建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
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 10月8日(土)~9日(日)に、「フィールドワーク演習」の授業の一環として、人吉市にある青井阿蘇神社おくんち参与調査+アニメ『夏目友人帳』聖地スポット見学をしてきました。
 

【趣旨】熊本県人吉市にある青井阿蘇神社への参与調査および人吉市にある景観資源調査を通して、地域の人々と交流し、この地域の特徴を学び、課題を抽出し、それらを改善してより良い地域になるための提案をする。

 

【スケジュール】

108日(土)  
                  
8:45九州大学大橋キャンパス集合

9:00九州大学大橋キャンパス出発

 12:00人吉市到着

 13:00国宝青井阿蘇神社参詣 


①人吉市内球磨川流域の「夏目友人帳」聖地巡礼を通した文化資源調査
 ②人吉市内球磨川流域の景観資源調査
③青井阿蘇神社おくんち祭り時の神幸路を中心とした景観資源調査の準備調査

  ★立山商店(創業明治10年のお茶屋さん)見学 
  ★鍛冶屋町ポケットパーク+世界一小さい美術館CHOBITT見学と
         活用案に関するデザインワークショップ

  19:00人吉市役所都市計画課及びひとよし未来会議」みなさまがたと懇親会

109日(日)7:00朝食

     8:00青井阿蘇神社おくんち祭り御神行列への参与調査

                12:00調査のまとめ作業

     13:00青井阿蘇神社「文化苑」で調査成果のまとめとプレゼン、意見交換

     16:00人吉市出発    
     1
9:00 九州大学大橋キャンパス帰着


人吉市の歴史概要

熊本県の南部にある人吉市は、深い山々に囲まれた人吉盆地に位置していて、鎌倉時代初期の1193年(建久4年)に相良氏が人吉の地頭に任ぜられ、その後は形を変えつつも明治時代の廃藩置県(1871年)まで約700年間領主が変わることなく独自の文化を育んできた。1600年頃城下町として整備される。1862 - 寅助火事により人吉城と城下町の大半が焼失。昭和初期には温泉の採掘が盛んになり、球磨川とともに宣伝されるようになった。1933年頃には球磨焼酎や球磨川下りとともに「泉都人吉」と称されるようになる。1942年に市制を施行。

人吉球磨の日本遺産ストーリー

 人吉球磨の領主相良氏は、急峻な九州山地に囲まれた地の利を生かして外的の侵入を拒み、日本史上稀な「相良700年」と称される長きにわたる統治を行いました。その中で領主から民衆までが一体となったまちづくりの精神が形成され、社寺や仏像群、神楽等をともに信仰し、楽しみ、守る文化が育まれました。同時に進取の精神をもってしたたかに外来の文化を吸収し、独自の食文化や遊戯、交通網が整えられました。保守と進取、双方の精神から昇華された文化の証が集中して現存している地域は他になく、日本文化の縮図を今に見ることができる地域であり、作家司馬遼太郎はこの地を「日本でもっとも豊かな隠れ里」と記しています。

 

「国宝青井阿蘇神社」

806年に創建され、平成18年(2006年)に創建1200年を迎えた。阿蘇の広大な原野を開拓し、その守り神として阿蘇山のふもとに鎮まる阿蘇神社の御祭神十二神のうち、三神の御分霊が、重陽の日9月9日に青井阿蘇神社に祀られた。初代の天皇である神武天皇の孫・健磐龍命(たけいわたつのみこと)、その妃の阿蘇津媛命(あそつひめのみこと)、お二人の子供の國造速甕玉命(くにのみやつこはやみかたまのみこと)の三柱の神々。平成20年(2008年)6月には国宝に指定。茅葺社寺建築では全国初の国宝。「青井阿蘇神社とおくんち祭」は日本遺産の構成文化財。

 

「ウンスンカルタ」(九州国立博物館アーカイブより)

 「うんともすんとも」とは、どうにも手詰まりで何も言わなくなってしまった様子をいうが、想像するに、ウンスンカルタで遊んでいて行き詰まってしまった様子からはじまったのだろうか。ポルトガル語でウンは「一」、スンは「最高」を意味する。そもそもカルタという言葉自体がポルトガル語からきたもので、図柄をみても西洋のカルタの影響を強く受けている。ウンスンカルタは、ポルトガルから伝わったカルタを日本風にアレンジしたものである。一組七十五枚。

 

「球磨川」

最上川、富士川と並ぶ三急流の一つ。明治41年(1908年)鉄道の開通で水路による産業は全て奪われ、そこに働く人々は失業した。その状況を見た旅館翠嵐楼の主人川野廉氏がこれまでの生活に密着した川の役割を何とか観光に活かせないかとアイディアを出して2年後に始まったのが現在の川下りである。

 

「人吉の観光的資源とは?」『人吉市史第1巻』p38

 第一に 球磨川 鎌倉時代、藤原家隆『夏来れば流るる水の夕葉川 誰水上に禊しつらむ』

 第二に 温泉の湧出

 第三に 球磨川の鮎は香魚とも書き、川魚の王妃(王は球磨川の鯉)

 第四に 歴史と文化遺産の豊富

 

「人吉球磨の工芸品:きじ馬・花手箱」

都から追手を逃れてこの地へやってきた平家の落人たちが人吉の奥地で新たな暮らしをスタートさせた時に、胸に去来する様々な思いを紛らわすために作り始めたものと言われる。花手箱は女児の宝箱。きじ馬の頭に書かれた大の文字は、京都の大文字焼きという説もあるが定かではない。

 

「寅助火事」

 186227日正午頃、鍛冶屋町恒松寅助方より出火、恰も乾燥期の強風によって、火はたちまち川北から更に球磨川を越えて城内に飛び火し、未曽有の大火災となった。この火災は藩の財政及び城下の再建が武器の再編などのほか、特に幕末変革期における思想の対立、政策ともからみあって各方面に影響することになる。

 

「お庭御覧」

 人吉市内には見事な日本庭園が数多く残されている。城跡や寺社、旅館など10か所の庭園美を楽しめるのが「お庭御覧」


 


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  いつもこんな感じで出発します。
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 熊本地震の影響が残る道路の渋滞を経て
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 留学生チームは途中のサービスエリアで熊本ラーメンに舌鼓をうつ。
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 人吉市にある青井阿蘇神社に到着。バスの駐車の関係で裏から入りました。
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 人吉球磨伝統文化塾・相良藩こうじゃっかもん衆代表で語り部の立石芳利さんからお話をききました。おくんちでは、獅子が飛び出します。これは平成18年、創建1200年祭にあたって復活したとのことです。一番獅子、二番獅子、三番獅子まであるとのことでした。立石さんご自身ははじめは神馬の奉納をしていたとのことで、昭和39年から獅子面をかぶり始めました。このお話をうかがっている場所は、球磨神楽に使われるそうです。

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 ↑球磨神楽の舞台装飾であるヤツジメです。注連縄を天井中央から八方に張り、一種の聖域を作りだし、何よりも舞い手が観客に背を向け、神様に向かって舞うことになります。御幣は稲妻を表し、天井にある白い物体はゆきふねといい、白い紙が小さく切られたものが入れられ、球磨神楽の時に降ってきます。もともとは雨乞いのためとのことです。
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 先ほどは便宜上入ってきてしまったので、今度はちゃんと楼門から入ります。楼門は403年前に造営され、楼門屋根四隅の人吉様式と呼ばれるあうんの形相の陰陽一対の神面があります。IMG_8997
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 四神旗、想像上の生き物で青龍、朱雀、白虎、玄武で、東南西北をあらわします。
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 次にアニメ「夏目友人帳」の舞台・背景となったサイトを見に行きます。夏目友人帳を紹介してくれたのは、熊本マンガミュージアムの橋本博さんです。
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 移動先は「天狗橋」。
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   ↓これが天狗
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 隣には以前使われていた吊橋がありました。↓
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 ↓この階段は役に立っているのか?藤原先生所属の「路上観察学会」的には「純粋階段」というそうです。
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 次に同じく夏目友人帳に出てくる鍛冶屋町にも行きました。まずは、釜田醸造所を見学させていただきました。ここは味噌醤油とつけものなど関連商品を作っています。
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 試食をたくさんいただきました。
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 釜田さんのお店のお座敷です。
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 釜田醸造所のすぐ近くにある鍛冶屋町のポケットパークと世界一小さな美術館・CHOBITを見学させていただきました。このチョビットは、以前は米を集めていた所です。石造りのように見えますが、法律では石が構造体にはならないので、美術館にするときに構造体を木にして石は仕上げ材にしました。本来2階建てだったということです。
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 鍛冶屋町の地域づくり拠点・立山商店(お茶屋さん)で店主の立山茂さんからお話を伺います。
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 ↓車を止めるには狭くないですか?
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 この間に宿泊先の楽屋に行き荷物を置き、新温泉で温泉に入りました。そして再び立山商店で、懇親会です。九大からの参加者と人吉市役所のみなさん、ひとよし未来会議の方々と交流できました。若い学生はこのような場で、自らが食べたり呑んだりしておしゃべりするだけではなく、他者への配慮ができるかどうかが重要です。大学は同年令で同じ性質の人で群れることが簡単にできるところですが、実社会ではそれはないです。上の方へ食べ物をよそったり、飲み物をつくったり、配膳したり、場所をゆずったりします。家庭教育では学ぶことができない大人(他人)の社会の作法を学び、他者へ配慮しながら、自分も上手に振る舞うというのはこういうところでしかできません。
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 高校の時、応援団だった吉峰くんが、釜田醸造所の釜田さんを応援しました。
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 人吉市役所の建設部次長の山田さんがウンスンカルタを披露してくれました。九大生も喜んで参加です。
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 ご飯が多く残ったので、即席おにぎり教室です。留学生のみなさんにおにぎり作り体験をしてもらいました。
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 1日目は青井阿蘇神社参詣、夏目友人帳にでてくる天狗橋見学、同じく夏目友人帳にでてくる鍛冶屋町で釜田醸造所見学、ポケットパークと世界一小さな美術館チョビットを見学、立山商店(お茶屋さん)見学とミーティング、歯医者さんがしている宿泊施設、新温泉入浴、立山お茶屋さんで懇親会と盛りだくさんで非常に有意義な時間を過ごしました。観光スポットでもある特別な青井阿蘇神社以外は、普通の地元の方々の営みがある場所です。特別なものではありません。「ケとハレ」のケであり、日本全国のどこにでもある日常の「普通の人の営み」です。しかし、この1日目の行程を面白いと思える理由は、よそ者である九大グループの一人ひとりが、「普通の営み」に意味を付与しているからだと思います。ものの意味づけ、価値判断は私達の体の外にあるのではなく、私達の体の内側にあります。福岡で日常生活をおくる九大生の気づきにより、人吉のあるものを愛で意味や面白さを見出し評価することで、人吉にある普通の風景の存在意義を底上げする、このような行為が文化資源の発見になるかと思います。
                      岩  井






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