筑波大学教授・稲葉信子先生の集中講義「国際文化遺産保護法」の第2回。
今回は、「文化遺産の真実性について」講義を受けました。文化財や遺産が本物であるかないかということの意味やそれを判断する際にどのような問題やものの考え方が出てくるのか、といったことなどについて、世界遺産という国際的な現場における議論の様子を交えながらお話されました。
世界遺産条約において、文化遺産、自然遺産として認定を受ける条件のひとつに、「真実性(authenticity)、完全性(integrity)」が挙げられます。つまり、ある対象が「本物であるか」ということです。このことは、文化財の保存・修復をするにあたっての文化や手法が大きく影響することで、特に木造建築の解体修理を文化とする日本においては、この「真実性」をどう証明するかということは大きな問題であった、と世界遺産条約を日本が批准した当初(1992年)を振り返り、稲葉先生は言います。
このことに大きく関わるのが1964年にユネスコによって採択されたベニス憲章で、歴史的建造物を修復する場合における部材は当初のものを尊重すること、損失のある箇所を補足する場合は科学的な根拠のある復原とすること、当初からの部材と修復された部分が明確に区別できるようにすることなど、保存・修復にあたっての基本理念が記されています。この憲章によって、大きな欠損のある壁画や建築であってもその真実性を認められ、世界遺産に認定を受けることが可能であるのに対し、日本の保存・修理の方法は適さないという批判が相次いで起こったそうです。
そこで稲葉先生たちがその批判に対して行った発言というのが、1994年の世界文化遺産奈良コンファレンスでの発言です。そこでは、日本の木造建造物の修理手法がどのように行われているかということの科学的論理的根拠や、伊勢神宮の式年造替の文化について論じられました。全焼という歴史をもつ法隆寺や首里城(厳密にいえば、建造物群が世界遺産として認定)や姫路城が世界遺産として認定されたことの背景にはこういう議論があったのだということが分かりました。
このことに大きく関わるのが1964年にユネスコによって採択されたベニス憲章で、歴史的建造物を修復する場合における部材は当初のものを尊重すること、損失のある箇所を補足する場合は科学的な根拠のある復原とすること、当初からの部材と修復された部分が明確に区別できるようにすることなど、保存・修復にあたっての基本理念が記されています。この憲章によって、大きな欠損のある壁画や建築であってもその真実性を認められ、世界遺産に認定を受けることが可能であるのに対し、日本の保存・修理の方法は適さないという批判が相次いで起こったそうです。
そこで稲葉先生たちがその批判に対して行った発言というのが、1994年の世界文化遺産奈良コンファレンスでの発言です。そこでは、日本の木造建造物の修理手法がどのように行われているかということの科学的論理的根拠や、伊勢神宮の式年造替の文化について論じられました。全焼という歴史をもつ法隆寺や首里城(厳密にいえば、建造物群が世界遺産として認定)や姫路城が世界遺産として認定されたことの背景にはこういう議論があったのだということが分かりました。
「本物をどこに認めるか」は、地域に関わらず個人が考えるべきことだと稲葉先生は言います。それは、文化の多様性を尊重することや変化を前提とする文化遺産への関心の高まり、持続可能な開発や地域振興など世界の「現在」とどう向き合いながら物事を捉えるかという姿勢でもあるように思いました。
次回の講義のテーマは、「世界遺産の顕著な普遍的価値について」です。
次回の講義のテーマは、「世界遺産の顕著な普遍的価値について」です。
[D3 A. Nakamura]
















