建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

ふ印ラボでもおなじみの東京大学大学院文化資源学講座教授の木下直之先生が4月より静岡県立美術館の館長へ就任されました。さらに東大教授との兼任でご活躍です!
(以下、静岡県立美術館HPより)

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今春、静岡県立美術館の館長に就任いたしました。これまでに、鈴木敬(美術史学)、吉岡健二郎(美学)、下山肇(美術史学)、宮治昭(美術史学)、芳賀徹(比較文学)の5人の館長が、この美術館の30年にわたる歴史を築いて来られました。そのあとを受けての6代目館長となります。

 わたしは学生時代に美術史学を専攻したあと、美術館、博物館、大学と居場所を変え、専門領域も美術史学から文化資源学と変え、このたび20年ぶりに美術館の世界へと戻ってまいりました。

 ふだんの暮らしがそうなのですが、脇道や曲がりくねった道、寄り道、回り道、遠回りが大好きです。実は大学(東京大学大学院人文社会系研究科文化資源学研究室)にも籍を置き、教鞭を執りつつ館長となりました。このことが、そしてこれまでの経験が美術館を変えることができるか、美術館をこれまで以上に楽しい場所にすることができるか、チャレンジしようと思います。

 静岡県立美術館は1986年に開館しました。もう30年が過ぎたといえるし、まだ30年しか経っていないともいえます。日本の公立美術館としては平均的な年齢だと思いますが、世界の美術館の歴史を考えれば生まれたてといえるでしょう。

 1980年代には公立美術館の社会的な地位はそれなりに高かったかもしれません。現在では、美術活動の拠点は、NPOや公益財団、企業の社会貢献活動など、当時とは比べものにならないぐらい多様化し、美術館はそのひとつに過ぎません。美術館を離れた場所に、アートフェスティバルやアートプロジェクトがいくらでも展開しています。さらに、それはリアルな世界からバーチャルな世界へと広がっています。

 それにもかかわらず、美術館を美術館たらしめるものは何か。美術館が美術館でありつづけるとはどのようなことなのか。わたしは、美術館の譲れない一線とは、実物にふれ、向き合う場所であることだと信じますが、いずれにせよ人間同様、美術館もまた成長していかなければなりません。

 初代鈴木敬館長が遺した「創業は易く守成は難し」という言葉を、かつて本館学芸員として活躍した山下善也さん(九州国立博物館)が、ニュース『アマリリス』121号で伝えてくれます。新たに始めるよりも築き上げたものを守り続けることはいっそう困難であると。さらに、学芸部長であった小針由紀隆さん(静岡文化芸術大学)が、やはり『アマリリス』113号に寄稿した「退職にあたっての一言二言」において、「不易流行」を引き合いに出し、「変えさせないために変わっていく」ことの大切さを語っています(『アマリリス』のバックナンバーはこのサイトでご覧になれます)。

 わたしもまったくその通りだと思います。美術館は時代の要請があって生まれたものですから、その時々の社会に向き合い、応えていかなければならない。しかし、その時々の流行に安易に妥協してはいけない。長い目で、これまでの歴史を踏まえ、これからさらに30年、50年、100年と美術館を育てていくことを、実は、この美術館を必要とするすべてのみなさんが考えるべきなのです。そして、その仕事を館長以下すべての館員が、たまたま今、みなさんから託されているのです。

 「六代目」という呼び名はいいですね。気に入っています。つぎにつなごうという気持ちになりますから。これから折々、この場を借りて、美術館にまつわるお話をしていきたいと思います。どうぞよろしくお願い申し上げます。

館長 木下直之

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