建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
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 ↑渡部先生 ↓田北先生。
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 2016年8月8日(月)13:00~18:15まで九州大学箱崎キャンパス図書館の視聴覚室で和歌山大学教授で図書館長の渡部幹雄先生(大分県竹田市出身)と九大人間環境学府の田北雅裕先生の講義を受講できました。これは社会教育主事講習の九州会場で行われた講義の一環で、受講者のみなさんは7月から1カ月ほどかけてこの講習で学んでいます。
 私は渡部先生がこの講義をするということを聞き、事務局である岡先生のお許しを得て講義を受けてきました。
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 ワークショップの心遣いがありました。↓
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 お食事処の案内↓
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 和歌山大学教授で図書館長の渡部幹雄先生です。
 渡部先生は大分県竹田市の出身で、今までに社会教育施設での勤務経験と立ち上げ経験があり、大分→東京→長崎→滋賀(教育長)→三重→和歌山と移動されたそうです。行政職員や司書や学芸員をした経験がおありになるそうです。和歌山大では本が溢れて利用状況がよくなかったのですが、本を利用者の目に届くところに置いたら利用されるようになったとのことです。また、図書館にある「しゃべっちゃダメ」のルールを変え、1階をしゃべっていいゾーン、2階を普通の図書館ゾーン、3階をクリエイティブゾーンにしたら1日の利用者が3000人ン~4000人になったというお話を聞きました。
 
 社会関連施設の範囲
 全国の自治体はおおよそ1800、博物館は1200あり、公立と私立が半分づつくらいで、図書館は3300館、小学校は2万校、中学校は1万校くらいある。
 今までの公共施設はお客様を待っているだけであったがこれは地域との関係性を重視してい来なかったといえる。地域に働きかけることが重要ではないか。

 公共図書館の変遷
1963年「中小レポート」が出され、誰の為の図書館か、図書館が働きかける対象ととそのやり方が明確に提示された。
1990年図書目録の機械化がはじまった。OPAConline public access catalog
             マニュアル化 画一化が進む。
資料と人とを結ぶということについて:貸出返却作業は誰にでもできる作業になった(非正規雇用化へ)
パッケージ型図書館が増えている。
 フィンランドは人口500万人のところに蔵書10万冊の図書館がざらにある。これは地域が豊かになる
ユネスコの図書館宣言を追求したらもっと仕事があるはずではないか。

 地域づくりに資する博物館の例
 誰の為にある図書館なのかという根本的な課題に向き合ったからこのような結果が出たのだろうと思います。消極的な施設運営だと管理が中心となり、鍵の管理が中心になる。積極的な施設運営は理念追究型になります。地域づくりに資する博物館の例として、昭和日常博物館(愛知県北名古屋市)の回想法、伊吹山文化資料館(滋賀県米原市)参加型、コウノトリの郷文化資料館(兵庫県豊岡市)地域ぐるみ環境整備、平塚市博物館(神奈川)日常的な利用、放課後博物館、あさひ町エコミュージアム(山形県)地域まるごとミュージアム、があげられました。

 博物館というのは、土器を並べるなどセオリー通りにやっても、市民が「自分の日常と関係ない」と判断すると1回きりの訪問で終わる。上記に上げた博物館は派手な展示や日常からかけ離れた展示ではなく、市民の日常に関わる博物館である。
昭和日常博物館:日常生活の中で使われていたものの展示を中心とした博物館がする回想法は高齢者が生き生きし始めるし、自分が活躍した時の展示をみて認知症が予防されるので市の福祉課とも連携できる。
伊吹山文化資料館:小学校跡地にある博物館では市民が採集した生き物や植物を展示している。これはボランティアで住民が自らの研究成果を展示している。市民の研究成果を反映した博物館となった。
コウノトリの郷文化資料館:コウノトリは肉食なので、どじょうやカエルを食べる。しかし、農薬の影響で少なくなっている。コウノトリはどうしたら昔通りになるかということで、地域住民は有機農法をし、資料館にはその学習活動が展示されている。その後この資料館は、米や野菜をつくりレストランまでできている。学習活動などの展示により子供たちに伝えるということが必要である。
平塚市博物館:伊藤寿朗がモデルにした。日常のおやっとしたものを調べ展示する。タンポポの在来種・外来種を調べ、その生えているエリアをまちばりでマップにさし、エリアを視覚化しました。更に、石ころが展示になるかということを試み、展示の解説によって石がこれまで辿ってきた歴史、ここまで来た経緯を示した。
朝日町エコミュージアム:エコはエコロジーでありエコノミーであるそうです。まちじゅうまるごと博物館、住民一人ひとり学芸員をキャッチフレーズにしています。空気がおいしいということで「空気まつり」というものもしています。あるものを使ってできることをする、地域や住民を巻き込むという方法です。


地域づくりに資する図書館事例
 ・鳥取県立図書館-ビジネス支援
 ・島根県海士町図書館ー島まるごと図書館
 ・岩手県紫波町図書館ー新しいまちづくりの中核:オガールプロジェクトにより大学と企画した岡崎正信氏の連携で図書館だけでやっていくのではなく、駅前にあるこの字型の施設全体を使い、テナントを募集。テナント料により図書館を運営しているので指定管理とは反対の運営方法と言える。
 ・武蔵野市武蔵野プレイスー図書館は分館で指定管理運営。住民活動支援・図書館に住民の文化活動支援のコーナーがあり、且つ、地下には高校生くらいまでの若者が利用できるような卓球・ダンス練習空間、ボルダリングコーナー、若者の居場所スペースがある。
 草津町温泉図書館ー地場産業に関連した資料館ともいえる。
 滋賀県愛知川図書館ー記憶装置の機能や字誌づくり支援
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  ↑秋田の朝日町ミュージアムのまちじゅう博物館 ↓空気という資源がある「空気まつり」
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 秋田国際教養大学図書館は365日24時間開いてます。
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 渡部先生の授業は従来の図書館ではなく、地域文化資源を標榜した図書館、地域課題へ図書館が関わっていく運営の図書館です。パッケージ型されたチェーン店の様な図書館ではなく、きらりと光るものを提供できる図書館だと思います。図書館内部を改革すると同時に利用者・地域住民の「図書館は本を貸出し返却するところ」という意識をどのように変革していくのか、まだまだ困難な道になるのでしょうか。

  田北先生です。↓
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 「僕らの生活は他人からみるとちっぽけに見えても自分にとっては大切な風景にあふれている。」そういった個人的な事柄をパブリックな観点から大切に扱い、支えるためのデザイン活動(まちづくり)に取り組もうと2000年から活動を始めたそうです。
 田北先生は九州工業大学で土木を勉強した後、九州芸工を卒業されました。自らが思い描いていたことを学べないかったようです。上の写真のような橋の下が大切な場所だったとのことでした。

 まちづくりとは、「まち(地域社会)」という広がりの中で社会的に孤立している人たちを支えること。また位あさせた人たちとともに、日々の暮しの課題を解決し、次の世代に希望をつないでいく実践。
 そのための手段(経営・教育・福祉・建築・仲間づくりなど)や目的はあらかじめ決まっているのではなく、解決すべき課題と対象の具体的な状況から決まる。
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 まちづくりという姿勢から、デザインの技術や思考を活かし、まち(地域社会)の課題を見立て、解決していくことを実践している。

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 上記の問いに、私は②ハナガサイタ がアートだと思いました。私たちの生活では漢字と平仮名の組み合わせで文字を書きます。②のカタカナのみは、古い時代の電報か、それでなければ 逆にデザイン思考のある人の技巧かと思ったからです。

 田北先生によると、

 「物事を伝えるため」「理解してもらうため」などの課題(目的)が設定されており、その解決(実現)を目指す手段がデザイン。
 好きだから、かっこいいから、なんとなくおしゃれだからといった理由しか説明できない場合、相対的に美的機能(アート性)が高い状態。
 デザインとは、広義には、課題を解決していくための行為全てと言えるが、一般的には、課題を解決していくための表現がデザインと捉えられており、デザイナーとは、その表現を実践できる人たちのことだと認識されている。つまり 「デザインは私と関係が無い」と感じている人が遠ざけているのはこの「表現」の部分。この「表現」をアート性の高いもの(自己表現に帰属するもの)として捉えているために、「デザインしは資質や才能が必要だ」と思い込んでいる。
 しかし、デザインは物事を相手に伝えたり、理解してもらったり、行動を促したりするための道具的機能からなる日常的な工夫やコミュニケーション(贈与)の延長である。つまり、資質や才能に依存せずに知識として習得できる誰でも取り組める事柄もある。

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 モノや情報が増えたためにコモディディ化(差別されにくい状況)が進行している。ユーザー(生活者)のニーズが多様化・洗練化してきており、同時に選択肢も容易に探し出せる状況なので対象を差別化しにくい状況が生じている。その傾向が定番や表面的なインパクトへの志向を促しており、プロセスも踏まえて、より本質的な価値を多角的に提供することが重要になってきている。

 観光における体験の変化(技術が向上し情報量が多くなったので)
  田北先生によりますと、過去においては注目し、興味、欲求、記憶という段階を経てから観光にいっていたが、現在はこの部分はスマートフォンなどインターネットによりとってかわられ、行く前に期待感と愛着が持たれる。観光の現場に行って検索して、観て食べて宿泊してその場で共有する。(確認と感動)。その後、家に帰ってからこれを共有するという流れになっているそうです。
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 従来、公的セクターと要支援者をつなぐ関係や知識のほとんどは、家族や知識のほとんどは家族やコミュニティ等の身近な主体が支援することで保たれてきた。しかし、暮らしにかかる制度・情報が複雑化しているにもかかわらず、核家族化や共働きの増加、近隣の地域コミュニティとのつながりの希薄化、非正規雇用の増加にともない、基本的な社会生活を営むための知識やスキル(行政手続きや生きていくためのちょっとした知識など)、情報を「自然とみにつける・自然と学べる」機会が不足している。その結果、関係性の困窮が深刻化している。

 近年のデザインとは、
 
 主体:デザイナーに限らない多様な主体
 対象:サービス全般、組織、社会など
 顕在する機能:課題解決機能(課題の発見・設定・解決を多様な主体の協働で取り組む際に必要となる全ての機能)
 商品の開発やデザイン表現だけではなく、課題解決につながる思考そのものとしてのデザインが位置づけられ始めた。

  デザイナーがデザイン表現をする→デザインをまちにひらいていく へ変貌する。デザイナー以外の人々がデザイン思考をもち実践する。
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 住民プロセスが大事。
 あなたお客、私作る人ではなく、当事者意識を培っていく。
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この他、田北研究室では唐津市の神集島(かしわじま)にも入り、地域活性化をしています。
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  このようにして社会教育主事講習のほんの一部13:00~18:30くらいまでに参加させていただきました。
 渡部先生も田北先生も実際の現場に入っているから説得力があります。地域にとって何が必要なのか、時代により人口や年齢層、仕事場、まちの衰退や発展、税金、様々なことが変わります。かわった人ものコトには変わったなりの対応をしていかねばなりません。いつまでも昔のままがいいでは生きていけません。何を大切にし、何を変えるか、どのように変えるか、地域にあるものを磨き直しをして大切に使いながら、住民プロセスを踏んで住民が決めることが求められていると思いました。
 受け入れて下さった岡先生、渡部先生、田北先生ありがとうございました。役に立つ勉強の場を与えて下さりお礼を言いたいと思います。

                                     岩   井









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