

さる5月9日(金)、九州大学大橋キャンパスにて映画『まちや紳士録』が上映され、プロデューサーの川井田博幸氏と監督の伊藤有紀氏がご来学下さいました!

今回は学府授業「環境・遺産デザインプロジェクトⅢ」で八女市を対象に調査研究活動を行なう一環として上映されました。
映画の舞台になっているのは伝統的建造物群保存地区に指定されている八女市福島地区。白い漆喰仕上げの壁や瓦屋根の町家が軒を連ねる風情ある、落ち着いた佇まいの町です。
この町でも、日本中の地方都市が抱える問題と同じように少子高齢化、過疎化、町の郊外化が問題になっています。またこの町はかろうじて守られましたが、「スクラップ・アンド・ビルド」の考え方のもと、快適さや効率の良さが押し出され、日本中の伝統的な町並みは壊されてきた背景があります。
しかし一方で八女福島の住民たちの草分け的活動により、昔からある古い建物が保存再生され、その結果か若者たちの移住が増えているのだとか。劇中でも最近外から福島地区へ移り住み、雑貨店を営んでいるとある男性がピックアップされていましたが「町家は雰囲気もよく広いのに格安。福岡ではこうはいかない」と語っていたのが印象的でした。
監督の伊藤有紀氏はこの福島地区へ移住したということで、監督の視点からドキュメンタリー形式で作品は進んでいきます。
私が特にこれは!と思ったのが現場で作業をされていた大工さんの技術です!(あまり本編とは関係がないかもしれませんが…)詳しくは映画をご覧になっていただきたいのですが、古材と新材を釘を使わずにつなぎ合わせる方法など、目から鱗が落ちる思いでした。と、同時に現場の職人さんに未だに保存修復という概念が伝わらず、途中経過をすっとばして汚かったものを綺麗にしてしまうという問題もあるようです。保存修復にはその過程の一挙手一投足を記録し、後世に伝えていき、後の世でまたその過程が振り返られることに意味があるはずです。








