環境・遺産デザインプロジェクト3
第3回
日時:2015年4月28日(火)13:00~14:30
場所:2号館4階 アカデミックコア
出席者(教員)近藤先生
(学生)11名

4月28日『環境的・社会的・経済的持続性と地域評価』(近藤加代子 先生)
Ⅰ.持続可能性指標
持続可能性というのは「将来世代のニーズを満たす能力を損なうことなく、現代世帯のニーズを満たす」ことである。今までは単に環境という面から捕らわれることが非常に多かったが、それだけではなくてア最近は1)環境的 2)経済的 3)社会的の3面で持続可能性を計っている。すなわち「持続可能性」というのは環境的持続可能性を基盤としながら経済的持続可能性と社会的持続可能性の3つの側面の均衡を考慮した正常状態のことであるとされる。
1)環境的な持続可能性:自然及び環境とその負荷許容量の範囲内で利活用できる環境保全システム
2)経済的持続可能性:公正かつ適正な運営を可能とする経済システム
3)社会的持続可能性:人間の基本的権利・ニーズ及び文化的・社会的多様性を確保できる社会システム

1.総合的な指数
1)包括的富指標(Inclusive Wealth Index;IWI)
・人的資本:年齢、性別人口、年齢・性別死亡率、雇用、教育的達成(学歴)、雇用報酬、年齢・性別労働力など
・人工資本:投資、資産の耐用期間、産出(生産量)の伸び、人口、生産性など
・自然資本:化石燃料、鉱物、森林資源、農業用地、水産業
・健康資本:年齢別人口、年齢別死亡率など
→日本は包括的富指標と内訳が主要国と比べて高い。
2)人間開発指数(Human Development Index; HDI)
各国の人間開発の度合いを測る包括的な経済社会指標であり、持続可能性の観点からは「複合指数型の持続可能性指標で主に開発の会社面及び経済面に焦点を当てている。
寿命、教育、所得の三つの分野を総合評価することで算出される。
日本は比較的に高いであるが、ジェンダー不均等指数を入れるとレベルが落ちる。
→ 総合的な判断だけではなくて問題意識をもち他の面も考える必要がある。
3)持続可能性調整国際競争力指数(Sustainability-adjusted
GCI)
「国際競争力ランキング」の作成機関の一つとして知られる世界経済フォーラムは、同ランキングの作成に当たり、各種の統計データと経営者層へのアンケート調査から「国際競争力指数、GCI」を発表しているが「国際競争指数」に加え、持続可能性の観点からこれに調整を加えた持続可能性調整国際競争力指数(Sustainability-adjusted
GCI)を算出している。
・環境の持続可能性(環境政策、再生可能資源の使用、環境の低下)
・社会の持続可能性(基本的必需品へのアクセス、ショックに対する脆弱性、社会的結合)
→これは経済的競争力に関係する観点から取られているが、参考にしながら自分たちで社会の持続可能性というのがまた他の面があるではないかと考えればしたり引き算したりして自分なりの持続可能性という指標も作るのが可能である。

2.環境に特化した指標
1)エコロジカル・フットプリント(Ecological
Footprint:EF)
ある一定の人口あるいは経済活動を維持するための資源消費量を生み出す自然界の生産力、および廃棄物処理に必要とされる自然界の修理吸収能力を算定し、生産可能な土地面積に置き換えて表現する計算ツール
2)環境パフォーマンス指数(Environmental
Performance Index: EPI)
環境の持続可能性の観点から各国を多角的に評価したものである。
Ⅱ.幸福度指標と持続可能性指標
20年、30年前から様々な持続可能な指標が開発されてきたが、どこが弱点かどこに力を入れたら持続可能性が上がるだろうという客観的な政策のために幸福度が地域を計ることになった。
1.OECD: Better Life Initiative
・政府の目的は人々のwell-beingを最大化することである。
1)個人の幸福
・生活の質(健康状態、ワーク・ライフ・バランス、教育とスキル、社会的つながり、市民参加とガバナンス、環境の質、個人の安全、主観的幸福)
・物質的生活条件(所得と財産、仕事と収入、住宅)
―>それを支えるものとして様々な種類の資本の維持が必要(自然資本、経済資本、人的資本、社会関係資本)
2.包括的な富指標の課題
1)自然資本には、市場で取引される一部の供給サービスを除き、重要な生態系サービスの価値が導入されていない。
2)自然資本の代替不可能性・不可逆性など
・気候調整や水の調節や種の保存など、人工資本による代替がきかない自然資本の役割を無視している。
・生態系資本の多くは、一定の閾値を超えると、非線形かつ不可逆に崩壊するおそれがあることを無視している。
3)輸入品の消費などを通じた、国外の自然資本の影響関係や依存関係を反映していない。

Ⅲ.政策指標としての幸福度
豊かさだけでは幸福度を測れない。しかし、政策の目標は幸福度の増大である。
1.狭義の幸福度指標
1)主観的な幸福度を測る方法
「全てのことを考慮して、最近、全体としてあなたはどれくらい人生に満足していますか」という質問で0~10点の点数で回答するものがある。(世界価値観調査、World Values Survey)
2)複数の質問項目を使った測定方法(心理学)
4項目からなる主観的幸福感尺度、84項目からなる心理的幸福感尺度、14項目からなる「ハッピネス尺度、12項目からなる主観的幸福感尺度など
2.世界各国の幸福度指標
政府により幸福度指標は主観的幸福感だけでなく、失業室、平均寿命など様々な客観・主観指標で構成されており、広義の幸福度指標に該当する。
1)OECD Better Life Index
・物質的生活助教:計純調整可処分所得、家計金融資産、就業率、長期失業率、個人収入、仕事の安全性、一人当たり部屋数、住居の基本的設備、住居費
・生活質:平均寿命、健康自己評価、長時間労働者率、余暇と自分のことに使える時間、学歴、生徒の読解力、教育年数、投票率、意見募集制度、困った時に助けてくれる者がいる人の割合、大気汚染、水質、被害率、殺人率、人生満足度
2)イギリス
ボランティア活動をした者の比率、文化的活動に参加した者の比率、スポーツをした成人の比率などはイギリスの特徴。
3)ブータン
仏教国家として寄付(時間とお金)度を測るのが特徴
4)タイ
健康、暖かい家族、活気のある地域社会、より統治機構、周囲の環境と生態系、経済的強さ・回復力
5)日本
・経済社会状況:基礎的ニーズ、住居、子育て・教育、雇用、社会制度
・健康:身体面、精神面
・関係性:ライフスタイル、家族とのつながり、地域とのつながり、自然とのつながり

Ⅳ. 幸福度を通じてみえる九州の地域課題
今までは国ベースの話であったが、今は国のレベルの話はなくなってきて、地方レベルの話になっている。
1.九州の生活満足度
・九州は全国平均より生活満足度が低い。
2.九州における幸福度の向上に向けた取組
1)熊本県
「生まれてよかった、住んでよかった、これからもずっと住み続けたい熊本」の実現に向け、「くまもと幸福量研究会」を設置し、県民幸福の統合指標である「県民幸福量(Aggregate Kumamoto Happiness ,AKH)の骨子を提案している。
<AKHの要因>
・夢をもっている(家族関係、仕事関係、教育環境)
・誇りがある(自然資源、歴史・文化、地域社会とのつながり)
・経済的な安定(家計所得、消費活動、住まい)
・未来に不安がない(健康、安全、安心)
また、県民の実感できる「笑いの数」による幸福指標「SI(Smile Index)」も提案している。
2)福岡県
県民1人1人が福岡県に生まれて良かった、生活して良かったと実感できる「県民幸福日本一」を目指し、「幸福度に関する研究会」を設置した。同研究会です、「安定」「安全」「安心」を向上させる「10の事項」にわたる政策を展開することや、県民意識調査や施策目標によって、PDCAサイクルを取り入れて展開していくとを提案している。
3.幸福度を通じてみえる九州の地域課題
1)所得増加は地域全体の幸福度上昇には寄与しない。所得格差が原因
2)失業率が全国平均より高い
3)健康の面では悪性新生物による死亡率が全国平均より高い
4)出産率は高いレベルであるが、九州でも夫婦共働きの傾向は強まると推察されるので子育て支援、ワーク・ライフ・バランスの実現が重要である。
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