建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

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皆さん、こんにちは。
去年10月からドイツのカールスルーエ造形大学において交換留学中の九州大学大学院芸術工学府環境・遺産デザインコース・藤原研究室修士課程の張榮です。
今年ドイツでは世界から注目されている国際的な展示会としてミュンスター彫刻プロジェクト(Skulptur Projekte Münster2017)やカッセルのドキュメント14(Documenta14,Kassel)が開催されました。
ミュンスター彫刻プロジェクト(Skulptur Projekte Münster2017)はドイツのミュンスターで10年に1度、ドキュメント14(Documenta14,Kassel)は5年に1度ドイツのカッセルで行われます。今年は世界で重要視されているこの展示が一緒に開催される年になります。私は今年ドイツで交換留学をしていますので二つの展示を全部見学することができました。
 まず、 ミュンスター彫刻プロジェクト(Skulptur Projekte Münster2017)から紹介していきたいと思います。

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ミュンスター彫刻プロジェクト(Skulptur Projekte Münster2017)は6月10日から始まり、10月1日までの100日間開催されます。 
ミュンスター彫刻プロジェクトを皆さんにご紹介する前に、ミュンスター彫刻プロジェクト見学のためのチップのご紹介をしたいと思います。ミュンスターのセントラル駅に着いたら駅の向こう側には様々な情報をもらえるインフォメーションセンターがあります。そこではミュンスター彫刻プロジェクトの地図を3ユーロで買ったあと地図を見ながら回ることもできますが、今年からはスマートフォンのアプリ「Skulptur Projekte Münster」が新しくできました。アプリをダウンロードしたら、地図を買わなくても回ってみることができます。アプリの中で行きたいところを選び現在位置から目的地まで行くルートの情報を得ることができるのです。
ミュンスターは大きい都市ではないので地図を見ながらミュンスター彫刻プロジェクトをみることは誰でもできると思います。また、回ってみるときに自転車を借りて作品を回ってみることも可能です。ミュンスターは自転車を乗るのに自転車専用の道がよく作られていて移動が便利です。このため、ミュンスターでは自転車を乗る人をとても多く見かけました。
私の場合は2日間かけて、ミュンスター彫刻プロジェクトを見学しましたが、1日目は1日バスチケットを買い、バスで行ける作品のルートを作り、それに従い回って見た後、二日目は歩きながら中心地を見学をしました。

ミュンスター彫刻プロジェクトは1977年から始まり、10年に1回なので、1987年、1997年、2007年、2017年で40年の時の経過はあるものの、実際に開催されたのは今年で5回目です。もし
今年見ることができない場合は、また10年後ということになります。2017年度ミュンスター彫刻プロジェクトは「Out of Body, Out of Time, Out of Place」というテーマで19カ国35名、チームの作品が発表されました。ミュンスター彫刻プロジェクトはヨーロッパで注目されている4大アートイベントの一つで、これ以外には前も紹介したイタリアのベネチアビエンナーレやスイスのアートバゼル、これから紹介するドイツのカッセルのドキュメントがあります。

ミュンスター彫刻プロジェクトが開催されるまでの歴史についてお話しします。
ミュンスター彫刻プロジェクトはミュンスター市民とパブリック美術、アートとの軋轢をなくしていこう、市民がもっとアートと接する機会を作っていこうという目的で開催されるようになりました。1973年、ミュンスター市はアメリカの画家、彫刻家、動く彫刻を作るキネティックアーティスト(Kinetic Artist)ジョージ・リッキー(George Rickey)の作品を購入し、ミュンスター市内の公共の場所に設置しようとします。しかし、このような現代美術、彫刻に慣れていない市民の中から賛否両論の議論が巻き起こりました。ミュンスター市民は伝統的な彫刻ならば慣れ親しんでいたのですが、現代美術には馴染みがなかったのです。ミュンスター市が作品を買う時、主導的な役割を担ったのは、当時ヴェストファーレン州立術館(Kunstsammlung Nordrhein-Westfalen)のキュレーターであったクラウス・ブスマンKlaus Bussman)で、彼は市民からでた抗議の声に対応し、現代アートの必要性をうったえ、市民を説得するため、放送にも出演しました。結局、ョージ・リッキー(George Rickey)の作品は無償で提供され、アーティスト自身が作品を設置したのですが、それでも抗議の声がおさまるまで時間がかかったということです。この事件を通してミュンスター市は公共美術や現代美術に対する理解を市民たちの中に深めていく必要性を感じ、ミュンスター市の支援で1977年に最初のミュンスター彫刻プロジェクトを開催しました。

 注)キネティックアート(Kinetic Art ) : キネティックという意味は運動、活動的、動的という意味でキネティックアートは動いているアートとも言えます。1950年後半から注目された美術表現の一つで作品自体が動いていたり作品の中で動いている部分を表現した芸術作品を意味します。 
 
 ミュンスター彫刻プロジェクトは公共美術プロジェクトとして世界的に活躍している美術家たちの作品をドイツのミンスターに集め、市内で作家が設置したい場所に作品を設置してもらいます。最初はミュンスター市民たちは現代芸術に対してぎこちない感じで接していましたが、日常生活の中で現代美術と出会うことで当たり前のような感覚になり落ち着いてきました。ミュンスター市の努力が成功したと考えられます。

ミュンスター彫刻プロジェクトでは彫刻作品以外にも現代美術作品も見ることができますし観覧客が参加できる作品も設置されていました。

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 この
プロジェクトを見学するためにわざわざ遠くから来たような人々を多く見たのですが、それと同じくらい、ひとつひとつの作品、そしてアート自体を楽しんでいるミュンスター市民たちに出会うことができました。時々、作品を探しにくかった時もありましたが、このようなことはアートが、特別なことではなく、私たちの日常生活の中の一部になって、ごく自然に受け入れられているということを感じることができました。これは1977年当初の開催目的であり、それが40年の時の流れの中で市民の中に受け入れられており、このプロジェクトが成功していると言えると思います。わざわざ時間を作ってアートを見るために美術館、博物館まで行かなくても日常生活の中で楽しめる、日常の一部になっているミュンスター市民のみなさんがとてもうらやましく感じられました。一般市民とアートの間にある大きな壁を取り除きたかったミュンスター市はその努力を1973年にはじめ、1977年から一般市民のためにミュンスター彫刻プロジェクトを開催しました。その後10年に1度という頻度で、持続的に開催していますしヨーロッパの中の4大アートイベントとして数えられるようになりました。このようなミュンスター市の実行力にはとても学ぶ部分が多いと思いますし、今後の私たちの地域づくり、美術環境づくりにこのような考え方や取り組みは必要であると考えます。

                                            M2 張 榮

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