建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
2016年4月22日の金曜日に芸術・文化環境論の授業が行われました。
芸術・文化環境論は、大学院の授業で、「芸術文化の魅力や力を用いて都市再生・地域再生や社会再生に挑んで来たヨーロッパ社会の事例を多彩に分析検討しながら、ブラウンフィールドが再生されていくダイナミズム、そこから創出される創造都市=クリエイティブ・シティの原理に関する内容を理解すると同時に、昨今の疲弊する地域社会の再生へ向け実践的な提案プログラムを創出することを目標」としています。
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今回の授業では、先週地震により大きな被害を受けてしまった熊本県に対して、われわれは何が出来るだろうかというなやみから始まりブラウンフィールドという用語を取り上げ、既存の産業や暮らし、環境、社会、コミュニティーなどが崩壊されている地域を再生していく有効な方法の一つとして新しく注目を浴びている芸術文化の可能性について考えてみました。

実際に藤原研究室では、先週4月15日(金)〜16日(土)に学外演習として、産業の空洞化、誇りの空洞化、人口の空洞化などを経験している熊本県天草市下浦町を訪ねました。地元の方々との地域再生のための第1回ゼミは無事に終わりましたが、その日の深夜に大きな地震があり、研究室のみなさんは、翌日急いで帰福することになりました。幸いに、下浦には被害がなく、帰る時も藤原先生の引率により、長崎経由で全員無事に大学に戻ることができました。
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このように、日頃私たちが暮らしている世の中には、社会システムの変化による地域衰退はもちろん、災害による地域崩壊など予想も出来ないところで様々のブラウンフィールドが見つけられています。

藤原先生は、このように社会的に打ち捨てられてしまった場所や空間や仕組みを人間が自分の中に生み出すことができる「創造性」を発揮しながら、蘇らせていくことができることが大きな社会的な機運になっているのをチャールズ ランドリやリチャートフロリダの本を紹介しながら伝えてくださいました。


また、先生は「新しくしていくことや取り替えることや古いものを捨てて新しいものに活かしていくことなど上書きをするみたいな社会現象というものが産業革命以降から当たり前のように世界中で展開して行った」と指摘しながら「上書された、見捨てられてしまった、みんなから見放されてしまったもの、場所、仕組みのこと」をブラウンフィールドと呼んでいました。

それで、「芸術・文化環境論」の授業では、人間が持っている創造性やリノベーション、コミュニティ、気づかないものを先に気づいてみせる中で社会全体をサーポトしていくようなアドボケートなどいろんな力でわくわくするような地域づくりを行っている創造都市のあり方に注目しています。後半は、実際いに受講生の皆さんが身の回りのブラウンフィールドを見つけ出し、そこにこのクリエイティブを傾けて行くプログラムを作っていくのを目指しています。

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今日のフィードバックシートには、受講生の自分自身が考えているブランフィールドや出来ことあるいは、見てみたいところに対する意見が聞かれました。それと同時に藤原先生にとっては、日本文化財の保存・管理の専門家として熊本県にあるユネスコ世界遺産に指定された万田航や三池西港などの現状調査や今回の地震による大きな被害を受けてしまった先生の実家でもある南阿蘇に対して出来ことを考えている真っ最中でした。

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その他、藤原先生の友人たちはすべて熊本県現地への支援を初めているとのこと。
まず、日本全国を代表する放送作家、プロデューサーの小山薫堂氏は、「FOR KUMAMOTO PROJECT」を立ち上げ、「くまもん募金箱」による支援金を募る予定だそうです。

また、イデアパートナーズという会社の代表である井手修身氏は、藤原先生と同じ南阿蘇の出身で南阿蘇地区に対し、現地のニーズに合った救援物などを支援しています。

藤原先生は「本来この授業で目的としたブラウンフィールドをクリエティビティあるいはイノベーション的な私たちの知恵やアートの力でクリエイティブシティーに(創造都市)変えて行きたい」と考えている」と同時に受講生の「皆様さんがそういく考え方を学んでくださって、あるいは体験してくださって、そのことが一つの切っ掛けになり、また、皆さんがいろんなところで活躍してくださること」を期待しているとおっしゃいました。

その後、藤原先生は、いくつかの本を紹介してくださいました。
去年は、平田オリザの著書「新しい広場をつくる―市民芸術概論綱要」という本で、アートの役割をもう一回見極め直す機会になったのを説明してくださいましたが、今回の授業ではまた新しく平田オリザの「下り坂をそろそろと下る」という新作の紹介がありました。この本には、今まで坂を登ってきた日本社会が坂を下ら得ざるをなくなり、有意義に坂を下る方法に関して書いているそうです。18世紀から坂を登ってきたイギリスも今は、すでにお金の富ではなく遺産を用いた尊敬の富が世界的に認められているわけです。そういう面からみると創造都市のあり方は、新しいものを生産していくことより、過去の遺産を蘇らせていくので、ある意味では下り坂を有意義に下りる一つの方法とも言えるでよう。
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また、「地域を変えるソフトパワー」という本にはアートプロジェクトがどのだけ有効かという話が紹介されています。

そして、藤原研究室のO.Gでもある秋葉美知子さんが翻訳した2冊の本が紹介されました。
「グラスルーツ・シアター」では、
グラスルーツ・シアター(草の根演劇)を中心として、アメリカの小さなまちやむらをどうやって大切にして支えて来たかという内容が書かれています。
また、「ソーシャリー・エンゲイジド・アート入門」という本では、旧来のパブリックアートやコミュニティアートをより適切に社会に位置づけたものです。

このようなアートによる地域再生の世界の潮流の中で、日本社会の中でも多様な実践が行っていたり、国の政策的にも「文化芸術の振興に関する基本的な方針」が改訂され、様々な支援を予告しています


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下り坂を下っている社会で生まれているブラウンフィールドには、坂を登る時とは違うエンジンやブレーキ装置が必要かもしれません。すくなくとも、そこには競争や物質的な成果より、共生やコミュイティ、連帯などの新たな人間領域を復元、開発する必要があると同時にそのための人間の創造力や知恵がより大切にする時代になった気がします。

以上、D3ジャン

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