建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
高齢者とアートの幸せな出会いセミナー開催さる!

ふ印ラボのOB・同人で体奏家の新井英夫さん、お互いを認め合うコミュニケーションは豊かなからだからだ、とファシリテーターぶり!

2015年2月11日(水祝)「高齢者とアートとのしあわせなであいセミナー」が開催されました。以下の写真はその中の一コマ。後半の新井さんによる高齢者へのアートデリバリーを学ぶ参加者のために開催されたユニークなワークショップの様子です。
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 ↓笛でみなさんの気持ちをほぐした後、新井さんに合せて体を動かします。
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 昔、子どもの頃、多くの人がした「♫なべなべそ~こぬけ、そーこが抜けたらかえりましょ♫」をしました。
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これは高齢者を対象にアート活動ができるということを学ぶWSです。例えば高齢者が立てなくても、椅子に座ったままの状態で♫なべなべ♫はできるのです。
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 何人でもできます。
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 最後は全員で手をつなぎ、なべなべでまわりました。
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 この他にも2人ペアになって、片方が花になり手であちこちに花をさかせ、そこにもう片方がチョウチョになってとまるということをしました。立っても座ってもできるので、高齢者も無理なくできます。P2117985
 また、手と膝、指と指(足の指でも手の指でもOK)をあわせたりしました。皆でするとこんな感じ↓。
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 頭をあわせて立ち上がるの図。
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 ピンクのシャツは新井さんのアシスタントをつとめた板坂さん。
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 以上が午後のワークショップの部の様子です。1時間程でしたが、新井さんの大変楽しい指導の下、参加者でゆるやかな関係をつくり、笑いあり、けれど、高齢者施設へアートを持ち込みたい、施設にいる高齢者のQOL(クオリティオブライフ)生活の質をアート活動で上げたいという参加者の熱心な気持ちが見えるワークショップでした。新井さんの指導は身体のあちこちをどこでも使ってくっつけたり、離したりするという大変シンプルで誰にでもできそうに思えました。
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 このセミナーのはじめには主催者のアートサポート福岡の古賀弥生さんから開催趣旨が述べられました。これからの高齢社会において、高齢者の生活の質をアートによって上げることが可能であること、そして、そのためには人々の理解が必要であることを私は知りました。高齢者のQOLをあげるためのアートなのです。今後の社会にあってこれは必要だと思えます。みなさんはなんらかの芸術に触れることのできる老後と、そうでない老後のどちらがいいですか?
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 基調講演として、「高齢者施設へのアートデリバリーについて」と題し、NPO法人芸術資源開発機構ARDA代表・並河恵美子さんがお話されました。もともと現代美術の画廊をしていた並河さんは先鋭的な現代美術が専門的になり過ぎて閉塞し、本来の芸術の役割からかけ離れてしまったと感じるようになりました。たこつぼのような窒息感を覚えたそうです。そこで芸術本来の役割を考え直した時、直感的に「芸術を必要としているのは高齢者ではないか」と思ったそうです。
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 「アートは人間の生と死に必然的に関連するものであると感じます。生きる誰もが根源的に持っている何かに通じ、それを揺さぶるものだと思います。」 アートを高齢者施設の人々と分かち合うことをアートデリバリーと並河さんはいいます。そしてこれは、何らかの成果を求めるセラピーとは異なります。アートデリバリーは関わる全ての人の心と体を解きほぐし、それぞれの生きる力を引き出そうとする試みとのことでした。アートデリバリーの参加者は、アーティストと接することで、その人独自のものを出してくる。この引き出す役割を担うのがアーティストで、アーティストが1人の人間として一人の高齢者に向き合った時に日常では見られなかった根源的な表情や言葉が表出されるのだそうです。アーティストとその方が「共振」し、互いに揺さぶる。それがアートのちからであると並河さんはいいます。
 現場の介護施設の館長さんは、「生活の世話をしているだけではダメなんだ」「このようなアートデリバリーがしたかった」というお話をされたそうです。介護施設のスタッフもアートデリバリーの後は、「あの利用者さんがfこんな面をもっているとは知らなかった。」「今まで見たこともない表情に出会うことができ親しみが持てた」と言っていたそうです。
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 以下は並河さんの講演より、
            アートデリバリーの効果

【高齢者にとって】
 1.失われていたと思われていた能力が引き出される。
 2.豊かな記憶・思い出を受け止める場となる。
 3.他の人々とつながる一体感を味わう。
 4.アーティストの専門的は講評でほめられ、自己肯定感が生まれる。

【アーティストにとって】
 1.アーティストとして生きる意味、表現する根源性を問われる。
 2.人として生きていく力をもらう大切な時間。
 3.身体的なアプローチから眠っている経験、記憶、感情を引き出す工夫が必要。
 4.この場で新しく生まれる予期せぬ表現がでてくる時間。
 5.作品制作とは違うコミュニケーションの場が持てる。
 6.自分を試されるこわい現場。

【施設スタッフにとって】
 1.施設スタッフ自身の心の解放となる。
 2.高齢者との関係が変わる。-高齢者の意外な面や能力を発見して親しみや尊敬の気持ちが深まる。一緒にワークショップに参加して、「あなたはおもしろい人ですね」等と言われ、人として対等な関係性を実感する。
 3.同僚のいつもとは違う意外な面を発見してコミュニケーションが深まる。

 コーディネーターの役割
 
プロジェクトの全体を統括し、施設とアーティストのマッチング、講座、ワークショップにかかわる。

 コミュニケーターの役割
 WS内容を理解して、アーティストと利用者の間に入って進行を手助けする。
 その現場に居合わせた人たちとの協働であるという意識を持つことが大切。
 相互交換できた一瞬が自分へのエネルギーとなる。

 並河さんによると、文句ばかり言っていた利用者が喜びを言うようになった。10分おきにトイレに行っていた人が集中できるようになったということがあったそうです。

 新井さんにとってのアートデリバリーとは、
 ・自分自身が面白い
 ・スリリング
 ・なんでアートデリバリーに参加しているかわからない人もいるということはスリリング
 ・アートデリバリーは舞台と同じで世の中に対してエネルギーをoutputすることである。
 ・言葉づかいには気をつけている。
 
 もちろん課題もあります。
 ・アートデリバリーへの理解がまだない。
 ・ボランティアによるレクリエーションと同じ扱いになり、軽んじられる。
 ・施設からは、「ボランティアの場を提供してあげている」という扱いもあった。
 ・アートデリバリーをするにあたり職員側の申し送りがきちんとされない。
 ・施設スタッフにアートデリバリーを支援する余裕がない。
 ・かかる費用を助成金だけで続けていくことの困難さ。

 並河さんの講演では、新井さんの施設でのWSの様子も紹介されました。

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 次に、熊本県立劇場事務局次長・企画事業課長の本田恵介さんによる報告が行われました。

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 平成14年からクラッシック音楽のアーティストを派遣しているそうです。アートの可能性を社会に活かすことが使命とのこと。自分の意志ではホールに足を運べない人のところへアーティストが出向くアウトリーチにより豊かな社会を目指します。
 
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 アートと医療が一緒に取り組むことができるとは思ってませんでした。しかし、高齢社会にあって、どのような老後を望むのか、最期まで人間らしく生きるとは何かを考えさせられるセミナーでした。

 ただ生きているだけでは良い生と言わず、アートがありそれに接することで人間らしい、より良い生になるのだと思います。


  ↓の写真は研究室を訪問してくれた新井さんと板坂さん。
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                             セミナー参加者:  岩  井





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