日時:2017年4月25日(火)16:40~18:30
場所:藤原研究室の学生室
出席者:岩井千華、吉峰拡、有島佳延、韓雨露、ジムクマ、鈴木秀文
司会と議事録:岩井千華
(1)発表:有島
今回発表内容:現在、岡村健太郎(東京大学生産技術研究所助教)著『「三陸津波」と集落再編 ポスト近代復興に向けて』(2017.2.20出版)を読んでいるので、そこから「神社施設は災害時有効利用できるか、神社はどういうスタンスで日常と災害時に臨むか」ということを考えたい。ここでは漁村を取り上げている。
―この本は、津波被害にあう三陸海岸に焦点をあて、大地震という大きなテーマに対し、一分野からではなく、横断的に、歴史的、制度的、経済的に災害からの復興を俯瞰した研究である。明治以降の災害と復旧復興の研究や考察がされている。
先行研究、また自身の研究の方針付けの一助として参照中である。地域の選定や研究方法、比較対象、切り口など多面的に参考になる。
キーワード:建築史、都市史、災害史、津波、災害、地震、漁村、政策、集落、移転、再編、制度史、行政史
・災害ユートピア
災害ユートピアとはアメリカ人ジャーナリスト(1961年~)のレベッカ・ソルネットがサンフランシスコ地震(1906年)からハリケーンカトリーナ(2005年)に至るまでの様々な大規模災害を分析し、発災直後の『人々の利他的な行動によって支えられる社会状況』
・用語としての近代日本における『復興』と『復旧』
復興とは、「単に従前の状況に復旧するのではなく、長期的展望に基づき、市街地構造や住宅形態のみならず、社会経済を含めた地域の総合的な構造を抜本的に見直し、新しい市街地や地域の創出を図る。」『防災辞典』
復興とは、もともとは関東大震災後に設置された『帝都復興院』や『帝都復興計画』などにより広く認知されるようになった言葉。
復旧とは、被害者障害を修復して従前の状態や機能を回復すること。『防災辞典』
行政用語としては、復旧事業と、復興事業は明確に区別することができる。
・三陸沿岸地域
三陸沿岸地域は、津波常襲地帯である。869(貞観11)年に発生した貞観自身に伴う津波災害以来、記憶に残るものだけでも東日本大震災まで1142年間に25回の津波被害がある。
・集落環境について
集落環境を二つに分けてこの本では考察している。
1・建造環境―デービッド・ハーウェイの造語
2・経済・社会環境=漁業の観点から考察、経済環境=漁業を生業として成立させる手段や仕組み、社会環境=集落における血縁・地縁関係
・集落の移転・再編など
Qどういったスタンスか。
⇒『三陸津波と集落再編』2017.2.20では、明治以降のチリ地震、4度の地震、国、地方、法律的な国としての 歴史経済制度的介入の仕方。災害復興の試論がある。自らの研究の方針のために、 選定・比較の仕方について。
災害ユートピアを分析し、人々の利他的行動によって支えられる社会状況を考えたい。
災害発生時に神社に避難できるか否か、研究内容に含まれるだろう。災害ユートピアに甘んじていいのか。
復興 復旧と意味違う。予算づけの問題があるので違う。
復興は帝都復興院 帝都復興計画 があり広く知られた。
神社や文化政策、行政が十分に適応しているのか。
三陸沿岸地域 25回も被害にあっているのに 復旧復興が繰り返されている。
明治以降の4回が比較研究されている。未だに神社があり 地域の営みをしている。復興を考える時にキーワードになるのではないか。
建造環境はインフラ、社会経済環境は、ここでは漁業の環境。
血縁地縁関係が大事か、三陸沖で壊滅的な状況があって、見舞金の制度化がなされていない。明治には戸籍上 相続人をつけなさいとある。血縁を介した復興。網・修理など。
私の研究方針は、神社の祭礼に重きを置いて、災害ユートピアについて捉える。
Q)三陸にしぼったのか、日本全体に展開できるのか。
:予算配分など組立に、構成において影響を与えるのではないか。
:熊本地震に対してどう対応したらいいのか。
:復興の予算、人の配置。災害法律を順番にみているので改善すべきだった。迅速に対応する、災害復興のための試論。
有島さんの目指すものと これが先行研究とは。
災害時における神社研究、地域祭礼について書かれているものが無い。系統立てて書くには定義づけがいる。神社、お寺がどうなったかと。この夏に東北に行きたいと思っている。
漁業権、殖産興業について、地域の祭礼関係がない。体系としてまとまっていない。まとまった本としてはない。
Q)神社の位置が津波に対して安全な位置に動移動するとあるが。
:律令格式 延喜式1200年前、式内社はその時の神社の位置。動いている可能性がある。歴史の中で25回の被害がある。
津波が来たという被害の甚大さを定量的にはかれれば、ダメージがどの程度状況を与えるのか。茨城県は神社は助かり、民家のダメージが大きかった。
Q)集落再編に寄与すること?
社殿は強いので、集団移転になると個別移転。
:災害ユートピアにひかれる。農村では、地縁が生きていて、コミュニティが廃れていない。神社があって縁日が生きているというイメージがまだあると思う。今は、濃度が薄い。関係性が希薄、年に一度あつまっているだけというイメージ。
:私が八女の災害調査、熊本新町古町調査でみてきたものは、田舎だから地縁コミュニティがあり、都会だから互助精神が無いということはなかった。八女でも災害時は、有機栽培を一緒にしていた仲良しの人と逃げた、古町でも地域のやる気のある人が炊き出しや復興をするなど、やる気のある人がやっていた。田舎、都会という区別ではないように思う。
:普段は希薄だけど有事の際のユートピア、これが寺、モスク、教会だったら。
災害の時は、常日頃行っていることしかできない。
実家の神社は、青年会で小学校に行って餅つきをし、公民館でうどんをゆでている。
地域活動に協力的だったうどん屋さんが廃業し、PTAこまり、寸胴など道具を家で引き取った。中学校1件、小学校2件、公民館2件を受けている。
地域のイベントが無くなっていかないように、神社、お寺、教会は世界的ネットワークをもっている。社会包摂に関しては教会が持っているのでは。
:教会とNPOが共同でもっているフードバンクがある。
:地縁・職業組合が本当に実際に機能しているのか。
:新ゴジラをみていると、復興していけばいいんだ、大きなユートピアになる。
:災害にあたっては、殆どの神社は実家の神社のようなことをしていない。
日清戦争の時に災害があって、国費が出せない。一村一社制、県知事の出身省庁による力関係がある。
:福岡藩、黒田藩でもやっている。地方の権限による。一義的には藩がやっている。州と一緒だ。
:神社というが、集団の中でコミュニティの中心に置く神社と 神社―産土型、すうけい型がある。産土型(氏神型)―鎮守、稲荷八幡伊勢天神宗像、厳島。
:都心では、ヨソモノは、祭りの面白い部分、アミューズメントの部分には参加したがるが、祭りの準備や片付けには参加しない。そういうところをどう考えるか。
:宗教法人、地域コミュニティの宗教施設のあり方。ドイツでは教会税がある。フランスの教会は公共施設になっていて カトリックは借りている。
個別に対応していくのがよいのではないか。個別神社が災害時にひっぱっていける空間、境内の維持管理がいる。神職一人でやっているわけではない。
其の地区の重要なものですよと言える、
コミュニティにおける神社をはっきりしておかないといざという時に力を発揮できない。
バッティイングしているのが公民館。
:神社の特質を分類していくといい。
炊き出し、補填、祭礼、との機能の違い。
:祭礼の内容に効果の違い
きむらとしろうじんじんとうアーティストが野点をしている。茶話会を開くためにお茶碗つくる、まち歩き。ここに人が集まる。
ライトハウスプロジェクト 灯台を横向きに作って 直角に戻すプロジェクト。
神社として祭礼が祭礼として必要なのか、アートでも代替かのうではないか
共同プロセスとして必要なのか、
より大きな回復力になるのではないか。
:神社の建物は、古くなっている、修理ができる専門家も年をとっていくのをどう考えるか、お金を節約のために、灯篭が材料費安い、本来の雰囲気が薄くなっていく。
本来の文化が、新しい材料を使っているのか、
:宮大工、単価が高い。専門家であるので日本全国行脚をしている。
:人吉、鵤工舎で人材育成をしている。
:頼む側の意識もある。
:神社は変わってきている、芯は変わっていない。
第3者から見ておもしろい、ずっとそこにいた御神楽とか、変わらんだろう、観光気分で見ている人との整合性をどこでどうするか、人が集まらないとお金も集まらない、それを一部、儀式を保ちながら儀式をする。
岩井