建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
はるばると熊本県天草市から馳せ参じてくださった陶芸家・熊本県伝統工芸協会会長・丸尾焼5代目の金澤一弘氏が『芸術文化環境論』集中講義を通して、重要な示唆を投げてくださいました。

私たちはどこから来て、今どこにいて、これからどこへ行くのか。

第14回天草大陶磁器展実行委員会実行委員長として行われた所信表明から、講義のコンセプトが練り上げられていかれました。
(以下、『第14回天草大陶磁器展』パンフレットより抜粋 http://amakusatoujiki.com/about/)

『一所懸命』
 今年のはじめより、今の天草はどこから始まったのだろうかと考えるようになった。私は物事を考える時、それは『何処から来て、今、何処にいて、これから、何処へ向かうべきなのか』と思考する習性がある。今の天草は何処から始まったのか?
 そのことを考え続けていたら『島原・天草の乱』以前と以後が、かなり違っているのではないかと思うようになった。『島原・天草の乱』以後の天草は、天領となり鈴木重成が初代代官として治めた。この頃の天草は人口が半減したと言われており、全国各地より入植が行われ、今の天草の原型が出来たのではないか。
 そして、当時の状況は今の天草によく似ているのではないか。一瞬で人口が半減した当時と、数十年かけ人口が半減しつつある今とでは、人口減少の速度は違うが、島の人口が半分になる危機的状況は酷似している。鈴木重成の時代には、緊急避難的に外部からの入植策で急場をしのいだが、今の人口減少に対応する方策の一つとして考えても、外部から天草に移り住む人を、増やしていく必要があるように思えてならない。
 陶芸の産地化は西暦2000年に開催された、県民文化祭『ミレニアム天草』より始まった事業だ。世界有数の陶磁器資源である『天草陶石』を産する天草を、『陶石の産地から、陶磁器の産地へ』という島民の悲願を受け始まった取り組みで、以来18年間継続されている。陶芸への認識も高まり『天草は陶芸が盛んなところですね』と声を掛けられることも多くなった。『天草はどんな産地を目指すのですか』そんな私に対しての問いかけも増えている。
 天草は工業的な産地を目指してもおぼつかないだろう。日本は世界的に見ても、工業的な意味での陶芸の先進地が沢山存在するからだ。資本に乏しい天草の陶磁器が目指すべきは、工芸的な産地、すなわち、手を使いアーティカルで多様な陶磁器産地を目指すべきだろう。そう考えた時、鈴木重成の兄である鈴木正三の業績に思い至った。正三は天草の再興のため、弟である鈴木重成に乞われ、天草に来島した禅宗の高僧で、島民の安寧のために寺を建立し、現在の天草の精神的な礎を作った人だ。『破切支丹』を書き、切支丹の教義に対する反論を展開したりもしたが、江戸期以降に成立した、日本人の労働倫理を決定したと言われる『万民徳用』もあらわし、『労働即仏道』を唱えた人でもある。徳川時代以前の徒弟制度を中核とする職制を集約し、日本独自の職業観を示した人だ。『百姓は鍬を持ち、一心不乱に田を耕すことにより仏性へ至る』
 一隅を照らす…もとより陶芸家はそういった志を持つべきだと思う。今の言葉で書けば『陶芸家は一心不乱に土と向き合い、天命へ至る』という事だろう。西洋的な労働観が強い『働き方改革』が国の主流となり、労働時間の短縮ばかり言われるが、天草は『働き方復興』を謳い上げるべきではないか。陶芸はもとより、天草には石工の職人も多く存在する。自然環境での製塩に情熱を傾ける人。新鮮な海産物でとびきりの料理を作る職人。腕の確かな大工。これらの人達はすべて明治以前に作られた職業制度で、技術を習得した人たちだ。そういった技を持った職人が、連携しながら天草を作り上げることができれば、他所にない素晴らしい天草が出来上がるはずである。一生懸命。一所懸命。天草復活の鍵はここにあるように思えてならない。
 今年の天草大陶磁器展には、110の窯元と30名のクリエイターが全国から集まることとなった。物産関係の出店も21軒。これ以上は天草市民センターに入れないと思うほどの人達が集うこととなる。さらに今年は全国各地から一つの道に精進し、道を極めようとしている、多数の人達に来ていただくこととした。各々のゲストの人たちは、鈴木正三が謂う『一心不乱に努力を重ね、天命を得ようとしている人たち』このような人たちが普通に住めるような島を作ることができれば、天草は素晴らしい島になるに違いない。見果てぬ夢かも知れないが、そんな天草ができればと考えている。

天草大陶磁器展実行委員長 金澤一弘

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集中講義終了後は、受講学生諸君を交えて、さらなる意見交換会が盛り上がりました。
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