食卓のまわりにあるもの
どんなに短いシーンであれ、映画の中の食卓のまわりは、何気ないエピソードの連なりで溢れ、登場人物たちの生活を表現しています。賑やかな食卓、誰かのためにつくる料理、夕飯の匂い、味わい深い食事の時間。そこから生まれる細やかな描写の数々が、映画の中にある日常生活の質感を彩ります。
『隣の八重ちゃん』(1934年/日本) には、大学生の恵太郎が隣に住む女学生・八重子の家に(口笛を吹きながら!)上がりこみ、八重子の母に食事を甘えるシーンがあります。「お茶漬けでいいや」と言う彼に、八重子の母は「遠慮なく召し上がれ」とありもののおかずやお櫃のままご飯を用意してあげるのです。この短いやりとりと、隣の家でひとり遠慮なく食事をする恵太郎の描写だけで、このふたりと両家の親密さが一瞬で読み取れるように、食卓風景は登場人物たちの性格や人間関係について多くの情報をあたえてくれます。『ママのお客』(2004年/イラン)は、急なお客さまを精一杯のもてなしで迎えたいがために奮闘する家族の物語。『生きていく日々』(2007年/香港=中国)は、未亡人となった中年女性と高校生の息子との生活を淡々と描いたアン・ホイ監督の代表作です。一方はテヘランの下町の集合住宅、もう一方は香港の郊外住宅地での暮らしを優しく見つめたアジア映画の名作です。
「映画の中の食卓」と題した今月のプログラムは、収蔵作品の中から食卓にまつわるシーンが印象的な17作品を上映します。このテーマをきっかけにアジア映画、日本映画の名作をお楽しみいただければ幸いです。
5月3日(祝)に観たのは
隣の八重ちゃん
1934年 16ミリ モノクロ 77分 松竹キネマ(蒲田)
監督:島津保次郎 出演:岩田祐吉 飯田蝶子
どんなに短いシーンであれ、映画の中の食卓のまわりは、何気ないエピソードの連なりで溢れ、登場人物たちの生活を表現しています。賑やかな食卓、誰かのためにつくる料理、夕飯の匂い、味わい深い食事の時間。そこから生まれる細やかな描写の数々が、映画の中にある日常生活の質感を彩ります。
『隣の八重ちゃん』(1934年/日本) には、大学生の恵太郎が隣に住む女学生・八重子の家に(口笛を吹きながら!)上がりこみ、八重子の母に食事を甘えるシーンがあります。「お茶漬けでいいや」と言う彼に、八重子の母は「遠慮なく召し上がれ」とありもののおかずやお櫃のままご飯を用意してあげるのです。この短いやりとりと、隣の家でひとり遠慮なく食事をする恵太郎の描写だけで、このふたりと両家の親密さが一瞬で読み取れるように、食卓風景は登場人物たちの性格や人間関係について多くの情報をあたえてくれます。『ママのお客』(2004年/イラン)は、急なお客さまを精一杯のもてなしで迎えたいがために奮闘する家族の物語。『生きていく日々』(2007年/香港=中国)は、未亡人となった中年女性と高校生の息子との生活を淡々と描いたアン・ホイ監督の代表作です。一方はテヘランの下町の集合住宅、もう一方は香港の郊外住宅地での暮らしを優しく見つめたアジア映画の名作です。
「映画の中の食卓」と題した今月のプログラムは、収蔵作品の中から食卓にまつわるシーンが印象的な17作品を上映します。このテーマをきっかけにアジア映画、日本映画の名作をお楽しみいただければ幸いです。
総合図書館収蔵作品の中から食卓にまつわるシーンが印象的な作品を特集。
会期:5月3日(水・祝)~27日(土)※休館日・休映日除く
観覧料:500円(大人)400円(大学生・高校生)300円(中学生・小学生)
※定員制。各回入替制。
※チケットはすべて当日券。前売り券はありません。(チケットの販売は上映の1時間前からです。)
※障がい者の方は無料。福岡市在住の65歳以上の方は250円。(手帳や保険証などの原本の提示が必要です。)
5月3日(祝)に観たのは
隣の八重ちゃん
1934年 16ミリ モノクロ 77分 松竹キネマ(蒲田)
監督:島津保次郎 出演:岩田祐吉 飯田蝶子
東京の郊外。新井家には帝大生の恵太郎と中学生の精二がいた。隣の服部家には女学生の八重子がおり、八重子と精二は兄妹のような仲だった。ある日結婚して家を出た八重子の姉・京子が帰って来る。日常のリアリズム描写に定評のある島津監督初のトーキー作品。「あの時代の日本映画にはない新鮮な若さを吹き込んだ点でまさに記念すべき作品」と評価されている。














































































