さる2015年8月28日(金)~30日(日)、利賀インターゼミに参加しました。
今年12回目を向かった利賀インターゼミは2泊3日間、富山県利賀村で開催しました。
利賀インターゼミの由来は、1982年からの利賀フェスティバルに始まり、2000年
からはその発展版である利賀サマー・アーツ・プログラムが開催されている
富山県南砺市利賀村にて、サマー・アーツ・プログラムの期間中、プログラムと
連携して行われる、全国の学生の交流ゼミナールです。
九州大学組は利賀村に入る前に金沢市に寄り、創造都市金沢を踏査しました。



2004年9月に開館した金沢21世紀美術館は、金沢の工芸やデザインに刺激を与え
活性化し、新しいものを生み出す土壌を育成するという方針によって設立しました。
都心の真ん中に位置し、市民公園みたいな開放感を持つ場所は、多様な市民教育
プログラム運営しています。金沢21世紀美術館はまさに創造都市金沢を支える軸の
一つになっています。
金沢には金沢21世紀美術館が文化の民衆化(Democratizaion of Culture)による
創造都市政策と、文化民主主義(Culture Democracy)と言える市民文化活動を支える
もう一つの創造都市の軸があります。その一つが金沢市民芸術村です。
「いつでも、だれでも、自由に」という運営方針のもとに24時間市民たちに開放
されています。元々旧大和紡織倉庫群を再生し、総5つの工房で市民文化活動が
行っています。それで、金沢市民芸術村では何々禁止というのはあまりありません。
ただ、円満な運営のため市民お互いに守ることが少しあることで子供も大人も
自由に利用しています。





その他、金沢市民芸術の隣には「金沢職人大学校」があります。金沢には藩政期以来
人の手から手に伝えられた職人の技が今まで、受け継がれています。しかし、
生活様式の近代化、機械化の中で技法の衰退、後継者の不足など厳しい状況です。
そこで、金沢職人大学校は一般の市民を対象するのではなくて、伝統職場の専門家
たちに先輩たちからの伝統伎の伝承や教育などを行っています。


金沢で最後に寄ったのは鈴木大拙記念館でした。伝統を守り現代芸術を受け入れて
いる金沢の文化政策はまさに、鈴木大拙美術館のような伝統とモダニズムを
絶妙に合わせた建築物を誕生させました。
敷地の特徴である小立野台地から続く斜面録地を背景に、石垣や水景などによって
金沢を象徴する景観を象徴し、その中で鈴木大拙の世界を展開していくことを
設計の基本方針としました。
一見、何もないように見えますが、外界と切り離された空間は、自分の意識に耳を
傾ける思索の時間になりました。
「如何なる動きをする場合にも、目的を意識する時は、自由でなくなる。自由である
ことは無目的をいみするが、勿論、放恣という意味ではない。目的という観念は
人間の知性がある種の動きの中に読み取ったものである。(鈴木大拙の言葉―23)」


午後からはくねくねと曲がった山の道を車で走り、いよいよ利賀インターゼミの
会場で到着しました。今年のインターゼミでの発表者は総勢18人で九州大学からは
古賀昌美、藤原旅人、私(ジャン)が参発表を行いました。発表テーマは
古賀昌美 「美術館と共に生きるボランティアー福岡の公立美術館を事例に」
藤原旅人 「アートプロジェクトにおけるボランティア人材の評価と課題」
張慶彬 「韓国村美術プロジェクトの流れと展望」
となり、多くの大先生の方々からアドバイスを頂き、また若い研究者との議論を
行うことができました。




夜になると本格的な演劇を観劇することができました。
利賀サマー・アーツ・プログラムの企画社であるSCOTは1976年東京・新宿から
利賀村に拠点を移し、今年40周年を向かいました。SCOTは利賀村で合掌造りの
民家を改造し、野外劇場・稽古場・宿舎などを建て今年は25カ国から約300人の
演劇人、文化関係者など世界各地から観覧客を迎えています。

利賀村は「人口減少率が高く、また道路アクセス環境にも恵まれていない典型的な
過疎の村であり、抱えている最大の課題は、高齢化と若者の減少により、
地域コミュニティを維持する力が弱くなり、地域そのものの存続が危うくなって
いるということだそうです。
しかし、SCOTはこのような利賀村に入り「国際交流ではなく、国際化した地域を
成立させていること」を活動の独自性の1つとして表しながら、アートの社会的な
介入を重視し、活動を続けています。
今回我々が見た作品も韓国、中国などの国際的な演劇にのみならず、SCOTの代表
であり演出家である鈴木忠志の世界観を感じられる多数の作品を観覧することが
できました。
「むかしむかし、ホーイホイ」
「アンティゴネ」
「エレクトラ」
「世界の果てからこんにちは」
「トロイアの女性」



このように少子化や高齢化に直面した利賀村は、金沢のように市民のための
文化空間拡充を通じた地域創成とは違い、都会と田舎との交流、世界と田舎との
交流を通じた利賀村の世界化、舞台芸術を通じた人と人の出会いを作り出し、
失った地域の元気を取り戻していたことが印象深かったです。
D2ジャン
今年12回目を向かった利賀インターゼミは2泊3日間、富山県利賀村で開催しました。
利賀インターゼミの由来は、1982年からの利賀フェスティバルに始まり、2000年
からはその発展版である利賀サマー・アーツ・プログラムが開催されている
富山県南砺市利賀村にて、サマー・アーツ・プログラムの期間中、プログラムと
連携して行われる、全国の学生の交流ゼミナールです。
九州大学組は利賀村に入る前に金沢市に寄り、創造都市金沢を踏査しました。



2004年9月に開館した金沢21世紀美術館は、金沢の工芸やデザインに刺激を与え
活性化し、新しいものを生み出す土壌を育成するという方針によって設立しました。
都心の真ん中に位置し、市民公園みたいな開放感を持つ場所は、多様な市民教育
プログラム運営しています。金沢21世紀美術館はまさに創造都市金沢を支える軸の
一つになっています。
金沢には金沢21世紀美術館が文化の民衆化(Democratizaion of Culture)による
創造都市政策と、文化民主主義(Culture Democracy)と言える市民文化活動を支える
もう一つの創造都市の軸があります。その一つが金沢市民芸術村です。
「いつでも、だれでも、自由に」という運営方針のもとに24時間市民たちに開放
されています。元々旧大和紡織倉庫群を再生し、総5つの工房で市民文化活動が
行っています。それで、金沢市民芸術村では何々禁止というのはあまりありません。
ただ、円満な運営のため市民お互いに守ることが少しあることで子供も大人も
自由に利用しています。





その他、金沢市民芸術の隣には「金沢職人大学校」があります。金沢には藩政期以来
人の手から手に伝えられた職人の技が今まで、受け継がれています。しかし、
生活様式の近代化、機械化の中で技法の衰退、後継者の不足など厳しい状況です。
そこで、金沢職人大学校は一般の市民を対象するのではなくて、伝統職場の専門家
たちに先輩たちからの伝統伎の伝承や教育などを行っています。


金沢で最後に寄ったのは鈴木大拙記念館でした。伝統を守り現代芸術を受け入れて
いる金沢の文化政策はまさに、鈴木大拙美術館のような伝統とモダニズムを
絶妙に合わせた建築物を誕生させました。
敷地の特徴である小立野台地から続く斜面録地を背景に、石垣や水景などによって
金沢を象徴する景観を象徴し、その中で鈴木大拙の世界を展開していくことを
設計の基本方針としました。
一見、何もないように見えますが、外界と切り離された空間は、自分の意識に耳を
傾ける思索の時間になりました。
「如何なる動きをする場合にも、目的を意識する時は、自由でなくなる。自由である
ことは無目的をいみするが、勿論、放恣という意味ではない。目的という観念は
人間の知性がある種の動きの中に読み取ったものである。(鈴木大拙の言葉―23)」


午後からはくねくねと曲がった山の道を車で走り、いよいよ利賀インターゼミの
会場で到着しました。今年のインターゼミでの発表者は総勢18人で九州大学からは
古賀昌美、藤原旅人、私(ジャン)が参発表を行いました。発表テーマは
古賀昌美 「美術館と共に生きるボランティアー福岡の公立美術館を事例に」
藤原旅人 「アートプロジェクトにおけるボランティア人材の評価と課題」
張慶彬 「韓国村美術プロジェクトの流れと展望」
となり、多くの大先生の方々からアドバイスを頂き、また若い研究者との議論を
行うことができました。




夜になると本格的な演劇を観劇することができました。
利賀サマー・アーツ・プログラムの企画社であるSCOTは1976年東京・新宿から
利賀村に拠点を移し、今年40周年を向かいました。SCOTは利賀村で合掌造りの
民家を改造し、野外劇場・稽古場・宿舎などを建て今年は25カ国から約300人の
演劇人、文化関係者など世界各地から観覧客を迎えています。

利賀村は「人口減少率が高く、また道路アクセス環境にも恵まれていない典型的な
過疎の村であり、抱えている最大の課題は、高齢化と若者の減少により、
地域コミュニティを維持する力が弱くなり、地域そのものの存続が危うくなって
いるということだそうです。
しかし、SCOTはこのような利賀村に入り「国際交流ではなく、国際化した地域を
成立させていること」を活動の独自性の1つとして表しながら、アートの社会的な
介入を重視し、活動を続けています。
今回我々が見た作品も韓国、中国などの国際的な演劇にのみならず、SCOTの代表
であり演出家である鈴木忠志の世界観を感じられる多数の作品を観覧することが
できました。
「むかしむかし、ホーイホイ」
「アンティゴネ」
「エレクトラ」
「世界の果てからこんにちは」
「トロイアの女性」



このように少子化や高齢化に直面した利賀村は、金沢のように市民のための
文化空間拡充を通じた地域創成とは違い、都会と田舎との交流、世界と田舎との
交流を通じた利賀村の世界化、舞台芸術を通じた人と人の出会いを作り出し、
失った地域の元気を取り戻していたことが印象深かったです。
D2ジャン