建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
ふ印ボスのドイツ便り(続 003)

ほぼ毎日のように都市遺産の目視調査やフンボルト大学図書館等を用いるためにベルリンの中心市街地へSバーン、Uバーン、バスを用いて通うのですが、その中でもウンター・デン・リンデン(菩提樹の木の下)通りは特別な街並みに感じられます。とくにベルリンの都市形成を考える際、この通りとスプレー川や沿岸の運河べりを歩きながら考えることもずいぶんとありました。

あらためてウンター・デン・リンデンに立ちます。
ここはベルリンの中でもプロイセン王宮からブランデンブルグ門までを貫く象徴的で周辺に大きな空間を有するブールバール的通りです。

歴史的な形成過程を調べれば、1647年にフリードリッヒ・ヴィルヘルム大選帝侯が、王宮から狩場のウンター・デン・リンデンまで直線の菩提樹の並木道をつくりだしたもの、と言われています。
ヴィルヘルム大選帝侯は沼沢地や荒地の開発に秀でたオランダ人技術者を起用したとのこと、彼らが荒涼とした草原のような大地に一直線の道路を築いていったものと思われます。

その後、中世以来の城壁都市ベルリンは城壁を越え西へ西へ市街地が膨張を続けていき、並木の北側にドロテーエンシュタット、南側にフリードリッヒシュタットの市域が広がっていき、南北の都市空間は計画されたグリッド格子状の道路割りが整然となされた市街地となっていきました。
さらに西方に1696年シャルロッテンブルク宮殿が完成すると、そこへ至るまで延伸されたウンター・デン・リンデンはさらに強大な都市軸となっていきます。
この沿道にプロイセンの君主たちが代々、広場を設け、教会、文化施設、王宮関連の建造物等を建てて行きました。
一方、フリードリッヒ・ヴィルヘルム大選帝侯がポツダム勅令を出し宗教の自由を保障する寛容な立場を示すと、フランスから宗教難民とも言えるユグノー派の人々が寛容さを求めベルリンへ移住してきます。彼らは当時の先進国フランスからさまざまな文化や習慣をもたらし、ベルリンの都市化に貢献していったと言えます。
19世紀後半には、イギリスのロンドン、フランスのパリに遅れながらも産業革命の成果と繁栄がもたらされる中、都市人口の膨張や中産階級の台頭などが見られ、都市基盤施設の成立と拡充が次々と重ねられていきます。
この時代、シャルロッテンブルク地区では1860年に12000人だった人口が、1905年には306000人に膨張しています。そのため市役所を建て替える必要が出てきて1899年から1905年にかけて改築造営が行われ、教会堂のように巨大な市役所が出現しています。

この頃までは移動と商品搬送の物流の多くをスプレー川に連接された運河と港湾による舟運が担っていましたが、他都市との都市間鉄道や都市内高速鉄道(Sバーン)が敷設されていくと物流の方法も大きく変貌を遂げ、20世紀冒頭、1902年には世界で5番目と言われる地下鉄(Uバーン)が始まり、人の移動と物流を促進しながら都市における経済生産力が大きく高まっていきます。

ウンター・デン・リンデンは、こうした繁栄を一途に受けとめた象徴的街並みとも言えたはずです。沿道には、教会、国立歌劇場が出現する中、1887〜87年にベルリンに滞在した森鴎外をはじめ数多くの明治期日本人も留学した唯一の総合大学ベルリン大学(その後のフンボルト大学ベルリン)が君臨し、さらに高級店舗、高級ホテル、森鴎外も通ったカフェなどが立ち並ぶ華麗で賑やかな街路となっていきました。パリのシャンゼリゼと比べられるような目抜き通りとなったのです。

第二次世界大戦時にベルリンは米英軍による空襲で甚大な被害を被りました。一方、ソ連軍による市街戦も悲惨を極め中心市街地は廃墟と化した際にウンター・デン・リンデンや並木道も破壊的な損傷を被っています。
戦後、復興期を生きざるを得ないベルリン市民が戦災により破壊された瓦礫の中から再建用にレンガを取り戻す作業を続ける一方で、菩提樹はやむなく切り倒されながら燃料の薪として用いられたため並木は見る影もなくなったとのこと。
そして戦後、この一角は東ドイツ政府による東ベルリンであったのですが、東ベルリン政府は1950年代から菩提樹の植林を進め、長い時間を要して徐々に回復していったというのです。

その一方で、ウンター・デン・リンデンに面した歴史的な建物群のうち、象徴的に撤去され更地となったプロイセン王宮跡地にはガラスのファサードを前面に見せた社会主義建築とも言える新王宮が建てられていたのですが、それ以外の歴史的建物に関しては根強い復原作業が営々と続けられ、戦前の荘厳な街並みもまた驚くように回復しつつあるのです。

そして東西ドイツ統合後、近年では王宮復原が壮大なプロジェクト:フンボルトフォーラムとして進められています。ウンター・デン・リンデン界隈を歩けば、こうして近未来へ向けた王宮再建を筆頭に、重要な都市遺産の保全と再生が数多くの巨大な事業となって同時展開している姿があちらこちらで展開しており、わくわくしながら見守っていくこととなります。

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