
西日本新聞より
夜のとばりが下りた日田市隈地区の狭い路地を、ちょうちんで輝く山鉾(やまぼこ)が進んでいく。男たちのかけ声に重なりながら、哀切とした笛が鳴る。乾いた太鼓の音が闇夜に吸い込まれていった。怪物のようにのっそりと動く山鉾の真後ろから観客が続き、手を伸ばせば届きそうだ。はるか昔から、日田祇園はこうして地域とともにあったのだろう▼思えば、何かとお金の話題が先行し、タレント起用によるPRに余念がない国際イベントとは正反対の光景だ。いい意味で苛烈な資本主義に染まっていない。青息吐息の日本社会の現状を鑑みれば、みんなこんな風景に返っていくのではないか▼「日田の風土と人を書きに来ました」。日田支局着任時にこう記した。あれから2年、異動のため間もなく家族が待つ福岡市に帰ります。本当にありがとうございました。引き続き日田の風土と人を書く個人的な「宿題」を背負うため、心の一部はこの街に置いていきます。またお会いしましょう。 (藤原賢吾)














