西日本新聞 諏訪部真2024/4/8 14:30
九州にこだわった文芸評論家、花田俊典さん没後20年のシンポ開催
九州大学大学院教授で文芸評論家だった花田俊典さんが死去して20年を迎えるのに合わせ、元同僚の文学研究者らが6月1日、シンポジウム「花田俊典の研究と方法」を福岡大学中央図書館(福岡市城南区)で開く。西日本の文学史や原爆文学研究など、九州という場所にこだわって花田さんが残した広範な仕事について考える。
花田さんは福岡県福津市出身、九州大卒。同大で教えるかたわら1995~96年、本紙で西日本戦後文学史がテーマの連載を執筆した。九州、沖縄、山口ゆかりの文学者を取り上げる連載は130回に及び、後に改訂増補した「清新な光景の軌跡」として出版。本紙では文学コラム「雪月花」も担当した。
90年には文芸批評誌「敍説」を創刊、2001年には「原爆文学研究会」を立ち上げるなど、仲間を巻き込んだ場づくりにも取り組んだ。九大在職中の2004年6月2日、心筋梗塞のため53歳で急死した。
地方を足場にした文学研究を通じて固定された図式や考え方に立ち向かい、新しい「光景」を立ち上がらせようとした花田さん。シンポジウムはその研究方法をどのように継承していくか考える場として開催する。冒頭では花田さんがたびたび論じた沖縄在住の作家崎山多美さんが講演。その後、松下博文さん(筑紫女学園大教授)、川口隆行さん(広島大教授)、長野秀樹さん(長崎純心大非常勤講師)、坂口博さん(火野葦平資料館)、石川巧さん(立教大教授)が、花田さんの著書などをテーマに発表する。(諏訪部真)
◇シンポジウムは午後1時開会。研究者以外も関心がある人は自由に参加できる。無料。インターネットで参加申し込みが必要=https://forms.gle/1pnB9URAvfDXZuJ9A