建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

11月11月20日(土)~21日(日)
熊本県菊池市にて、菊池千年風土時空探検隊ワークショップが開催されました。

菊池市と九州大学の社会連携事業によって実現したこのワークショップは、地元の方々や菊池高校の高校生諸君と九大生とで菊池の町の内外を歩き、中世期から千年間にわたって築かれてきたこのまちの魅力や特徴を感じ取りみんなで共有、そこからさらに課題・問題通してこれからの菊池のまちづくりを考える、という内容です。(D1 國盛) 

11月20日(土)
午後13:00~ 松倉邸にて
菊池高校の生徒、地元の方々、九大生を交えたグループを5つ作り、説明を聞き、自己紹介をし合います。

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~16:30 
隈府、御所通り界隈にて、グループでワークショップシートの問題を解決しながら、まちの魅力、問題点などを収集しました。

まちあるきのコツは、地元の人と触れ合うこと、小さな関心も逃さないこと!普段は入り込めないような場所や人にも話しを聞ける機会になります。
お寺、神社、醤油屋、飴屋、酒屋など、地元の老舗商店には伝統的な文化と土地の魅力が詰まっていました。
いろんな世代や地元内外の人と一緒に歩くことで、まちの様々なものがアイコンとなり、会話や関心が混ざり合うことで、まちづくりのきっかけが見えてくる時間となりました。

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築100年以上の建物はたくさんあります。酒蔵や、生醤油を取り扱う地元のお醤油屋さんもありました 

~18:30
ワークショップシートの設問の答え合わせを行います。問題は 土地の特色や由来の設問、まちあるきをして和歌や川柳をつくる/まちの特産品を食べてみる、まちの特色を拾ったり収集してみるといった楽しく興味深い内容でした。

菊池高校の生徒さんはフィールドワークにとても興味関心を示されていました。何気ない日常が、他者の視点によって魅力的に見える事への新鮮さを感じられていました。一方私自身が菊池高校の生徒さんと関わって驚かされたのは、彼らが自分たちのまちの歴史由来について日頃から非常に親しんでいて、とてもよく知っていることでした。
夜の交流会はこれまで以上に幅広い年代層とまちづくりについて意見交換をすることができました。

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九大生は菊池渓谷と龍谷ダムを見学して回りました。特に菊池渓谷は大変な観光客で賑わっており、自然の豊かさを目の当たりにしました。美しい自然に触れることが非常に希有になっている自分自身を感じ、人が作るべきものを考える上でも、とても重要だと思いました。

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午後2時~3時は、菊池市役所にて基調講演やシンポジウムが行われました。

テーマ「歴史から創造する中世都市菊池~千年風土時空の遡行から~」
講師 堤克彦先生(文学博士)

菊池の都市空間の中に、歴史的遺産がどのように残されているのか、その活用方法案を多々ご呈示いただきました。その後は藤原先生司会のもと、前日におこなったワークショップの成果の発表と、参加者の意見交換からまちづくりのヒントや菊池の特徴を新たな視点から探って行く試みが行われました。
菊池高校の学生さんや、九大の学部生は、まちの歴史と特色からまちづくりの方向性を力強く提示され、多くの人に驚きと新鮮さを与えてくれました。
その一人の、九州大学21世紀プログラム学部2年生 杉山高志さんの感想です。

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私が菊池の地で出会った物は「希望」でした。その理由を簡単に説明したいと思います。
菊池まち歩きで私が目にしたのは、休日にも関わらず閑散とした町並みでした。古来千年の重厚な歴史を有するにも関わらず、目の前に広がる空き家、空き地の菊池中心部の光景。私はあまりの人気の無さに動揺しました。
しかし、夕刻に近づくにつれ、空虚な空間に長い影が伸びるようになりました。菊池は、条里制のような独特な道を形成しています。整然とした町並みは日中は、寒々とした無機質な雰囲気がしますが、夕日に照らされ影が伸びてくると、まっすぐと連なる道に差し込むように通りを歩く人々に長い影を作ります。その影は、奇麗に区画を整理された菊池の風景にとてもよく似合いました。建物の町並みこそ、昔と大きく変容したかもしれませんが、今なお残る町並み・道は、菊池ならではの魅力を今だに感じさせます。
菊池研究の第一人者である堤克彦先生は、菊池の町並み・道を「単なる縦横に整理された条里制なのではなく、複雑に直角を織り交ぜた“攻めにくさ”を兼ね備えた戦略的な町並み」と分析されていました。先人の蓄積した道は、私たちが思っている以上に多くのコンテクストを包含しているのかもしれません。菊池の町並み・道は大いなる財産です。
そうした町並み・道は、まだ菊池に残っています。むしろ、先人たちは、私たちにこの町の道を残しておいてくれたのだと思います。そのように考えると、私たちに菊池を復活させる糸口を提供してくれているようにも思えます。換言すると、私たちに菊池を復活させるチャンスを残してくれていたとも言えるのではないでしょうか。だとすれば、菊池には街を復興させる「希望」があります。私は菊池の地で出会った「希望」を菊池の人々と育ててみたいと思いました。
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私自身が感じた魅力は、お寺の敷地内や将軍木など、長寿の大木が菊池のあちらこちらにある景観でした。遠出をしなくても、日常の中に長い年月を一瞬にして感じられる自然物があることは、工業の街に育った私にとっては非常にうらやましい景観です。
自然物に、重要な人の歴史が関係していることにも奥深さを感じます。都会や地方の開発地域は即物的なものに囲まれています。スクラップ&ビルドの構築物や日々変わる情報、流行、簡易さや利便性などに囲まれた生活の中では、大きな時間軸の中で人の営みを考えることは難しいです。そのような生活空間が当たり前になりがちな昨今、日常生活の中に雄大な自然があり、長い歴史を感覚的に感じ、過去、現在、未来を考えることが出来る環境は希有だと思います。「哲学の道」というものが京都にありますが、そのような雰囲気を菊池にも感じました。


菊池フィールドワークは、引き続き
1225日−26日にも開催されます。
次回は月に一度の「軽トラ朝市」という、軽トラックに出店者が農作物や食品、商品を積んで市を開く催しに出向く予定も含まれています。また違った菊池の魅力に出会える
2日間になることと思います。


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