20240608毎日新聞 伊藤和人記者
議会審議、ヤマ場に 解体前提施設建設 関連予算案、14日採決 門司港駅遺構
北九州市議会の6月定例会は7日、一般質問があり、初代門司港駅(当時の名称は門司駅)関連遺構と、現地に市が計画する複合公共施設について議員5人が質問に立った。武内和久市長は「市民の安全安心のため一日も早い施設完成が望まれている」と述べ、7月から追加調査した上で遺構を解体し、施設を建設する方針を改めて示した。
この日は遺構の保存を求める立場から3人が質問。森結実子議員(ハートフル北九州)は、3月に市議会が可決した修正動議が適切な埋蔵文化財調査を求めたにもかかわらず、市の追加調査が明治期の遺構が予想される区域に限られていると指摘。有識者を交えた再検討を求めた。
これに対し市側は、調査を担当する市都市ブランド創造局に専門学芸員がいることなどを理由に検討を拒否した。
井上真吾議員(無所属)は、市民の意見を聞く住民投票やアンケートを提案。村上聡子議員(無所属)は、移築方針決定に至る議事録を市が残していなかった問題について「議会として意思決定過程が検証できない」と追及したが、市側は明確な答弁を避けた。
一方、三原朝利議員(自民未来)と鷹木研一郎議員(自民・無所属)は「決断が長引くほど、不安をあおるような報道で市民が分断される」「経済関係者も門司港活性化を望んでいる」として早期の施設建設を訴えた。
市議会は着工費を含む補正予算案を14日の本会議で採決する予定。日本イコモス国内委員会をはじめ、多くの学術団体が国史跡相当と評価する遺構を巡る状況はヤマ場を迎える。【伊藤和人】〔北九州版〕