建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
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2019年3月3日(土)にさいたま市のさいたまスーパーアリーナ
TPRIROにて、「全国文化ボランティア推進フォーラム〜東京オリン
ピック・パラリンピック文化プログラムでの活躍に向けて〜」
が開催されました。このフォーラムは5時間越えの長丁場のフォーラムでした。
スケジュールとしては、イギリスの事例発表、文化庁文化審議会委員の
柴田英杞さんの文化ボランティアの状況やこれからの展望に関する講演、
そして日本各地の文化ボランティアに関する事例紹介、それから事例発表、
講演者による「文化ボランティアの未来を考えるのトークセッションと
盛りだくさんでした。

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事例紹介1
スージー・ソーンベリーさん(帝国戦争博物館)
「人々のウェルビーイング、誇り、世代を超えた会話
〜文化ボランティアの社会的効果
〜文化芸術団体、博物館での経験から」
ロンドンの帝国博物館のスタッフであるスージーさんからは
4つのイギリスの事例を発表いただきました。3つの事例は2014年に
ロンドンオリンピックがあった時の事例で、もう一つの事例は
スージーさんの職場である帝国博物館の語り部としてのボランティアの
事例を紹介してくれました。プレゼンテーションの中ではこの4つの
事例を「場」「アーツ」「歴史」の観点からお話くださいました。
ロンドンオリンピックのプロジェクトは、「まち」の中で展開する
プロジェクトが多く、その中でボランティア参加者は「地域への
誇り」を改めて獲得し、多様な「アーツ」への関わり方がうまれて
いく過程はとても重要だなと感じました。中には、社会的にうまく
いっていない人が、その関与を通じ様々なスキルを獲得し、その後に
社会的地位を獲得していったという社会包摂の成功事例もあるそうです。
帝国博物館では実際に戦争に関与した人を語り部に、訪れるビジターに
「当事者性」を持ってもらうかと言う実験的なプログラムも展開しています。

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事例2
カレンパーキンスさん(ルートン文化財団)
「40名から1500名の文化ボランティア増加と地域再生
〜ミュージアム・メーカーズの活動を通して」
カレンさんはロンドン北部にあるルートンという都市の事例を紹介
していただきました。ルートンの5割は移民で、パキスタン系の方が
多い街だそう。カレンさんにもロンドンオリンオピック時のプロジェクトの
事例紹介をしていただいたのですが、カレンさんのお話の中で面白かったのが
「WARDOWN HOUSE MUSEUM MAKER」についてのお話でした。
40人のボランティアしかいなかったWARDOWN HOUSE (美術館)を
「まち」に解放し、いろんな人を巻き込むことで様々な活動を展開していき、
それまでの4倍以上の来場者が来る賑やかな美術館へと変貌と遂げます。
そこには、以下のような意識づけを行なっているそうです。

・MUSEUM MAKER(ボランティア)に活動決定権を持たせる
・みんなで協働する(CO-Production)という経験をする
・参加者に「能動性」「当事者性」を持たせる

さらには、MUSEUM MAKERは徐々にスキル(職能)を獲得し
現在では、自発的に美術館の特別展示の企画や運営ができるまでに
成長しているそうです。また、時間や物理的な制限のある人で
MUSEUM MAKERとして参加できるような、工夫をたくさんされています。
海外にいても参加できように、ネットやSNSによる情報発信も
積極的に行なっているそうです。
お話を聞いていて、このMUSEUM MAKERという名称が素晴らしいと
思いました。この名称をつけるだけで、当事者性が出てきますね。
そしてこれは、スージーさん、カレンさんに共通することですが、
数字のデータを詳細にとっていて、そしてボランティア参加者の
声も丁寧にとっていて、こういうことも大切だなと感じました。

MUSEUM MAKER→museummakerのホームページ


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講演 柴田英杞さん(文化庁文化審議会委員会(
「みんなが、地域が、私が高まる文化ボランティア
〜10年後の未来を見据えて〜」

柴田さんからは日本における文化ボランティアの歴史と、これからに
かける思いをお話くださいました。2020年時はもちろんのこと、
2030年、2050年にいかに日本社会の状況が危険であることを数字で示しながら
お話くださいました。ヒトの孤立化、増大する高齢者層、高齢者層の貧困、
地方都市の衰退等の社会課題を挙げながらも、ここ10年において文化ボランティア
参加者の変化等を指摘しながら、これらの社会課題を解決するために文化ボラン
ティア活動がとても有効であることを述べ、文化ボランティア活動の重要性を
改めて再認識しました。

事例2 日本における文化ボランティアの現在とその展望

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佐々木秀彦さん(公財)東京都歴史文化財団 企画担当課長
「博物館の文化ボランティア〜東京より」

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野田泰裕さん((公財)宗像ユリックス 事業係長)
田口保行さん((公財)舞鶴市文化事業団 業務執行理事兼事務局長)
「世界遺産に関わる文化ボランティア〜 宗像・舞鶴より」


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芹沢高志さん(さいたまトリエンナーレ2016 ディレクター)
「国際芸術祭の文化ボランティア〜さいたまより」

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出口朱輝さん(せせらぎコンサート実行委員長)
吉田竜哉さん((公財)さいたま市文化事業団 事業課主任)

トークセッション
「文化ボランティアの未来を考える」
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クロストークでは、様々な議論になりました。文化ボランティアは
「単なる」ボランティア活動ではなく、個人がWell-beingを実現させる
ための重要な機会であることをと登壇者のコメントから会場内で共有
しました。また、市民活動のひとつであったり、専門性の高さが必要だと
いうことも、特にイギリスの事例から再確認されました。
その上で、イギリスの事例は日本よりインパクトが大きく、多様な
人を巻き込んでいるという話になり、その部分ではイギリスに事例に
学ぶところが多くあるようです。また、「美術館や博物館の機能の
から、都市づくりを主体的に行なっていると感じた」というコメントには
納得させられました。つまり、これから単体で、博物館、美術館を
どうしていくかということではなく、社会の中でどのような役割を
果たすのかと言う俯瞰的な視野の必要性を問う声が聞こえました。
「ここにいるひとがどのようにこの場所で協働できるのでしょうか。
それをこれから考えていきましょう。ここからはじまります」という
最後のコメントがとても印象的でした。

イギリスのお二方の事例はとても勉強になりました。おそらくいま
私たちが考えなければいけないことは、社会とどう向き合うか、どう
社会に関与していくだと思います。イギリスのお二人は、エンゲージメント
という言葉を何度も繰り返し使われていました。東京オリンピック・パラリン
ピックという契機を来年に控え、私たちはどこへ向かうのでしょうか。
いま、私たちが突きつけられている大きな課題であり、問いです。

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