建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
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『平田オリザ演劇発表と講演会-オリザさんと演劇をつくるそしてふくおかに新しい広場をつくる』
  2016年9月22日(木)13:00~16:30 早良市民センターホールで開催されました。
 主催は ふくおか教育を考える会協議会博で、福岡県共助社会づくり基金の助成を受けて実施しています。
構成団体は、ふくおか教育を考える会、14+、筑紫野市教育委員会、九州大学大学院地球総合科学府

 構成は市民のみなさんの15分程の寸劇×6 + 平田オリザさんの講演で3時間半というものです。
 演劇参加のみなさんは中学生高校生、教員、弁護士、大学の先生、社会保険労務士など40名が公募で集まり7月20日に出会って7回の練習で寸劇にしたということでした。平田さんから直接指導をうけて演劇を通じてコミュニケーションをプレゼンを学んだということです。
            1)『田中、チア部やめたってよ』
            2)『パンケーキ』
            3)『長女の結婚』
            4)『カフェROBIN』
            5)『旧校舎の幽霊』
            6)『合宿の夜』

 以上の6作品。
 1)は、伝統ある学校のチア部の在り方についての劇で、部員は減っており、このままのやり方でいいのかという課題を扱ったもの
 平田さん評)ステレオタイプの表現があり、高校と大学では違うだけでは説得力がない。演劇は、個人の内面を出すには向いていない。集団が抱えている問題を解決する、その表面化するのに向いている。個人に問題を抱えさせるのは間違いである。

2)は、不登校の子どもをもつ親の会の定例会の様子を劇化したもの。学校に行かせるにはどうしたらいいかと悩む小学校教員の親、学校に行かせることが最終目標ではないという会。祖母がいたときはよかったが祖母が老人ホームに入ってから、息子に「孫はどうして学校にいかないのか。どうするのか」と問い詰める祖父がいるという話があった。
 評)演劇は解像度をあげるもの。「私たちは今こういう問題を抱えている。」を表す。運命に直面した時どうするか。忠臣蔵がよい事例だと思う。パンケーキの寸劇には人間像を浮かび上がらせる起伏をつけた方がよかった。

3)は、異文化理解や多文化共生を教えている著名な父。娘が突然連れてきた婚約者は一夫多妻の国の男性で既に1番目の妻には子ども5人、二人目の妻には子ども3人がいるという。婚約者の男性も一番目の妻も明るく親切でいい人。父は自らが異文化理解・多文化共生を教えているが、自分の娘が一夫多妻のところで結婚することを受け入れられない。
 評)問題設定が上手かった。この場合、どんな両親だったら一番困るかを考えたら良い。

4)このカフェの店員になることは一部ロボット化になること。ロボットになりたい人、そんなこと全然知らずにカフェバイトに合格した人がいる。ロボット化は疲れないといった利点はあるが、大切な思い出を無くしてしまうこともある。
 評)なぜロボット化するのかの伏線がみえた方がよい。

5)取り壊しになる校舎には、不登校の生徒の他に女の子の幽霊もきていた。その幽霊は、不登校の女の子に部屋をひらいた校長の同級生であり、この女の子の祖母だった。

6)厳しいバレーボール合宿から抜け出し半分山道に迷っている高校生と彼女に引きずられてついてきてしまった下級生。それを探しに来た部員。それを探しに来た先生。近くでバーベキューをしようにも着火マンを忘れた大学生。

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 講演会↓
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 平田さんの講演会の方は、『新しい広場をつくる』の中のエッセンスをお話された感じです。
【社会における芸術の役割】①芸術そのものの役割「未来への遺産」「文化資源をつくる」②コミュニティの形成維持③教育観光経済福祉医療。演劇は、演劇情動療法というのがあるそうです。脳の中心の部分は、喜び怒りを司るもので、認知症になると、新皮質(記憶を司る部分)がダメになり、情動の部分はそのまま残るので、怒りっぽくなったようにみえるそうです。記憶が薄れているので介護者に対して、お金をとったとか、実際にはないことを言って責めるといったことがあるそうですが、演劇情動療法により、介護者は演技をすることでのりこえられるということです。
【まちづくりに関して】地方都市の風景が画一的。文化はすぐ役に立たないのでマーケット原理にはなじまない。しかし、この原理は地方や田舎ほど荒々しく働く。地方ほど無駄が排除される。遠くの島に住んだことがあるが、そこでは売れるものしか置かない。地方ほどマーケティングのやり方は、荒々しく働く。
 岡山県奈義町では、採用試験に討論を取り入れたディベートではなく全体の議論が盛り上がるようにするようにはどうしたらいいかというもので、受験者はその場で初めて出会った人と話をしたりフォロアーにまわったりする。東京のような沢山人がいるところでは、自分のところだけ、それだけやっているのでもよいが、6000人に自治体だ<良き市民>が必要となる。(公務員としての)採用にあたっても上の人が自分のいうことをきくから選ぶというのではなく、ともに働く仲間を選ぶということで職員が選んだ。
【地方出身者のカルチャーショック】今の東京の中高一貫校ではアクティブラーニング(演劇を取り入れたディスカッション・ワークショップ)を授業に取り入れているもう「東大に何人入った」は競わない。それより学びのモチベーションが持続する授業をしている。例えば、永山則夫の小説を3冊読ませて後期半年で永山則夫評伝をつくらせる。全く教科書を使わない授業をする。そのような生徒と大学に受かる勉強をあくせくしてきた生徒が大学で机を並べる。すると、地方出身者はカルチャーショックをうけるそうです。東京には多くの文化が集まっていて都会の生徒は文化や芸術に接する機会も多く話す内容が地方の生徒と違うのでショックを受けるそうです。見えない文化格差が広がっているそうです。
【新しい広場】新しい広場は、劇場、ホール、美術館、フットサルのコート図書館かも。特に図書館は非常に重要になる。引きこもりで「図書館とコンビニならいける。」という人がいる。なので今までのように学びの場としてだけではなく、話しをしてもいい場所をつくって、ボランティアやカウンセラーをおいて、話しができるようになったら、例えば、絵本を渡して子供に読み聞かせをやってみませんかと誘ったらいい。「居場所と出番」の考え方を入れるということもできる。大事なのはたくさんのメニューを用意すること。メニューの網目に演劇や、音楽、美術、コーラス、農作業体験、環境保護運動を入れる。「誰かのことを必ず誰かが知っている社会」をつくる。
【文化の自己決定能力】北海道のA市が集客を狙って大規模建造物をつくりましたが、現在では人の立ち寄らない施設になりました。自分たちの強みは何で、自分たちの愛するものは何か、どんな付加価値を加えれば地元のひと・外の人に愛されるまちになるのか。では、「文化の自己決定能力」はどこで生まれるか。要は子供のうちから優れた文化芸術に触れて、一人ひとりが文化資本を蓄積する。今のままでは文化格差がひろがるばかり。【関心共同体】何かでつながっててください。
【価値の転換を】今は雇用保険受給者や生活保護世帯の人たちが平日昼間に芸情や映画館に来ていたら「就職活動してない」と非難するのではなく、「生活が大変なのに映画に劇場に来てくれてありがとう」「社会とつながっていてくれてありがとう」という社会に。その方が社会全体のリスクもコストも小さくなる。
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 話の持っていき方が非常にうまく、どれも興味深いものでした。特に富良野と芦別の事例が出た時はどちらも行ったことのある私にはうなずけるものでした。北海道の旧産炭地は、その土地のアイデンティティ、何が強みなのか、何をしたいのか、見通しの住民合意形成と検証をしないまま、国のエネルギー政策の転換に連動し、炭鉱を閉山したところが多いかと思います。特に空知の産炭地は、内陸部で利用できる海は遠く、土地に根づいた個人経営の炭坑でもなく、大牟田のように石炭化学コンビナートによる扱えるものの複合化もしてきませんでした。私の印象では、炭鉱の威勢のいい勢いのまま観光で何とかなると思い、おかしな建物、箱物を持ち込んだ観光に突き進んだように思えます。地方自治体としてのより良い道を選ぶ自己決定能力が鍛えられていなかったのかと残念です。公共事業や補助金にばかり頼るのではなく、「自立した」地域再生とは何かを考えていきたいです。また、私の研究対象である図書館についてもご示唆をいただいたようにもいました。図書館に市民の場所と出番をつくることでより良い図書館になることはできると思います。司書は専門職という前に、一市民です。地域のことに関心をもっていて当然なのですが、実際の現場ではそれができていない、つまり「地域に対する忠誠心」より「同職者コミュニティに対する忠誠心」があると言われることもあります。地域に貢献するにはその地域についてのみ知っていればいいという訳ではなく、ありとあらゆる知識とどこへでも出向き行動し意見を述べる能力と図太さが必要だと思います。地域における図書館という意味をまた深く考えることができました。

                                             岩井


 

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