(8)らんかいどう ふ印ラボ・クリエイティブ・プロジェクト5 建
築詩学
おほてらのまろきはしらのつきかけを. つちにふみつつものを
こそおもへ 会津 八一
これまで軸足としてきたのはあくまで建築史学、それゆえ建築史家
を名乗り、体調不十分な現在もかろうじて下関旧英国領事館保存再生活
用検討委員会や福岡県旧教育庁貴賓館保存再生活用検討委員会、山口県
近代和風建築調査委員会に参画しているのですが、歴史的文脈にのっと
り遺された建築の魅力や意義を訪ね歩く作業はほとんど奈良を歩いた会
津八一の心境そのものと思えます。さらには機会があり、築後30数年
ほどの建物・八女市町村会館と八女市中央公民館に二棟を同時期に再生
する機会が与えられ、劇場・公共ホールと公民館からより多角的包括的
な地域交流センターに転用するというコンバージョン・プロジェクト事
業を率先して動かし出したわけですが、わずかひと世代で建物を更新せ
ざるをえない社会の仕組みから帰せられる矛盾や誤解と現実的なコン
バージョンの不条理さにしっかりと挟まれています。いわば、これこそ
きわめてドラマチック=劇的な状況、にほかなりません。これはまさに
突きつけられる桎梏の物語です。そこでふと、このような不条理な状況
をこそおおいに楽しもうじゃないか、歪んだ次元と無理解の荒れ野を果
敢な月面エクスプローラーのように凸凹縦走しつつ、残された命の時と
空間を彷徨(さまよ)いたい、ふとそこからさむざむとした奈良を歩く
会津八一を久しぶりに夢想しはじめたのです。
また下関市立美術館での最近まで開催された『絵で見る宮澤賢治展』
は出色の展覧会でした。2時間近くもかけて、展示のすべてを喰いいる
ように観覧できたのは幸せでした。ふと小学生時代に読書感想文で「や
まなし」への畏怖すべき感動を書いた事を思い出しました。川底で蟹の
兄弟が、かわせみの攻撃に怯えます。先のとがったものがいきなり水面
から突きだして、一瞬で川面の魚がいなくなったことを目撃した恐怖
感。こんどは直後に大きくて丸い物体が落ちてきたことに怯えます。蟹
の父は「あれはやまなしだ。三日もすればおいしいお酒になる」と言う
のですが、水に浮かぶやまなしはぶよぶよで「酒」の素なのだ、と。昨
年歩いたスコットランドの豊穣なピート大地とシングルモルト・ウィス
キーの相互関係のような嬉しい関係。なしが川を流れていくのを三匹の
蟹は見あげながら、遅れじと水面の下をざざざ歩いて追っていく。一方
の絵と言えば、セロひきのゴーシュの絵本、茂田井武の絵本も見事でし
た。
そう言えば、そう言えば、と宮澤賢治を次々と思い出してとめどがな
かったのです。まるで、20代前半に熱にうなされたようにフランス人
の警句詩人ポール・ヴァレリーを読みふけった頃のように。
さて新年の抱負に、だからこそあえて建築詩学を標榜し、建築詩人を
名乗りたいものだと、と思うようになってきました。昨年、赤面を承知
でこの呼称を一翼で用いてみたいと覚悟を決めて以来の宣言(ささやか
な)です。
しかしながら今、自分の仕事場と抄する研究室でこうした一文をタイ
ピングしているのですが、これはないよね、というのが本音。ぜひとも
「オルウエィズ 三丁目の夕陽」主人公の茶川さんがいつも持っている
万年筆に負けずと私もペンを持ちます。これこそ今年の一番の抱負です。
そう思えば個人的な出来事を重ねて恐縮ですが、突如3年前段階的に
体調を崩して以来、闘病メモの発想で小文を溜め出しており、私じしん
の死生観に立脚した芸術エッセイのようなもの『独白の都市、独白の建
築~豊穣な関係性と紐帯性をよみがえらせるためのデザイン批判』(仮
題)をこつこつ書き溜めています。いつか機会があれば。
(9)らんかいどう ふ印ラボ・クリエイティブ・プロジェクト6 文
化経済学+文化政策学
文化創造と社会経済活動の相互作用と補完関係を実証的に明らかに
し地域ガバナンス(統治)に最大効果的に反映させて行くことを目的
に、文化経済学と文化政策学との両軸に深くかかわっています。以下の
ような実証研究を展開中です。
・地方中枢都市・福岡市における舞台芸術環境の実態と公共性に関す
る調査研究(博士後期課程大学院生安永行政氏による課程博士研究とし
て継続中)
・公立文化施設八女市町村会館のコンバージョンに伴う「基本構想」の
あり方に関する研究(すでに基本構想は受託研究依頼者八女市に対し発
表・提出済み)
・公立文化施設における公共性と文化政策の評価等に関する調査研
究ー福岡県筑後市・八女市・大分県日田市の公立ホール・公立劇場の評
価を巡って(研究室独立プロジェクト)
・平成22年2月市町村合併による新八女市の新市建設計画に伴う文
化振興政策のあり方に関する調査研究(研究室独立プロジェクト)
・熊本県天草地域の豊穣な文化資源を基にした地域内対流型文化政策
のあり方に関する調査研究(研究室独立プロジェクト)
・熊本県阿蘇地域の豊穣な文化資源を基にした地域内対流型文化政策
のあり方に関する調査研究(研究室独立プロジェクト)
・熊本県における阿蘇~天草の地域連携に基づいた地域再生型観光の
あり方に関する調査研究(研究室独立プロジェクト)
・下関市の三大学連携と文化資源を基にした地域づくりのあり方に関
する調査研究(研究室独立プロジェクト)
(10)日田プロジェクト
民陶の里・小鹿田焼の参与調査を開始してすでに15年。一方、か
れこれ10年ほど技術・市場交流プラザ日田のアドバイザーをつとめて
いますが、ここで交流を育んだ人脈のめんめんが日田の魅力アップやま
ちづくりに大きな貢献を重ねています。さらに昨年末、新たな日田市民
文化会館(通称パトリア日田)が開館しました。そこでこれを機に、本
格的な日田研究を展開したいと考えています。具体的には次のような
テーマです。
・小鹿田の里が初の国指定文化的景観地区に指定されました。今後、
こうした小鹿田の景観資源と伝承文化に関する遺産マネジメントの調査
研究と技術支援を展開します。
・全国に冠たる観光地形成の成果を誇る豆田町界隈に対し、未だ十分
なまちづくり計画を樹立することができていない隈町界隈の文化資源調
査と文化クラスター形成に向けた調査研究を行ないます。
・日田産杉をはじめ、日田地域の多次元型森林資源と里山空間の再評
価と保全活用へ向けた森林との共生プログラムを対象とした有効性の検
討を行ないます。
・日田産業試験場と連携した木材資源の魅力アップとデザイン提案の
研究を展開します。
・日田市直営による管理運営でオープンした文化ホール・パトリア日
田の事業評価を調査研究します。
・日田市に展開する年中行事祭礼ならびに観光まちづくり系交流イベ
ントの相互連携と持続展開に関する調査研究と提案実践を行ないます。
・日田市のデザイン・クリティックとコーポレイトアイデンティティ
の有効性に関する調査研究をします。
・日田市の文化資源とソーシャルキャピタル(社会関連資本)を生か
した九州大学大学院芸術工学研究院の創造教育サテライト拠点(ヒタラ
ボ)を設定、持続可能な調査研究と開放系シンクタンク活動を展開しま
す。
(11)バリ・プロジェクト
20世紀初頭より世界の芸術の島として憧憬の地を生みだしてきた
バリ島を対象に、こうした演出されてきた「芸術」の成立と産業化や現
代化の様相を批判的に検証しながら、新たに文脈再生型芸術空間創造の
構想研究を実践しています。現地調査は次回で20回に及ぶため、これ
までの蓄積をアーカイブ化すると同時に、現在の調査地マス村を対象と
した大学院新コース・レベルの総合調査の可能性を検討中です。調査に
当たってはこれまで同様、ビダダリ・ギャラリーのオーナー・スディア
ナ夫妻とともにマス村を基軸にした総合的な地域研究のための受け入れ
体制を確保していく必要があります。
長くなりましたが、2008年新年をステップボードとして、新たな気
持ちで以上のような研究+教育の拠点を創造中です。どうぞ御支援・御
指導をたまわりたいと願っておりますので、今後ともご交流よろしくお
願い申し上げます。
また研究打ち合わせに向けての確実な時間を確保したいと思いますの
で、ご来訪の際は、事前に電話またはメールで予約していただければ幸
いです。
∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬
∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬
Dr.Prof.Keiyo FUJIHARA M.A.
Faculty of Design Kyushu University
Shiobaru 4-9-1 Minami-ku FUKUOKA City JAPAN
zip 815-8540 TEL/FAX +81 (0)92 553 4529 (dial-in)
藤原惠洋 建築史家 工学博士 芸術学修士
九州大学大学院芸術工学研究院教授/東京大学生産技術研究所研究員
日本建築学会正会員・歴史意匠委員会 文化経済学会〈日本〉理事
日本文化政策学会理事 財団法人舞台演劇財団演劇人会議会員
〒815-8540 福岡市南区塩原4-9-1 TEL/FAX 092-553-4529
築詩学
おほてらのまろきはしらのつきかけを. つちにふみつつものを
こそおもへ 会津 八一
これまで軸足としてきたのはあくまで建築史学、それゆえ建築史家
を名乗り、体調不十分な現在もかろうじて下関旧英国領事館保存再生活
用検討委員会や福岡県旧教育庁貴賓館保存再生活用検討委員会、山口県
近代和風建築調査委員会に参画しているのですが、歴史的文脈にのっと
り遺された建築の魅力や意義を訪ね歩く作業はほとんど奈良を歩いた会
津八一の心境そのものと思えます。さらには機会があり、築後30数年
ほどの建物・八女市町村会館と八女市中央公民館に二棟を同時期に再生
する機会が与えられ、劇場・公共ホールと公民館からより多角的包括的
な地域交流センターに転用するというコンバージョン・プロジェクト事
業を率先して動かし出したわけですが、わずかひと世代で建物を更新せ
ざるをえない社会の仕組みから帰せられる矛盾や誤解と現実的なコン
バージョンの不条理さにしっかりと挟まれています。いわば、これこそ
きわめてドラマチック=劇的な状況、にほかなりません。これはまさに
突きつけられる桎梏の物語です。そこでふと、このような不条理な状況
をこそおおいに楽しもうじゃないか、歪んだ次元と無理解の荒れ野を果
敢な月面エクスプローラーのように凸凹縦走しつつ、残された命の時と
空間を彷徨(さまよ)いたい、ふとそこからさむざむとした奈良を歩く
会津八一を久しぶりに夢想しはじめたのです。
また下関市立美術館での最近まで開催された『絵で見る宮澤賢治展』
は出色の展覧会でした。2時間近くもかけて、展示のすべてを喰いいる
ように観覧できたのは幸せでした。ふと小学生時代に読書感想文で「や
まなし」への畏怖すべき感動を書いた事を思い出しました。川底で蟹の
兄弟が、かわせみの攻撃に怯えます。先のとがったものがいきなり水面
から突きだして、一瞬で川面の魚がいなくなったことを目撃した恐怖
感。こんどは直後に大きくて丸い物体が落ちてきたことに怯えます。蟹
の父は「あれはやまなしだ。三日もすればおいしいお酒になる」と言う
のですが、水に浮かぶやまなしはぶよぶよで「酒」の素なのだ、と。昨
年歩いたスコットランドの豊穣なピート大地とシングルモルト・ウィス
キーの相互関係のような嬉しい関係。なしが川を流れていくのを三匹の
蟹は見あげながら、遅れじと水面の下をざざざ歩いて追っていく。一方
の絵と言えば、セロひきのゴーシュの絵本、茂田井武の絵本も見事でし
た。
そう言えば、そう言えば、と宮澤賢治を次々と思い出してとめどがな
かったのです。まるで、20代前半に熱にうなされたようにフランス人
の警句詩人ポール・ヴァレリーを読みふけった頃のように。
さて新年の抱負に、だからこそあえて建築詩学を標榜し、建築詩人を
名乗りたいものだと、と思うようになってきました。昨年、赤面を承知
でこの呼称を一翼で用いてみたいと覚悟を決めて以来の宣言(ささやか
な)です。
しかしながら今、自分の仕事場と抄する研究室でこうした一文をタイ
ピングしているのですが、これはないよね、というのが本音。ぜひとも
「オルウエィズ 三丁目の夕陽」主人公の茶川さんがいつも持っている
万年筆に負けずと私もペンを持ちます。これこそ今年の一番の抱負です。
そう思えば個人的な出来事を重ねて恐縮ですが、突如3年前段階的に
体調を崩して以来、闘病メモの発想で小文を溜め出しており、私じしん
の死生観に立脚した芸術エッセイのようなもの『独白の都市、独白の建
築~豊穣な関係性と紐帯性をよみがえらせるためのデザイン批判』(仮
題)をこつこつ書き溜めています。いつか機会があれば。
(9)らんかいどう ふ印ラボ・クリエイティブ・プロジェクト6 文
化経済学+文化政策学
文化創造と社会経済活動の相互作用と補完関係を実証的に明らかに
し地域ガバナンス(統治)に最大効果的に反映させて行くことを目的
に、文化経済学と文化政策学との両軸に深くかかわっています。以下の
ような実証研究を展開中です。
・地方中枢都市・福岡市における舞台芸術環境の実態と公共性に関す
る調査研究(博士後期課程大学院生安永行政氏による課程博士研究とし
て継続中)
・公立文化施設八女市町村会館のコンバージョンに伴う「基本構想」の
あり方に関する研究(すでに基本構想は受託研究依頼者八女市に対し発
表・提出済み)
・公立文化施設における公共性と文化政策の評価等に関する調査研
究ー福岡県筑後市・八女市・大分県日田市の公立ホール・公立劇場の評
価を巡って(研究室独立プロジェクト)
・平成22年2月市町村合併による新八女市の新市建設計画に伴う文
化振興政策のあり方に関する調査研究(研究室独立プロジェクト)
・熊本県天草地域の豊穣な文化資源を基にした地域内対流型文化政策
のあり方に関する調査研究(研究室独立プロジェクト)
・熊本県阿蘇地域の豊穣な文化資源を基にした地域内対流型文化政策
のあり方に関する調査研究(研究室独立プロジェクト)
・熊本県における阿蘇~天草の地域連携に基づいた地域再生型観光の
あり方に関する調査研究(研究室独立プロジェクト)
・下関市の三大学連携と文化資源を基にした地域づくりのあり方に関
する調査研究(研究室独立プロジェクト)
(10)日田プロジェクト
民陶の里・小鹿田焼の参与調査を開始してすでに15年。一方、か
れこれ10年ほど技術・市場交流プラザ日田のアドバイザーをつとめて
いますが、ここで交流を育んだ人脈のめんめんが日田の魅力アップやま
ちづくりに大きな貢献を重ねています。さらに昨年末、新たな日田市民
文化会館(通称パトリア日田)が開館しました。そこでこれを機に、本
格的な日田研究を展開したいと考えています。具体的には次のような
テーマです。
・小鹿田の里が初の国指定文化的景観地区に指定されました。今後、
こうした小鹿田の景観資源と伝承文化に関する遺産マネジメントの調査
研究と技術支援を展開します。
・全国に冠たる観光地形成の成果を誇る豆田町界隈に対し、未だ十分
なまちづくり計画を樹立することができていない隈町界隈の文化資源調
査と文化クラスター形成に向けた調査研究を行ないます。
・日田産杉をはじめ、日田地域の多次元型森林資源と里山空間の再評
価と保全活用へ向けた森林との共生プログラムを対象とした有効性の検
討を行ないます。
・日田産業試験場と連携した木材資源の魅力アップとデザイン提案の
研究を展開します。
・日田市直営による管理運営でオープンした文化ホール・パトリア日
田の事業評価を調査研究します。
・日田市に展開する年中行事祭礼ならびに観光まちづくり系交流イベ
ントの相互連携と持続展開に関する調査研究と提案実践を行ないます。
・日田市のデザイン・クリティックとコーポレイトアイデンティティ
の有効性に関する調査研究をします。
・日田市の文化資源とソーシャルキャピタル(社会関連資本)を生か
した九州大学大学院芸術工学研究院の創造教育サテライト拠点(ヒタラ
ボ)を設定、持続可能な調査研究と開放系シンクタンク活動を展開しま
す。
(11)バリ・プロジェクト
20世紀初頭より世界の芸術の島として憧憬の地を生みだしてきた
バリ島を対象に、こうした演出されてきた「芸術」の成立と産業化や現
代化の様相を批判的に検証しながら、新たに文脈再生型芸術空間創造の
構想研究を実践しています。現地調査は次回で20回に及ぶため、これ
までの蓄積をアーカイブ化すると同時に、現在の調査地マス村を対象と
した大学院新コース・レベルの総合調査の可能性を検討中です。調査に
当たってはこれまで同様、ビダダリ・ギャラリーのオーナー・スディア
ナ夫妻とともにマス村を基軸にした総合的な地域研究のための受け入れ
体制を確保していく必要があります。
長くなりましたが、2008年新年をステップボードとして、新たな気
持ちで以上のような研究+教育の拠点を創造中です。どうぞ御支援・御
指導をたまわりたいと願っておりますので、今後ともご交流よろしくお
願い申し上げます。
また研究打ち合わせに向けての確実な時間を確保したいと思いますの
で、ご来訪の際は、事前に電話またはメールで予約していただければ幸
いです。
∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬
∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬∬
Dr.Prof.Keiyo FUJIHARA M.A.
Faculty of Design Kyushu University
Shiobaru 4-9-1 Minami-ku FUKUOKA City JAPAN
zip 815-8540 TEL/FAX +81 (0)92 553 4529 (dial-in)
藤原惠洋 建築史家 工学博士 芸術学修士
九州大学大学院芸術工学研究院教授/東京大学生産技術研究所研究員
日本建築学会正会員・歴史意匠委員会 文化経済学会〈日本〉理事
日本文化政策学会理事 財団法人舞台演劇財団演劇人会議会員
〒815-8540 福岡市南区塩原4-9-1 TEL/FAX 092-553-4529














