建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
大連休を過ごした韓国での思わぬ成果と言っていいのでしょうか。

韓国に教え子を研究指導に行った際、戦後韓国茶陶の巨星、故申正煕先生の遺髪をつぐお弟子さんがたと不思議な邂逅を遂げました!

張さん、金眠釘先生とお会いできてお元気そうな顔を拝見できたこと、なによりでした。
 
過酷な研究環境の中、待望の博士論文へ向け多くのお仲間や関係の先生方、地域住民、村人のみなさんの期待を背負いながら、いよいよ正念場(本気で取り組む場面)へさし向かっていただきたい、と心から思いました。

 心から成果へ向けてあと一歩、あと一歩とたゆまなく歩んでいただきたいと声援をお送りします。

さて、通度寺の近くにお住まいだった陶芸家の先生がたとの邂逅に、以前、この地へ来たことがあるような、どこかで遠くの記憶をあぶり出すような、そしていよいよ私は驚愕するばかりでした。

聞くお話がすべてお懐かしい物語だったのです。
どこかで聞いたことがあるお話しばかりだと不思議なご縁を感じないではいられなくなりました。

以前、釜山から北へ登ったこの地方へ窯元踏査へ行ったのは2000年のことだったのです。
もはや19年もまえのこと。
 
私は昨年、ユネスコ世界遺産委員会(中東・バーレーン王国)に立ち会いました。
その際、世界文化遺産に見事登録された「韓国の山寺」の重要な構成資産:通度寺(トンドサ)のことを何気なく考えていました。

今回のエクスカーションで行ったあたりが、どうやらじわりじわりと既視感覚(デジャブ)的に思い出されてくるのです。

お会いした方々を通して、みなさんが申正煕先生の窯元出身だということを知り、驚愕したのです。

2000年踏査時に、申正煕先生の窯元をお訪ねしたことになります。

当時の私の同行者には大分県日田市皿山の小鹿田焼窯元のおひとり坂本工(たくみ)さん(17世紀初頭の慶長・文禄の役で日本へ連行された朝鮮陶工の間接的な末裔のひとり)もいました。
 
そのため、茶陶のみならず、朝鮮の白磁、青磁をはじめとする陶芸全般に関していろいろなお話を興味深く聞き込んでいったのです。
 
そこからさらに慶尚北道の聞慶へも足を伸ばして千漢鳳先生にもお会いすることができました。
 
申正煕先生と千漢鳳先生こそが、戦後韓国に麗しい茶陶世界を蘇らせた重要な御仁だったということものちに調べてわかりました。
 
申正煕先生がそんな経緯を私たち訪問者に切々とお伝えいただいた際の様子を描いた私のスケッチが自宅にあったのです。
 
帰国後、早速自宅でスケッチをふりかえることができました。

その際の私たちの窯元探訪の珍道中にもさまざまなエピソードがあり、懐かしい記憶がたくさんあります。

そのうえで、今回お会いできましたお二人がそれぞれ申正煕先生の直接のお弟子さんと、一番弟子の朴先生の息子さんとは不思議なご縁だと感激したのです。
 
あらためて張相哲先生、そしてお若い朴さんのプロフィールを詳細に知りたいと思いましたし、私のほうで、2000年に貴地訪問をした際に同行してくれたお仲間たちにもこのことを報告し、希望があれば彼らにも再訪をしませんか、と提案したいと念じます。

とりわけ緩い勾配の登り窯を自分でつかれたという張相哲先生のお許しをえて、窯の内外をじっくり拝見していた際に、申正煕先生のところの窯の様子を思い出したのです。
 
私が当時、描いた拙いスケッチにその緩勾配の上り窯も描かれていました。

あいにく申正煕先生がお亡くなりになっていることを初めて知りましたが、息子さまの申翰均先生が幅広くご活躍されておられることもたいへん嬉しいお話でした。

まずは私の2000年に現地で描き彩色を施した際の拙いスケッチを暗い部屋で撮影したデーターでお送りします。
 
長らくフィールドワーカーとして世界中を歩いていると思いもかけない邂逅に祝福されることも少なくありません。
 
そのためには、ささやかでも私自身が生存し続けていることが必要だとあらためて思いました。

そして張さん、金眠釘先生には、このような再会の機会をもたらしてくれたことに深く感謝します。

今度はあなたがたが博士研究に基づき生み出してきた世界観と私たちを出会わせてくださることを祈念しています。

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