
福岡の「詩を読む会」結成30年 詩人・尹東柱しのび作品精読
17日に福岡市で追悼式、講演会も
終戦直前、福岡市で獄死した詩人尹東柱(ユンドンジュ)(享年27)の詩を精読する市民サークル「福岡・尹東柱の詩を読む会」が結成30年を迎える。月1度、日本語訳の詩(全126編)を1編ずつ読み語り合う活動は今年3巡目に入った。16日が78回目の命日となる韓国の「国民的詩人」の作品は、日本でも長く読み継がれている。
尹東柱は1917年、中国東北部の北間島生まれ。ソウルの延禧(ヨンヒ)専門学校(現・延世大学校)卒業時に詩集「空と風と星と詩」の草稿をまとめた。42年に日本に留学し、同志社大在学中にハングルで詩を書いたことが治安維持法違反とされ逮捕された。福岡刑務所に収監され、45年2月16日に獄死。後に友人らが遺詩集を出版した。
同会は94年、西岡健治さん(福岡県立大名誉教授)と藤原惠洋さん(九州大名誉教授)の呼びかけで始まった。1月20日、福岡市中央区で開かれた会には12人が集まり、代表作「序詩」を朗読、鑑賞した。
<死ぬ日まで空を仰ぎ/一点の恥辱(はじ)なきことを、/葉あいにそよぐ風にも/わたしは心痛んだ。/星をうたう心で/生きとし生けるものをいとおしまねば/そしてわたしに与えられた道を/歩みゆかねば。//今宵も星が風にふきさらされる。>(伊吹郷訳)
97年から会に参加する北九州市八幡西区の中村昭子さん(79)は「詩の純粋さに引かれ続けてやまない」と言う。韓国企業の福岡駐在員で初参加の宋永宇(ソンヨンウ)さん(39)は韓国語の原文を朗読。「風とは尹東柱の時代の困難であり、星は自身の強い意志や希望ではないか」と読み解いた。
藤原さんは東大大学院生時代に尹東柱の弟で建築学者の故・尹一柱(イルジュ)さんとその長男・尹仁石(インソク)さん(67)と交流があり、尹東柱の詩に親しむようになった。藤原さんは「発足当初の会で、『序詩』は透明感あふれ自分が再整理されるような『ピューリファイ』(浄化)の詩だと、普遍性について話し合った。今もその思いは変わらない」とし、「世代や立場を超え、感受したままの気持ちや考えを語り合う場の意義と魅力を次世代へ伝えたい」と話した。
仁石さんは「10年続ければ専門家になるという言葉があるが、福岡の会は30年。今やひとつの『学派』になった。遺族も思いが及ばない細かな部分まで考察する姿に学ばされています」とメッセージを寄せた。 (平原奈央子)
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追悼79周年記念式 17日午後1時45分、福岡市早良区百道の百道西公園で。午後3時20分からは近くの「ももちパレス」で九州大の辻野裕紀准教授(言語学)が「詩藻と思想 未来に繋げる尹東柱のこころ」と題し講演する。講演会は参加費千円。問い合わせは同会代表の馬男木(まなぎ)さん=090(7460)5631。














