建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
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 2016年7月30日(土)14:00~17:20 熊本学園大学にて日本イコモス国内委員会が主催する「平成28年熊本地震被災歴史的建造物保全フォーラム:文化遺産の復興と継承」が開催されました。

イコモス

 熊本地震以降の熊本はいったいどのような状況なのでしょうか?
熊本市内に入ると数々の元気復興のメッセージを見ることができます。
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辛島公園でイベントが開催されていました。

サンロード新市街でも催しが行われていました。

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ようやく熊本学園大学11号館7階に到着しました。

会は日本イコモス国内委員会事務局長の矢野和之さんの進行で始まりました。矢野さんは熊本県西原村のご出身、ご実家が被災されました。そして最初の基調講演は同じく日本イコモス国内委員会副委員長の苅谷勇雅先生の話です。熊本地震の各地の被災の状況が詳しく紹介されました。
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 熊本市内の水前寺公園に保存されていたジェーンズ邸が被災した様子が紹介されました。私は強いショックを覚えました。藤森照信先生の『日本の近代建築(上)=幕末・明治篇』の一番最初に出てくる建物だった、からです。
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続けて、兵庫県教育委員会事務局参事の村上裕道(やすみち)氏が重要なお話をしてくださました。村上氏は1995年の阪神淡路大震災からの復旧復興に成果をあげた経験をお話下さいました。地震後、建物を壊して20年経ってもそのままの空き地の状態になっているものになっているものもある、とのこと。じつに複雑な震災後の状況を数々の事例に対応しながら指導されてこられた生々しい現場からの叡智がたくさん包含されたご報告です。 
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最後、くまもとまちなみトラスト事務局長でイコモス会員の富士川一裕氏が、現地からの声を紹介してくださいました。地震が起きてから1か月半くらいまで、熊本はどのような状況だったか、市民はどのように対応したか、詳細な出来事の紹介がありました。
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 ↓は、私は5月14日に熊本市新町古町に行き、このお菓子屋さんに行ったことがあったのです。被災した家を見ました。そして被災者の方々とお話をしてきました。お店を再開したのは6月下旬とのことです。
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 さて、今回のフォーラムを通して理解が深まったことが3つあります。

(1)まず指定文化財と未指定の文化財とでは支援や復旧の道筋が大きく異なってくる、ということです。歴史的建造物の修理には高度の修復技術とそれに伴ったお金がかかりますが、その資金面の部分について困窮されている所有者の方々が今回のフォーラムには数多く集われていました。また行政の担当者の方々も集われていました。そのため、きわめて現実的なお話の問題を少しでもわかりやすく共有したい、という強い意志が会場中に溢れていたような雰囲気があります。会場からの質問の多くも、こうした現実面からのSOSとも言える声が多くありました。しかし、今回のフォーラムは、こうした要求に応えるかのように、未指定や登録有形文化財を対象としてどのような資金面からの支援が可能なのか、その最も重大な原資ともなる政府からの「復興基金」が準備されつつある、という仕組みが紹介される中、その基金を上手に使って行くことが肝要である、とリアルな話題が交わされていきました。

(2)こうした指定・未指定・登録等を含めた文化財建造物の難儀な復旧作業にはきわめて高度の技術と現場を巧みに動かして行く能力が求められますが、阪神淡路大震災以降、兵庫県を皮切りとして日本建築士会等と協力して進められる「ヘリテージマネージャー」養成制度が全国各地に広がっている実情を紹介していただく中、きわめてたいせつな人材育成を進められて来ていることを知りました。すでに熊本地震の被災地調査でも熊本県はもとより福岡県、大分県、長崎県、鹿児島県といった周辺からのヘリテージマネージャーが相当数活躍されておられ、続けて再生支援を進めていくことが肝要である、といったことを強調されていました。

(3)さらに被災にあう前より被災後をもっと良質かつ創造的なものとしていくより良い復興:BBB(Build Back Better)をめざすべき、だということを知りました。そのために、熊本大学の伊藤重剛先生が代表されるかたちで、「熊本地震被災文化財建造物の再生のための提言」が発表されましたが、そこには「文化財建造物が集中する地区を重要伝統的建造物群保存地区に選定して支援を行うこと」や「「地域における歴史的風致の維持及び向上に関する法律」(歴史まちづくり法)を用いた支援を行うこと」を含んでいたのです。

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 さて、今回のフォーラムで私の心に最も残ったのは、村上氏の「おまつりもなにもできない場所では荒みます。」という言葉です。
建物を壊して空地にして20年経っても空地のままという場所があり、何にも無い状態のままになっているところがあるということがわかりました。また、被災した住宅をどうしようかということで建築家に相談すると壊すという結果になることが多いこともわかりました。現在の建築の教育では、RCの勉強はしても木造の勉強をしないそうです。グローバルな技術は教えても、地域の伝統技術は教えないということが起こっているそうです。
 地震がおこした問題は地震のみならず、今後の日本の高齢化問題、人口減少問題にも同じことが言えると思います。つまり、長くある家の所有者が高齢化し、地震などが原因で修理や維持していくのが困難なことが明らかになり、壊すという方向に心が傾きやすいこと、それを補う・支援する公的仕組みが貧弱なこと、国にお願いしても解決できるかどうかは難しいこと、修理にはお金が必要なこと。家を取り壊してしまったからといって地域としては何かが満たされるということはないこと、何もないと人の心は荒むこと。このような悪循環をつくらないことが必要なのだということがわかりました。
 また、矢野和之・日本イコモス国内委員会事務局長からは、建物を壊さないという強い意志を持つことということが必要だ、と強調されました。
 
                                       岩 井



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