建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

20240423毎日新聞

異次元との決別

日本経済の価値を下げた「亡国政策」に憤り 藻谷浩介さん
(2017年夏、文化経済学会大分大会では、数々の御示唆をいただき、たいへんお世話になりました!)

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インタビューに答える藻谷浩介さん=東京都千代田区で2024326日、内藤絵美撮影

日銀が3月、「異次元の金融緩和」に見切りをつけて政策を転換した。大規模緩和を軸とした経済政策「アベノミクス」に対し、日本総合研究所主席研究員の藻谷浩介さん(59)は「日本経済の価値を下げる亡国政策だった」と憤りを隠さない。以前から異次元緩和を批判してきた藻谷さんが考える、日本経済にとって本当に必要な対応策とは何か。

「壮大な社会実験」は失敗

――異次元緩和の結果をどう見ていますか。

この壮大な社会実験は失敗した。それを経て、私が14年前に提言した三つの策の重要性がようやく政財界にまで広く理解されるようになったことは皮肉な成果かもしれない。

私は2010年刊行の「デフレの正体」で、金融緩和は内需を拡大させないと指摘した。消費を拡大させる策は、若者の賃上げ女性の就労と経営参画の促進外国人観光客の消費増加――だけだと書いた。

だが、12年末に政権に復帰した自民党の安倍晋三氏は、日銀が大規模緩和策を取れば物価が上がり、経済が成長するとの「リフレ論」を信じた。その意を受けた黒田東彦前日銀総裁は、資金供給量(マネタリーベース)を5倍にまで増やし、極端な円安と、余剰資金の流入による株高を引き起こした。

しかし、物価上昇で増えるはずの名目GDP(国内総生産)は1223年でみて年率15%と微増にとどまり、株高にもかかわらず個人消費は横ばい。円安の弊害ばかりが目立っている。

円安で国富の流出続く

――円安の問題点は何でしょうか。

日銀が国債や株式を買い込んだ結果、金融緩和の手じまいが難しくなり、日米の金利差も固定化するようになった。その結果、1ドル=150円台の円安水準が続く。世界銀行が算定する購買力平価ベースレート(物価が同じになるように計算したレート)は、1ドルが100円未満となっている。これはエネルギー、食糧、ソフトウエア、あるいは安倍氏の支持者が増強を求めていた武器などを海外から買うたび、本来の15倍以上の国富が海外に流出している計算だ。

「物価上昇を上回る賃上げを」と言っても、外貨が手に入る輸出企業以外にその原資はない。輸入物価の上昇で国富が流出する分、実質所得は下がる一方だ。

――デフレ脱却と経済成長を目指したアベノミクスをどう総括しますか。

日本経済の価値を下げる亡国政策だった。「経済成長」を唱えたが全く逆の結果を招いた、日本史に残る愚策だ。バブル崩壊後も成長を続けていた日本経済が完全に縮小に転じた。

インタビューに答える藻谷浩介さん=東京都千代田区で2024326日、内藤絵美撮影

 

日本の名目GDPは、野田佳彦政権の12年には62兆ドルで史上最高だった。しかし、同年末に誕生した安倍政権が異次元金融緩和を始めて円安に誘導した結果、政権末期の19年には51兆ドルへと約2割も縮んだ。さらに円安の進んだ23年には42兆ドルと3分の2にまで減った。

基軸通貨の米ドルで見れば、年率36%のマイナス成長だ。日本も、中国やロシアの経済規模を人民元やルーブルではなくドルで見る。世界から見た日本経済の存在感は、急速に失われてしまった。

消費増税と経済成長

――消費増税が経済成長を妨げたと指摘する声もあります。

◆3%の消費税が導入されたのは1989年だが、その後も名目GDPは、円、ドルベースともに97年まで順調に増加した。この間のバブル崩壊で地価や株価は下落したが、経済自体は成長し、実質所得も個人消費も伸びていた。98年の経済の減速を、97年に3%から5%へ増税されたせいにする論者がいるが、その後に5%から8%に増税された14年、10%に増税された19年に、名目GDPが微増だったことを語らない。4回の増税で1回しか起きなかったことを普遍の原理のように論じるのは科学的ではない。

――円高で輸出が減るといった見解もあります。

それはよりひどい議論といえる。85年のプラザ合意で円高が始まって以降、日本の輸出は円ベースで倍増以上、ドルベースでは数倍以上に増えている。今世紀の数字で対前年比の相関を取ってみると、ドルベースの輸出額は、円安ではなく円高になるほど増える傾向がある。

日本の輸出の主力は部品、高機能素材、そして生産用の機械であり、こうした「BtoB(事業者向け)」のハイテク製品は価格に関係なく品質で売れるからだ。1ドル=100円になっても購買力平価ベースでは日本の物価は割安であり、インバウンド(訪日客)消費も、ドルベース換算ではむしろ増えるだろう。

賃上げ、実質所得のアップを

――デフレ脱却や日本経済のために本当に大切なことは何ですか。

◆14年前に提言した3点で変わらない。何より、賃上げで個人消費を増やすことだ。「生産性が上がらなければ賃上げできない」というのは、生産性の計算式を知らない暴論だ。生産性とは、付加価値額(国全体では名目GDP)を就労者数で割ったものだが、付加価値額の主要部分は人件費なので、「賃上げ=生産性上昇」となる。感覚的には、賃上げ分が消費に回れば企業の売り上げも増えると理解してほしい。

――私たち国民も冷静な視点が求められそうですね。

金融緩和を改めれば株価が下がるが、騒ぐ必要はない。株価の上昇は経済を成長させなかったし、その下落で経済が縮小することもない。株は下がっても実質所得が上がって経済が成長する日本の実現に向けて、植田和男・日銀総裁による、慎重だが正しい決断を支持し続けることが肝要だ。【聞き手・竹地広憲】

もたに こうすけ 1964年、山口県生まれ。日本政策投資銀行を経て2012年から現職。著書は「デフレの正体」「進化する里山資本主義」など。

 

 

 

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