建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
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公開講座「建築探偵シリーズ16 アジアの都市と建築」第2

 

日時:20171024() 19:0021:00

場所:5号館531

講師:西澤泰彦教授 (名古屋大学大学院環境学研究科 都市環境学専攻)

 

 

藤原惠洋教授による講師紹介からはじまりました、公開講座「建築探偵シリーズ16 アジアの都市と建築」第2回は、名古屋大学大学院から西澤泰彦教授をお招きしての「満鉄(満州鉄道)の建築」と題して講義をして頂きました。

 

海外での熱中症経験の話にはじまり、フィールドワークでの苦労話、建築保存に関する経験談などのイントロダクションから、西澤先生の軽妙洒脱な語り口調が絶好調でした。

重たい内容でも聞き手がすんなりと正面から受け止めることができる西澤先生の講義のされ方は、お人柄がよく表れています。


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西澤先生によると、「現在進行形でやっている研究のことの話をしてくれという依頼は少なかった。2000年代は、中国建築についての講演を頼まれることが多かった。」とのこと。

 

建築と都市の話の前段として、満州と南満州鉄道に関して。満鉄の設立経緯を含む当時のアジア情勢、世界情勢について、日露戦争後のロシアと日本の利権に関して、清国との関係についての説明からはじまり。

具体的な満鉄の路線と位置の変遷。経営上の戦略について。満州国が建国後の、満鉄の路線図と運営方針。南満州鉄道の誕生に関して。満鉄内の各組織と企業の設立について。満鉄の理解への足掛かりとしての背景と歴史について。シベリア鉄道について。

満鉄の事業全体について概要の説明の後。「満鉄建築」について古写真、古地図をお示し説明を頂いた。

満鉄が関わった、都市建設と経営について、鉄道附属地の法的な面からの状況や取得経緯。都市建設の実態を長春、奉天を中心にお話。古写真、現況の写真、当時の都市計画の図面、また従前からある中国との都市、街との位置関係などもご指摘いただいた。


 最後に、満鉄建築番付と題した満州鉄道の建築をご説明頂いた。

 

東(関東州内)

 

西(関東州外)

大連ヤマトホテル

横綱

奉天駅

大連医院本館

引出横綱

長春ヤマトホテル

本社本館(改修)

大関

奉天ヤマトホテル

大連駅

引出大関

吉林・東洋医院

大連港船客待合所

関脇

撫順炭礦事務所(永安台)

大連近江町社宅

小結

奉天小学校

大連埠頭事務所

前頭筆頭

奉天共同事務所

南満州保養院

前頭二枚

長春駅

中央試験場

前頭三枚

撫順炭坑長社宅(小金寨)


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質疑応答

藤原:西澤先生は、なぜ植民地建築の研究を始めたのでしょうか?

西澤:最初、保存を研究しようとしたら、藤森先生に「保存は研究ではなく運動だ」といわれ、実際に自らも「保存は研究ではなく運動だ」と考えています。他の先生に怒られた事もありましたが。そして興味のあった日本の旧植民地の建築を選びました。

もっとも、社会や歴史が好きで高校時代も成績はいい方だったので、そのことが活きるのではとも思いました。大学時代は、建築学で図面を描くのが遅く、締め切りに追われるのもダメだった。あと、私は、よく人に道を聞かれる素養がある。この素養は自身の研究にとても役に立っている。

 

受講生: 以前、満鉄系の人がおられる建設コンサルで働いていたことがあります。満鉄の事業は戦後どうなったのでしょうか。

西澤: 戦後引き上げの問題があるので、なかなかクローズアップされにくいですが、満鉄からの再就職は、旧国鉄が多く引き受けていた印象があります。正確な統計を取ったわけではありませんが、建築職だと、旧国鉄、ゼネコン大手5社をはじめ、戦後復興で技術者の需要は旺盛だったので雇用の口はあった。東京駅の屋根の話などのエピソードも有名です。後は、英語ができる人は、進駐軍の仕事をしている。

    建物の話を優先して、人の話はあまりしてこなかった。藤森先生のアドバイスもありましたが、研究の一環で戦後の生々しい話を聞いたこともありました。

 

受講生: 満鉄の経営に関して、どうやって黒字経営をしたのでしょうか?

西澤: 主に鉄道輸送の分野で稼いでいました。事業によっては赤字になって整理したものも多々あります。帳簿外の事は分かりませんが。

 

受講生: 奉天の通りの名前に関して、かぜ日本名を使ったのでしょうか?

西澤: 通りの日本名は最初の名前ではない。最初は、現地の中国人も理解しやすいように中国名でした。最初から中国人にとっても分からない地名を付けると道が分かりにくいでしょう。

 

加藤准教授: 奉天の街の通りで、なぜ対角線上にズレが生じているのでしょうか。

西澤: 当初、対角線という意識ではなかったのではないでしょうか。都市計画という言葉もなく、街路を通すという意識で計画していたので、2か所をポイントしてつないで街路を通しただけの可能性もあります。

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 有島




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