20240625 西日本新聞
初代門司駅舎本体エリアの掘削工事が再開 北九州市「遺構が出れば記録する」
北九州市門司区の明治期の初代門司駅舎本体が埋まっている可能性が高いエリアで25日、JR九州の給排水管敷設に伴う掘削工事が、市の了解の下で再開された。隣接地では市の複合公共施設建設に伴う発掘調査で鉄道遺構が出土し、考古学の専門家らは一帯の遺構群を「国史跡級」などと高く評価している。しかし掘削工事が進めば未発掘の駅舎本体は取り壊される。
工事は昨年12月に始まり、市議会から丁寧な説明を求められるなどしたため市が今年3月にJR側に中断を求めた。今月24日に再開予定だったが、取り壊しに反対する市民が集まり、安全確保のためいったん再開は見送られた。
この日は午前9時ごろ、市の専門職員の立ち会いで工事が始まった。重機でアスファルトが剝がされ、幅約1・5メートル、深さ0・7~1メートルの溝を長さ約30メートルにわたって掘り進めた。反対する市民は遠巻きに見守った。
現地は市有地で、工事前に発掘調査が必要な「周知の埋蔵文化財包蔵地」に指定されている。文化庁は、発掘調査する場所が人が入れないほど「狭小」な場合は発掘を免除し、専門職員が立ち会って工事を進めるよう指針を設けている。
市は今回の工事を「狭小」と判断して発掘調査を免除。しかし専門家からは「幅1・5メートルもあれば発掘はでき、狭小とはいえない」との指摘が上がっている。
工期は8月末まで。市は「遺構が出た場合は工事を止め、記録を取る」としている。(古川努)(写真:古川努記者)