2011.6.10.藤原先生が教鞭を取られる大学院授業「芸術・文化環境論」に
彫刻家であり神戸芸術工科大学専任講師:谷口文保先生がゲスト講師としてご来訪。

谷口先生は地域と連携したアートワークショップを多数開催してこられました。
その中でも2008年から継続している「えびすアートプロジェクト」は、
障害者とアートの関係が社会と結びつき、豊かなコミュニティを築くための
様々な人々との恊働によるプロジェクトです。
兵庫県たつの市堂本にある福祉事業所NPO法人えびすは、企業への就労が
困難な障害者が共に働く場です。
NPO法人えびす
http://love.ap.teacup.com/ebisu-yasai/
知的障害者の就労支援であるえびすでは、手作りパンや「さをり織り」など
製品を作って販売しています。ここに、谷口先生のアートの力が加わります。
きっかけは、障害者の方が描いた絵がとても魅力的で、その原画を基に
アートを創出することを思いついたことでした。
神戸芸術工科大学のファッション学科と、障害者の表現があわさって、
エプロンができあがりました。
作品収益の20%は、えびすアートプロジェクトに還元され、利用者に均等に
配分されます。障害者の社会参画が飛躍的に拡大する活動です。
障害者の方の原画 → 学生とのコラボレーションによる作品制作 →
デザイン学科学生がエプロンデザイン→工業高校とのコラボレーションにより
ファッションショーなどなど、地域の濃密な連携から新しい可能性が
どんどん広がります。
「みっくすさいだー」というグループの活動のご紹介もいただきました。
みっくすさいだーは、2006年に神戸芸術工科大学のファッションデザイン学科の
学生が、知的障害者の青年とのコラボレーションによって展開される
デザイングループです。障害者のNさんが描いた原画が、デザイン学生によって
魅力的なテキスタイルに変わり、企業とのコラボレーションも果たします。
障害者の方の誇りや自身が創出され、デザイン学生にとっても大変意義深い
機会となっています。
2000年以降、国内で興隆しているアートプロジェクトは芸術家と市民の
関わりを中心に生まれます。民俗芸術の世界では、皆が芸術家であり
信仰や祈りが共通のテーマとなっています。アートプロジェクトは現代の
コミュニティを形成する、祭事的な役割も担っているのではないでしょうか。
質問者:えびすプロジェクトと他の施設との活動の差はどこにあるのですか?
谷口先生:どの施設でもプロジェクトはできる。施設自身が興味関心、
実験的な取り組みを許容できるかがポイントです。また福祉施設との連携の中で
金銭的な還元を中心に求めてしまっては成立しないと思います。
ワークショップ、プロジェクトという言葉はどのような定義なのか?
英語がそのまま日本語として定着し、曖昧な定義で使われている印象が拭えない。
一度日本語で厳密に突き詰めた定義を探し、理論化してまた更なる枠組みを
広げる研究をしたいと思っています。
質問者:障害者とアートの取り組みが全国各地で盛んになっていますが、
ネットワークなどはお持ちですか?
谷口先生:例えばエイブルアートや福岡の「工房まる」などが、障害者による
絵画を原案として、企業に作品として販売するようなルートを作っています。
大阪大学の鷲田先生が代表を務める「アート・ミーツ・ケア学会」も創設され、
コミュニティアート、障害者の方との連携が、社会にとってより還元される
機会の創出が積極的に作られています。
受講生一同、「えびすプロジェクト」や「みっくすサイダー」の活動を通して
アートが社会にもたらす力の大きさや魅力を体感しました。福祉と創造の
コラボレーションの場を「共創美術」として捉え、アートのもつ力を日々社会に
活かされている谷口先生のご活躍に、今後も期待が高まります。














