建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
秋晴れが心地よい10月30日(木)九州大学大学院授業「国際文化遺産保護法」の
授業のいっかんとして、三井三池炭鉱の遺産を巡る大牟田・荒尾フィールドワーク
を行いました。
「国際文化遺産保護法」は、世界遺産への観点を通して包括的な文化遺産への理解を
促し、遺産保護のための基本法への理解と援用能力を体得していく授業です。
包括的な国際文化遺産保護に関する制度設計、保存管理における市民社会の役割を
理解すると同時に、今後の世界文化遺産の保存管理に対する積極的な行動指針を
獲得していくことを目標にしています。  

明治期以降、日本最大の炭鉱として栄えた三井三池炭鉱は「明治日本の産業革命遺産
九州・山口と関連地域」の構成資産の一部として、2009 年にユネスコ世界遺産暫定
リストに記載されました。 2014年10月には、ユネスコの諮問機関であるイコモス
(国際記念物遺跡会議)の調査団による視察調査を終え、いよいよ世界遺産としての
価値が問われる最終段階となっています。
今回のフィールドワークでは、これらの遺産を踏査し、国際的な文化遺産保護の
あり方を実践的に学びました。 世界遺産の対象となる構成資産に限らず
各遺産を包括的に見ることによってその意義や課題を考察しました。


スケジュール
  9:00  大橋キャンパス出発
10:30  世界遺産候補 宮原坑跡地見学  ガイド:山田隆二さん
11:15       乗車 大牟田市石炭産業科学館へ移動  
11:30  大牟田市石炭産業科学館  ガイド:中野浩志さん
12:40  乗車 昼食 高専ダゴへ 
12:50  高専ダゴにて昼食  
13:50  乗車 荒尾市万田坑へ移動
14:00  世界遺産候補 万田坑跡地見学 
15:40  乗車 三井港倶楽部へ移動
16:00  三井港倶楽部見学 
16:30  バス乗車 三池港へ移動
16:40  三池港 見学 
17:00  バス乗車 大学へ移動
18:30  大橋キャンパス帰着 解散 


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宮原坑 (国指定 重要有形文化財 国指定史跡)

まず最初に、宮原坑に向かいました。宮原坑は、官営時代に開坑された炭鉱の一つで
明治31年(1898)年に第一立坑開坑、昭和6年 (1931)に閉坑します。
三井三池炭鉱が閉山した平成9年(1997)後も、2000年頃まで坑内点検のため稼働
していました。團琢磨による排水のためのデービ−ポンプ導入、囚人労働、
明治・大正期の主力坑となるなど、三池炭鉱の黎明期を象徴する竪坑です。
NPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまちファンクラブの山田隆二さんに大変詳しい
ガイドをいただき、一同興味津々。三池炭鉱における宮原坑の全体的な位置付けや
社会的背景から竪坑の細部に渡る構造まで、親切丁寧に、大変分かりやすく
ご解説いただきました。
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小学生も調べ学習で宮原坑の見学にいらしていました。




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大牟田市石炭産業科学館
石炭館では、同じく石炭館の職員かつNPO法人大牟田・荒尾炭鉱のまち
ファンクラブ理事長の中野浩志さんにガイドをいただきました。全国には数多くの
炭鉱に関する資料館が存在しますが、こちらは近代的な炭鉱に焦点を当てている
点が独特です。より詳しい資料や、三池炭鉱で実際に使用されていた工作機械など
を通して、三池炭鉱の歴史や坑道の状況、仕組みなどを学びました。



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お昼は大牟田名物、高専ダゴ!
ダゴとはお好み焼きのことで、大きさ縦30cm×横50cmくらいの大きなものです。
名前の由来は有明高専にもとづき、産炭地に欠かせない技術者・技能者育成を目的に
創立された国立高等専門学校の近くで開店していたダゴ屋さんが、昭和40年代に
有明高専の学生にたっぷり安くお好み焼きを食べさせようとして、どんどん大きく
なっていたという由来があります。



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指定 重要有形文化財 国指定史跡 万田坑
 午後はいよいよ万田坑へ。
明治35年(1902)年、三井鉱山が模範炭鉱となるよう総力を挙げて建設し、第一立坑は
当時わが国において最大規模のものでした。現在、第一竪坑は坑口以外現存せず
第二竪坑、安全灯室、浴室、扇風機室、ポンプ室、倉庫、職場などが現存します。
万田坑も非常に多くのお客さんで賑わっていました。
こちらでは万田坑ファンクラブの陣内透さんにご案内いただきました。
明朗な解説は非常に分かりやすく、独学で得た多くの知識と、自らの記憶を織り
交ぜて語っていただきました。
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市指定文化財 港倶楽部

港倶楽部は、1908年に團琢磨が三池港の港湾整備を行ったと同時に建設され
外国高級船員の宿泊や接待、皇族や政財界人の迎賓館として広く利用されました。
当時の贅を尽くしたとされる港倶楽部には、伊藤博文や井上馨など日本を代表する
人物の書や昭和天皇が行幸された際の貴重なお写真などが残っています。
ハーフティンバー調の建築からは船旅の疲れを忘れさせるような別荘のような
雰囲気が漂っています。館内のご案内は藤田さんにいただき、当時宿泊客のお世話を
するボーイさんが寝泊まりしていたという、3階の屋根裏に通じる場所なども見せて
いただきました。一時期は炭鉱閉山によって解体の危機に面するも、市民主体の
経営団体が発足し、現在は総合結婚式場、レストランとして営業しています。
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三池港
最後は、石炭の積出港として整備された三池港を巡りました。有明海は遠浅で
干満の差が6m近くある場所ですが、團琢磨によって1908年に三池港として開港。
それまで口之津港で積み替えを行っていた石炭の輸送が飛躍的に合理化され、
上海、香港といった外国への石炭の輸出に貢献しました。
イギリスの各産炭地の港を手本に造られた港は、100年経った今でも現役で
稼働している大変貴重な港です。




一日かけて各遺産を見ることによって、三池炭鉱の全体性を把握しながら各遺産の
特徴や魅力、相違点や保存活用の方法を見ることができました。
ガイドの方々の素晴らしいお話によって、歴史的背景、構造の仕組み、遺産の価値
などが語られ、質疑応答などのやりとりを通すことによって、そこにある遺産が
何倍も魅力的に、活き活きと感じられることが非常に嬉しく、興味深かったです。
同時に、小学生から大人の方々まで賑わう風景に驚き、炭鉱遺産が再評価され
地域の重要な遺産として認知されつつあることを実感しました。世界遺産登録に
向けての機運が高まる中、地道に保存活用に携わり、こつこつと積み上げてきた
方々の話は非常に説得力や重みがあります。私たちが世界遺産という規定された
評価を視野に入れながらも、どのようにして地域や訪れる人々に
遺産そのものが持つ物語への共感や愛着を持ってもらえるのか、これからも
じっくりと考えていきたいと思いました。
今回のフィールドワークにご協力くださった方々にお礼を申し上げます。
どうもありがとうございました。


11月3日(月・祝)には、三池炭鉱関連施設を一斉公開する企画が例年通り
開催されます。普段はなかなか見学することができない三川坑も見ることが
出来、無料シャトルバスが運行されるなど良いチャンスとなっておりますので
興味のある方はぜひご参加ください。

福岡県案内HP http://www.pref.fukuoka.lg.jp/contents/romanfesuta-2014.html

D3 國盛

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