
「都市祭礼としての発展と祭礼山台の変化」 遠隔ゼミ発表レジュメ
要約
20200626 松内紀之
祭礼はマツリとは異なったものであり、限られた神官によって執り行われる秘儀の要素 は少なく、町・市民と関わって執り行われるものと言われる。本論ではまず、博多祇園山 笠の具体的神事斉行状況を他事例あるいは、江戸時代初期(『博多祇園山笠巡行図屏』)と 比較し、整理を行った。その上で現代祭礼への変化が、山笠山台形態変化といかに関わっ ていたかを考察したものである。
その結果、現代祭礼への変化に伴い、江戸時代初期に比して、山笠巡行により多くの市 民・祭礼参加者が関わるようになったが、山台形態変化は舁き手人数増加に対する順応で もあったことを明らかにした。また、巡行技術や山笠の組み立て・解体技術は、特定工務 店によって受け継がれるものではなく、祭礼組織によって多くの人が共有するところとな った。これも山台形態変化に繋がることを論じた。
目次
6.2.後記 ― 都市祭礼としての発展と祭礼山台の変化
6.2.1.はじめに 6.2.2.博多祇園山笠と春日若宮おん祭りにみる祭礼斉行状況の比較’
(1)憑代の組み立てと施工者
(2)神のお迎えとご帰還
(3)祭礼組織
(4)市内巡行
(5)祭場における各者の位置
(6)各場面・事例の比較結果
6.2.3.祭礼の発展と山台形態変化に就く考察
(1)都市祭礼への発展と山台形態・巡行方法変化
(2)祭礼組織あげての「組み立て・ 解体」作業と山台形態変化
(3)『博多祇園山笠巡行図屏風』に描かれる三様の山台構 造形態
(4)『博多祇園山笠巡行図屏風』に読み取る町の雰囲気
(5)博多祇園山笠祭 礼組織による年中行事・神事と「巡行と組み立て・解体方式」
6.2.4.おわりに ― 博多祇園山笠の形態変化を生み出す構図
発表概要図解