建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

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2016
年3月17日(木)—18日(金)にかけて、熊本県合志市にある国内最大規模の
ハンセン病患者の国立療養所、菊池恵楓園にて、60年以上前から入所者の方々に
よって描かれてきた絵画作品の数々を、保存するための調査に参加しました。
 

保存活用調査は、元熊本現代美術館主任学芸員で司書の蔵座江美さんから
藤原惠洋先生に相談があったことをきっかけに、研究室のメンバーも参加させて
いただくこととなりました。

317日、藤原先生、馨さん、岩井、張、國盛の5人は恵楓園に集合。
文化会館にて蔵座さん、古長さんとお会いし、さらに1953年に園内で絵画部が
発足した当初からのメンバーである吉山安彦さんから様々なお話をお伺いし
絵画部アトリエや資料館を見学しました。

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ハンセン病はらい菌に感染し抵抗力の弱い人が発症する病気で、皮膚や末しょう

神経等の機能が低下することによって、生活の中で病状の悪化や支障をきたして
しまう病気ですが、近年はほぼ根絶された病気です。感染率は極めて低く、また
まれに感染しても現在では薬によって治療することができます。
入所者の方々も全員が回復している状態ですが、後遺症や長年の入所のよって
帰郷が困難とされている方々が暮らしていらっしゃいます。現在恵楓園は270名
程の方々が利用されています。 

 

絵画部のアトリエは20年以上となり、沢山の作品、モチーフ、展覧会の軌跡が
所狭しと展示されてありました。当時15人で発足した絵画部も、現在は吉山さん
お一人となってしまいました。しかし、2008年頃から吉山さんに絵画を習いに
来る周辺住民の方々がいらっしゃるとのことで、絵画教室「さざ波会」は
16人ものメンバーでご活動されているとのこと。
公募展やグループ展への参加もされているとのことでした。

 資料館では長い苦悩の歴史が様々な資料と共に展示解説がしてあり、

とても胸が痛むものでもあり、自分自身の態度が問われ、深く考えさせられるもの
でもありました。

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資料館に展示されていた絵画部の絵筆。
先端が摩耗して使えなくなる程に使い込んでありました

いよいよ絵画部の方々の作品とのご対面です。やすらぎ会館のステージに
設けられた作業場には圧倒的な数の作品が。400点〜500点ほどにもなる作品群は
小さな紙作品のものから、100号クラスの大作も多く、入所者の方々がいかに
表現に情熱を傾けられていたかがひしひしと感じられました。
それぞれの作品も個性があり、画風やモチーフなど実に様々です。静物といった
習作的なものから、故郷を描いた風景、大切な人の肖像画、様々な苦悩や喜びが
表現されたものなど、心打たれる作品も多々ありました。作品の整理と採寸、
素材や制作年の記録とリスト化、そしてボランティアのカメラマンさんお二人
による撮影とそのアシスタントなどの作業を行いました。
その作業の中でも、沢山のエピソードを聞かせていただき、また保存活動に
関わる人々の心境などもお聞きすることができました。

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泊らせていただいた園内の宿泊施設。夜はニュースの放送が園内に響いていました


 2日目も終日作業を行いました。だんだんと、作者の方の名前や作品が分かる

ようになり、面白みも増してゆきます。忙しい作業の傍らでも、共有したい
作品が登場すると、自然と小さな鑑賞会が開催されます。
本物の作品を身近に触れ、また時に額装から外す時に垣間見える隠された
エピソードなどが、胸にじんわり染みてきました。

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昼食は吉山さんからいただいた差し入れのパンとヨーグルトをいただきました。

毎週金曜日には焼きたてパンの販売が園内で行われるとのこと。
お昼休憩の時間も、蔵座さんがこのような取り組みを始めたきっかけや、
なぜ13年も活動を継続しているのか、そこに対する想いなども沢山話して
いただきました。午後は吉山さん達も傍らで作業をしてくださいました。

 

今後は作品の整理やリスト化・データ化を行う一方で、この活動をプロセスから
より開いていくこと、もっと様々な分野や世代から支援者を集めてゆくこと、
そして絵画を深く読み込んでいく鑑賞会や勉強会を開催すること等が
考えられています。私自身、直接園内に足を運び、入所者の方々や活動されている
人々と実際に会ってお話し、取り組みに参加させていただくことで
関わり方を考えさせられ、見出せそうな気持ちになりました。
今後も活動を応援し、また関わらせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。


國 盛 

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