部3年目にして金賞受賞、九州大会出場も果たしました。一つの吹奏楽曲を完成させるのは一つの楽器でもなく、一人の天才でもない、それぞれの個性を持った人や音色が一つの目標に向かって心を一つにして作り上げていくものだと考えるようになりました。
自分が好きなこと自分が楽しめることをしたいと思案し大分県立芸術緑ヶ丘高校へ進学、しかしそれまでピアノを習った経験もなく、音楽に関するレッスンも受けたことがなかったのでクラスメイトに比べてハンディキャップがあったものの、努力で乗り越えていく中で声楽に集中するようになりました。ゆかりの久住町サンホールで開催された第74回滝廉太郎記念日本高等学校声楽コ ンクールに出場し、見事に大分県代表として優秀賞を獲得。さらに多くの声楽大会で受賞を重ねる中、周りの先生方の勧めもあり大きな道標として東京藝大音楽学部声学科を目指しました。藝大は国立大学、大学入試センター試験の英語、国語は6割以上の得点で実技2次へ。さらに3次、4次へ。日本を代表するソプラノ歌手の佐々木典子先生との出会いに恵まれつつも、最後の合格は信じられないほどだった、とのこと。
入学後は晴れて佐々木典子先生の指導下、ドイツ語の歌曲や宗教曲を好んで研鑽することに。しかし折しも2019年冬から歴史的なコロナ禍と遭遇、実技科ではもっとも重要な対面レッスンも十分に受けられず、入学から卒業までの4年間にはストレスや不安もあり、けっして満足に過ごせなかったとのこと。波瀾万丈な音楽学徒としての日々を後に音楽を培う際に身につけてきた自らの信念を成就したいと卒業後は地元大分へ戻ることにしました。
嘉月さんはお若いにも関わらず、都会生活がもたらす「華々しさ」よりも、大分や竹田や久住がもたらす「落ち着き」や「美しさ」に心の安定や安寧を感じると言います。今後は新しい形式や新しいジャンルの音楽へ挑戦をしながら、歌・音楽・芸術・和・自然美が奏でる世界を募らせたいと。今回のトークを通して変わり者と称される理由があぶりだされるにちがいありません。(文責:藤原惠洋)
定員:20名(予約優先) 予約:携帯 080-5250-4711(藤原馨)
メール dr.keiyo.fあっとま〜くgmail.com
※当日は13:00玄関開錠のうえ開場します。いまだ油断ならないコロナ禍感染防止にご協力ください。 ※日程が変更になる場合がございます。チラシ・ふ印ブログ・Facebookなどでお知らせします。