建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
P1070467

(…)みんなががんばってオープンした直後は花が咲いてお花見をする感じ。そして、花は必ず散るように、会期があるから展覧会も終わる。でも、終わった後には、種とかいろんなものをみんなが落とすんじゃないかな。(…)花が咲く背景には、土に還って養分となったたくさんの葉っぱがある。
—奈良美智の言葉より(『A to Z 奈良美智+グラフ』フォイル、2006年)

本展では、美術館になる前の煉瓦倉庫で開催された、弘前市出身の現代美術家・奈良美智(1959-)による三度の展覧会の軌跡を、さまざまな資料、写真や映像で振り返ります。
1988年に渡独した奈良は、海外での活動も積極的に行う中で2000年に帰国します。翌年から国内初の本格的な個展「I DON’T MIND, IF YOU FORGET ME.」が全国を巡回し、2002年には煉瓦倉庫を会場として開催されました。これを契機として、続く二つの展覧会「From the Depth of My Drawer」(2005年)「YOSHITOMO NARA + graf A to Z」(2006年)が煉瓦倉庫で開かれました。
タイトル「もしもし、奈良さんの展覧会はできませんか?」は、当時の煉瓦倉庫のオーナー・吉井千代子(吉井酒造株式会社社長)が、奈良の作品に強く惹かれ、自分の倉庫で展示をしたいとギャラリーに問い合わせたというエピソードにちなんでいます。この一本の電話が、吉井と奈良の出会いにつながり、煉瓦倉庫での奈良美智展が実現しました。
弘前での最初の奈良美智展から20年を迎える本年、煉瓦倉庫と地域との関係性において重要な意味を持つ、この三度の展覧会にあらためて光をあてます。当時の印刷物やグッズ、記録映像の資料、展覧会準備の様子や展示風景を撮影した写真家の永野雅子と細川葉子による写真で構成します。また、過去に出展された奈良美智の作品も一部展示します。弘前での「奈良美智展」というひとつの事例から、地域のアートプロジェクトや美術館、そしてそこに関わる人々について考えをめぐらせるための場の創出を目指します。


展覧会のみどころ

1.印刷物やグッズ、映像などさまざまな資料を中心に、三度の展覧会を多角的に振り返る

当時の関係者へのインタビュー映像のほか、市民の協力により集まった印刷物やグッズなどの資料を展示します。三度の展覧会準備から完成までの軌跡を紹介するとともに、煉瓦倉庫の持ち主であった吉井千代子と奈良の出会いや、展覧会運営を担ったボランティアの存在を起点とした持続的なコミュニティ形成のあり方など、異なる切り口から三度の展覧会をとりまく要素を考察します。

2.展覧会が生まれるエネルギーを伝える写真展示

「奈良美智展弘前」準備中の会場風景、展覧会づくりに参加した人々や当時の街の様子を撮影した、永野雅子と細川葉子による写真を紹介します。共通する対象をそれぞれの視点で捉えた写真群は、当時の建物や展示の詳細な記録を伝えるドキュメント資料としての役割を持つだけでなく、展覧会の完成というひとつの目標の下に集結した人々の熱気や、当時の煉瓦倉庫がまとっていた場のエネルギーを伝えます。本展の会場構成には、過去の弘前での展示のグラフィックを手がけたデザイナーの山本誠が参加します。

3.当時の展覧会で出展された奈良美智の作品を一部展示

三度の展覧会の資料とともに、過去の弘前での展示に出展された奈良美智作品の一部を展示します。煉瓦倉庫の記憶を継承しつつ美術館へと生まれ変わった展示空間で、絵画、ドローイング、立体作品などを紹介します。また、奈良が故郷の弘前で暮らしていた時代に親しんだ書籍やレコードもあわせて展示します。

4.展覧会と並走する参加型プロジェクトの展開

「弘前エクスチェンジ#05」では、「奈良美智展」の記憶をたどり、演劇を作ることであらたな考察を試みる「もしもし演劇部」や、三度の展覧会をきっかけに街や人にもたらされた変化を探る「小さな起こりリサーチプロジェクト」など市民参加型のプログラムや関連する展示を行います。三度の「奈良美智展」が地域に蒔いた創造性に光をあてつつ、それを大きな契機として美術館へと生まれかわった煉瓦倉庫のこれからの姿を考えます。

展覧会ブックレット

展示解説や展示風景写真などを収録した展覧会ガイドブックです。藤原旅人氏、高橋しげみ氏による寄稿をはじめとしたテキストも掲載しています。デザインは本展の会場構成やデザインを手がけたデザイナー、山本誠氏が担当。
美術館隣のミュージアムショップほか、オンラインショップで販売中。

・インスタレーションショット撮影:長谷川正之
・仕様:88ページ、フルカラー、A5判
・発売日:2023年2月3日

・販売価格:1430円(税込) 

P1070430

P1070431

P1070432

P1070434

P1070435

P1070443

P1070444

P1070445

P1070446

P1070447

P1070448

P1070449

P1070450

P1070451

P1070452

P1070453

P1070454

P1070455

P1070456

P1070457

P1070458

P1070459

P1070460

P1070461

P1070462

P1070463

P1070464

P1070465

P1070466

P1070467

P1070468

P1070469

P1070470

P1070471

P1070472

P1070473

P1070474

P1070475

P1070476

P1070477

P1070478

P1070479

P1070480

P1070481

P1070482

P1070483

P1070484

P1070485

P1070486

P1070487

P1070488

P1070489

P1070490

P1070491

P1070492

P1070493

P1070494

P1070495

P1070496

P1070497

P1070498

P1070499

P1070500

P1070501

P1070502

P1070503

P1070504

P1070505

P1070506

P1070507

P1070508

P1070509

P1070510

P1070511

P1070512

P1070513

P1070514

P1070515

P1070516

P1070517

P1070518

P1070519

P1070520

P1070521

P1070522

P1070523

P1070524

P1070525

P1070526

P1070527

P1070528

P1070529

P1070530

P1070531

P1070532

P1070533

P1070534

P1070535

P1070536

P1070537

P1070538

P1070539

P1070540

P1070541

P1070542

P1070543

P1070544

P1070545

P1070546

P1070547

P1070548

P1070549

P1070550

P1070551

P1070552

P1070553

P1070554

P1070555

P1070556

P1070557

P1070558

P1070559

P1070560

P1070561

P1070562

P1070563

P1070564

P1070565

P1070566

P1070567

P1070568

P1070569

P1070570

P1070571

P1070572

P1070573

P1070574

P1070575

P1070576

P1070577

P1070578

P1070580

P1070581

P1070582

P1070583

P1070584

P1070585

P1070587

P1070588

P1070589

P1070590

P1070591

P1070592

P1070593

P1070594

P1070595

P1070596

P1070597

P1070598

P1070599

P1070600

P1070601

P1070602

P1070603

P1070604

P1070605

P1070607

P1070608






Add Comments

名前
 
  絵文字
 
 
プロフィール

藍蟹堂

藍蟹堂。感受性は海の底から波濤や世界の波瀾万丈を見上げる蟹そのもの。では蟹とは?

『ふ印ラボ』 最新記事
『日田ラボ』 最新記事
『きくけん』 最新記事
カテゴリ別アーカイブ
月別アーカイブ
記事検索
ギャラリー
  • アルティザン・トーク【第19回】 2024年4月29日(月・祝)14:00〜16:00   語り手 平山貴之さん  とよくに農園代表 農業+哲学+アート 竹田市倉木在住
  • 20240418毎日新聞 伊藤和人記者  門司港駅遺構 北九州市、7月に追加発掘調査へ 国際組織も保存要望
  • 20240418毎日新聞 伊藤和人記者  門司港駅遺構 北九州市、7月に追加発掘調査へ 国際組織も保存要望
  • 20240418毎日新聞 伊藤和人記者  門司港駅遺構 北九州市、7月に追加発掘調査へ 国際組織も保存要望
  • 20240418毎日新聞 伊藤和人記者  門司港駅遺構 北九州市、7月に追加発掘調査へ 国際組織も保存要望
  • 20240418毎日新聞 伊藤和人記者  門司港駅遺構 北九州市、7月に追加発掘調査へ 国際組織も保存要望
  • 20240418毎日新聞 伊藤和人記者  門司港駅遺構 北九州市、7月に追加発掘調査へ 国際組織も保存要望
  • 20240418毎日新聞 伊藤和人記者  門司港駅遺構 北九州市、7月に追加発掘調査へ 国際組織も保存要望
  • 20240418毎日新聞 伊藤和人記者  門司港駅遺構 北九州市、7月に追加発掘調査へ 国際組織も保存要望
  • 20240418毎日新聞 伊藤和人記者  門司港駅遺構 北九州市、7月に追加発掘調査へ 国際組織も保存要望
  • 2024年4月17日(水)開塾からもはや30年!遅ればせながらTAO塾(熊本県小国町)初見参!波多野毅さんにお世話になりました!!
  • 2024年4月17日(水)開塾からもはや30年!遅ればせながらTAO塾(熊本県小国町)初見参!波多野毅さんにお世話になりました!!
  • 2024年4月17日(水)開塾からもはや30年!遅ればせながらTAO塾(熊本県小国町)初見参!波多野毅さんにお世話になりました!!
  • 2024年4月17日(水)開塾からもはや30年!遅ればせながらTAO塾(熊本県小国町)初見参!波多野毅さんにお世話になりました!!
  • 2024年4月17日(水)開塾からもはや30年!遅ればせながらTAO塾(熊本県小国町)初見参!波多野毅さんにお世話になりました!!
QRコード
QRコード
  • ライブドアブログ