建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
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揺れ動く歴史を生きる経験に基づき、声なき者の声を届ける表現を開拓し、美術の「脱中心化」に非欧米圏から貢献した美術家

親しみやすい形式と多様な媒体を用いた夢幻的な空間を創出し、抑圧に苦しむ「声なき者の声」を多くの人々に届ける表現を開拓してきた。非欧米圏の美術家として、世界的に活動し続け、欧米を中心に作られた従来の美術観を見直す潮流に大きく貢献した。

業績

ナリニ・マラニは、親しみやすい形式と多様な媒体を用いた夢幻的な空間を創出することによって、抑圧に苦しむ「声なき者の声」を多くの人々に届けようとする意志に満ちた作品を生み出してきた。また、非欧米圏の、特に女性の社会進出が難しい地域出身のアーティストとして、世界的に活動してきた先駆者の一人であり、20世紀末から30年以上続く美術の「脱中心化」の推進力となってきた。

インド・パキスタン分離独立時に難民としてインドに逃れ、ムンバイで美術を学んだ後、パリに留学し、多くの文化人の謦咳に接して、外から祖国の現実を見る眼を養った。

この経験をもって、宗教対立や差別などの問題を抱えるインド社会に向き合うべく帰国した後は、幅広い層の人々に訴える表現を模索し、映像、絵画、素描、インスタレーションなど多様な媒体を用いた作品を発表してきた。2000年代には、伝統的な神話から神々のモチーフを採り、ビデオやプロジェクションといった新しい技術を用いて影絵芝居や回り灯篭を思わせる夢幻的な空間を作り上げるという、今日のマラニを代表するスタイルを確立した。女性や貧困者など、抑圧に苦しむ人々の個別具体的な姿に向き合うことで生み出された作品では、抑圧する人、される人、世界の変転を司る女神や動物たちが混じり合い、回りながら壁にその影を映し出す。鑑賞者は、あたかも地域の祭りで演じられる神話劇の一場面を見るようにして、今日の社会に埋もれた「声なき者の声」に思いを致すことになる。

対立、融和、抑圧、夢や神話といった普遍的なテーマ設定、モチーフを描き出す優れた素描力、身体を包み込む空間の美しさによって世界中の鑑賞者に訴えかけるマラニは、1990年代以降に世界中で展示の機会が増加し、現存のインド人作家として初めてパリのポンピドゥー・センターにおいて回顧展(2017年)が開催されるなど、欧米を中心に作られた美術観を見直す動向の推進力となってきた。

このようにマラニは、地域社会の現実に根差しつつ、抑圧に苦しむ人々と向き合いながら、彼らの声を多くの人々に届ける表現を開拓し、美術の潮流に非欧米圏から変化をもたらすことに大きく貢献した。

プロフィール

略歴
1946年
イギリス領インド帝国 カラチ生まれ
1947年
インド・パキスタン分離独立時に難民としてインドに渡る
1966年
ムンバイのプンドール・アートギャラリーにて初個展
1969年
海外でのグループ展に初参加(第5回国際青年美術家展、東京)
ムンバイの学際的な芸術実験やコラボレーションの場ビジョン・エクスチェンジ・ワークショップにて短編映像シリーズを制作
1970–1972年
フランス政府奨学金給費生として、パリに留学
1987–1989年
初のインド人女性のみによる巡回展を主導・開催
2002年
ニューヨークの新現代美術館にて海外美術館での初個展
2007年
第52回ヴェネツィア・ビエンナーレに参加
2012年
第13回ドクメンタに参加
2014年
ニューデリーのキラン・ナダール美術館にて通年の回顧展
2017–2018年
ポンピドゥー・センターとリヴォリ城現代美術館にて回顧展
2021–2022年
香港の美術館M+にて開館記念個展
主な受賞・栄誉
2013年
福岡アジア文化賞 芸術・文化賞
2019年
ジョアン・ミロ賞
2020年
ナショナル・ギャラリー・コンテンポラリー・フェローシップ・ウィズ・ アートファンド
主な作品
1969–1976年
Utopia (film diptych) 
1992年
City of Desires (wall drawing/erasure performance) 
1998年
Remembering Toba Tek Singh (video play) 
2001年
Transgressions (video/shadow play) 
2005年
Mother India: Transactions in the Construction of Pain(video play) 
2007年
Splitting the Other (multi panel painting) 
2012年
In Search of Vanished Blood (video/shadow play) 
2020年
Can You Hear Me? (animation chamber) 
2023年
My Reality is Different (animation chamber)

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藍蟹堂。感受性は海の底から波濤や世界の波瀾万丈を見上げる蟹そのもの。では蟹とは?

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