大学院授業の1つ「環境・遺産デザインプロジェクト演習Ⅲ」が本年度も
開始しています。大変遅くなりましたが、現在までの演習の進捗をご報告いたします。
2011年3月11日に東日本大震災が起こり、一年と3ヶ月目を迎えようとしている
ところです。私たちは九州の遠く離れた地域に住んでいますが、震災に
対して考え行動していく姿勢は日々強固なものにしていかなければなりません。
本年度の演習では、「大震災を知る、見る、考える」という主題のもと、
文献調査から現地調査を通して震災を考えていくものです。
第一回オリエンテーリング「大震災を知る、見る、考える」
授業の目的: 2011年3月11日に起こった東日本大震災は、人々の生活環境を
根こそぎ奪ってしまったものであった。それでも私たちは生きて行かなければ
ならない。日本に住んでいる社会の一員として、人が住む環境を考えることは
社会的役割の大きな柱の一つである。東日本大震災の復興計画を立てることは
困難かもしれないが、少なくとも何が起こっているのかを知る必要があるだろう。
現地踏査では自分自身が主体的に踏査するようにする。各々が見てきたものを
共有することで震災に対する考えを深める。 (谷先生)
石村先生 :
被災地を見るだけでも大きな学びであると思う。被災地の人の心境にどれだけ
寄り添えるか、これは研究者として非常に重要なことである。今回の地震は
広域な被災であった。広域であるということは、様々な地形、環境、集落の
場所が被災したということだ。また地震、津波、原発と複数の要因によって
人々の生活は脅かされてしまった。これらを自らの目で見る、ということは
社会を考える大きな素材となるであろう。
包清先生 :
阪神・淡路大震災で、学生生活を送った場所が全てなくなってしまった。
その後は福岡沖玄海地震で離島が破壊されたことに対して調査研究を行った。
被災した方々が復興していくプロセスに介在する方法を模索したいと思った
ことが動機であった。震災の被害が拡大しない為にはどのような都市計画が
必要なのか、普遍的な問題として捉えていきたい。防災に強い地域はどのように
して構築するのか、被災地が生活を再開するための方法を当事者として考えていきたい。
福島先生 :
ただ見るだけでは授業である意味がない。まず見る方法、知る方法から
学ぶ必要がある。この授業を通して適切な研究方法を習得することも重要である。
ビブリオグラフィの作成を通して文献の収集を行うころから始める。
岸先生 : 学部一年生の時に阪神・淡路大震災を体験した。東日本大震災は
それとはまた違った光景であり、衝撃であった。震災の体験者として今回の
ことも考えていきたい。
授業形態・・・
①現地踏査までの震災に対する情報の収集・学習
②現地踏査のプランニング
③仙台へ現地踏査
④レポート提出
第1回授業までの課題 5.10[水] 8:40- 2号館 235教室
| 災害復興史のビブリオグラフィ
出題 福島綾子先生
関東大震災、太平洋戦争、阪神淡路大震災など、過去の繊細、災害において
建築、景観、都市・農村計画、歴史、人類学などのアカデミアがおこなった
災害復興計画や災害に関する研究にはいかなるものがあるか、各自が小テーマの
設定し、ビブリオグラフィを作成する。
手順
1 ビブリオグラフィの小テーマを設定
2 学術書、学術論文を中心に収集
3 20件以上の文献を挙げる
4 日本語及び外国語両方の文献
5 文献は科学技術情報流通技術基準により記述
6 ビブリオグラフィからうかがえる研究の動向、傾向を説明
7 ビブリオグラフィの中から2件の文献の概要をまとめる。
現地調査の前に文献調査、被災地の地理の把握、各人の研究テーマを設定し、
現地踏査までの準備を行います。先生方の体験談やご示唆などをいただきながら
少しずつ今の被災地に近づいていくことが出来ればと思っています。
[D3 國盛]









