”Q大日田ラボ”を構えて一年が経ちました。この日の総括シンポジウムは
第一部で日田ラボの紹介と一年の活動の振り返りを、第二部では各地域で
様々な分野からまちづくりに取り組むゲストとの対談により、まちづくりとは
どういったものかを改めて考えるものとなりました。 日時:2012年3月11日(日) 13時30分開場 14時開演
場所:パトリア日田小ホール 基調講演 九州大学教授 藤原惠洋氏 「地域再生の3つのてがかり~文脈・矜恃・紐帯~」シンポジウム パネリスト 千代田健一氏 (日本全国スギダラケ倶楽部広報宣伝部長・インテリアデザイナー プラザ日田アドバイザー) 合原万貴(たかま.net・プラザ日田) 安部純子(別府市役所・BeppuProject前事務局長) ■日田世間遺産写真展同時開催 |
まちづくりは、よく「よそ者・ばか者・若者が介入するとよい」という
言葉を聞きます。よそ者・ばか者・若者とはどういった人達の、どういう
活動を指すのでしょうか。
日田ラボは、よそ者が地域に入ってまちづくり活動を行う意義を実験
実証する場所として構えられました。”ラボ”と銘打ったのもその理由です。
地域住民を時として挑発し、地域の活動に便乗し、活動や人の輪を膨らませていく
機会を創出するための場所と言えます。よそ者が地域を「見つめ」、
地域住民が「見つめられる」ことによって「公共」という場が生まれます。
利害関係のない人と人の繋がりを作り、個人を公共化していくことによって
地域に還元されるものが多くなり、まちが様々な要素で活き活きとしてきます。
「ばか者」と言われるある分野に長けた「オタク」や「○○ばか」といった人たち、
若者の力が介入することによって専門性やクオリティ、オリジナリティ、
発信力が広がりまちの魅力が増幅してゆくのです。
このような活動を行うには拠点を構えることが重要です。往来する人を迎え
留め、地域住民と濃密な関係を築くために、天神町にある旧横尾家内の
下の離れ(通称シタンキャ)にラボが構えられました。長らく異業種交流プラザ
日田メンバーで数々の企画イベントを実施していたタカクラタカコさんも
中心となって活動を行っています。

日田住民の特色・・・
日田はかつて天領と制定され、九州の主要地の交流拠点として興隆し
機能してきました。親子代々地域で顔見知りなので、都市のように積極的に
自らを名乗り語り合う場所というのは少ないようです。普段は地域どうしの
繋がりが見にくいな、とよそ者は地域に入りにくさを感じてしまうのですが
夏の祇園など地域のお祭りは地域住民の顔が見え、一体感も素晴らしいものです。
林業、水郷(すいきょう)、日田梨、酒造、小鹿田焼など日田は文化や産業、
資源が豊富にあります。これからは人と人が見えやすくなり、出会わせる
コーディネートが重要です。
日田ラボの成果・・・日田ラボでは毎月2回、ご隠居カフェを開催してきました。
講演会、対談、日中のフィールドワーク、まちづくりワークショップ、
音楽祭やバリ舞踏団の講演の主催など、一年の活動は実に幅広いものとなりました。
様々な業種、年齢の人が集い交流することで人々の人生が明るみになり
つぶやきを起こし、そのつぶやき(エピソード、願望、問題など)が飛び火し
地域の歴史的文化、特産、とくい技によって現実のものとして立ち上がるのです。
物語はとても重要です。都市の消費社会と地域ではモノの流通の仕方が違います。
地場産業、顔の見える生産者、モノと消費者の間には人間関係や物語が必須です。

第二部ではゲストを3名お迎えし、藤原先生が司会をされながら対談が
進みました。日田で林業家を継がれる合原万貴さんは、日田杉を活かして
まちづくりに貢献したいとおっしゃっていました。かつては日田で企画
イベントの実施に奔走し成果をあげてきましたが、林業の跡継ぎと企画主体の
まちづくり活動にギャップを感じるようになったそうです。それからは
林業に主軸を置き、日田に林業の面から貢献していきたいとおっしゃいました。

二人目のゲストはBeppu project前事務局長”世界のあべりあ”こと
阿部純子さんです。別府市役所の国際交流課に席を置くあべりあさんは
温泉街の別府をアートと融合させることで、別府の新しい魅力を精力的に
発信されています。2005年に山出淳也さんを代表にNPO法人
Beppu projectを立ち上げ、2009年には「混浴温泉世界」という現代芸術
アートフェスティバルを開催します。アートはまちの中で忘れられ
捨てられようとしていた場所や歴史に再びスポットを当てる効果をもたらしました。
他にもAPU(アジア太平洋立命館大学)の留学生と小学生を出会わせる
出張ワークショップを予算限度以上の数をこなし、子どもの未来を真剣に
考えている気持ちがひしひしと伝わってきました。まちづくりは継続が
本当に大切で、大きなことはやっていない、小さなことをずっとずっと
継続することで少し変わるものかもしれない、と話されます。
まちには「ばか」が必要だ!と,何かに熱狂する人の能力を地域に開放する
ことの大切さをお話されていました。

最後には内田洋行やパワープレイスでデザイナーをされ、間伐材の杉を
使ってデザインでまちづくりを行っていく「日本全国スギダラケ倶楽部」
のメンバー、千代田健一さんです。安価で安定し、迅速に対応する大量生産
された家具により地場産業が激しく衰退する様子を目の当たりにした千代田さんは
自らの仕事や経済の在り方に疑問を持つようになります。それがきっかけとなり
大企業と地場産業がコラボレーションする「スギダラ」活動を開花させて
いくようになりました。地域の杉材、内田洋行の持つ優れた技術による
スチール部品の組み合わせは、林業家の方々と深い付き合いの中で生まれる
ものです。「木は自分たちが作ることを可能にする。ワークショップや
イベント形式で、人々が場に居合わせ、素人も一緒に自分の空間を作ることが
大切」だとおっしゃっていました。プラザ日田のアドバイザーとしても
活躍中の千代田さんは、「日田」とかたどった柵を考案中で、これらが
まちの掲示板としてあちらこちらに使われるようになることを計画されていました。
会場外では「日田世間遺産写真展」が同時開催されました。地元の人も
見たことがない世間遺産に会話が弾みます。設営には多くの関係者の
方々も手伝ってくれました。どうもありがとうございました。
シンポジウム終了後はQ大日田ラボで懇親会!日田ラボで収穫した野菜を
たっぷり使った鍋は、藤原先生が自らふるまってくださったもの。
いしりとにんにく、長ネギの組み合わせは絶品です!留学生もレシピに
興味しんしんでした。ゲストも交えての話はいろいろと学びが多く
最後は亀山亭の温泉までお借りして、夜はとっぷりふけてゆきました。


継続すること、交流すること、交流から生み出すこと、それらが地域に
還元されること、ひとつひとつを改めて丁寧に考える貴重な時間となりました。
























