20240626西日本新聞
初代門司駅遺構に「重大な懸念」イコモス会長が異例の緊急声明 北九州市の計画見直し要請「変更なしなら『ヘリテージ・アラート』」
北九州市門司区の初代門司駅関連遺構が市の公共施設建設計画によって危機にひんしているとして、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関、国際記念物遺跡会議(イコモス、本部パリ)のテレサ・パトリシオ会長は、同市などに向けて「重大な懸念」を表明する緊急声明を発出した。25日付。計画が見直されなければ、近く国際的緊急要請「ヘリテージ・アラート」を発出すると予告した。
緊急声明では、遺構が「急迫かつ不可逆的な脅威」にさらされていると表現し、「国内的にも国際的にも重要な遺構を破壊することは、日本の文化遺産保護政策に反すると認識している」と指摘。同市と市議会に対し、「遺構を破壊する決定を直ちに凍結し、計画を見直し、包括的な保存を優先することを求める」としている。
日本イコモス国内委員会によると、会長の緊急声明は極めて異例で、イコモス本部がこの遺構に言及するのは初めて。ヘリテージ・アラートは文化遺産の危機に対しイコモスが発出し、これまでに国内では、東京の鉄道遺構「高輪築堤」など3例で出されている。(古川努)