建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

2016年2月6日(土)〜7日(日)にかけて熊本県天草市下浦町と熊本市に
フィールドワークに行きました。今回の訪問は、下浦で昨年12月3日から5日に
行われた韓国ヨミリ村との交流の反省会を兼ね、2月7日(日)の下浦町ふるさと
祭りの見学、さらに足を伸ばして熊本市内の創造的な地域再生の現場を訪ねる
ことを目標としました。

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2月6日(土)、まずは下浦にて韓国ヨミリ村の反省会が行われました。

長年、地域社会の再生に興味を持つ学生、社会人など約100の大軍団が地域社会に
入り込み、地域の宝物を掘り出し、地域活性化デザイン提案を行っている藤原研究室
では、2014年度から天草市・下浦を対象とした様々なデザイン提案を行っています。
その一環として、以前からの韓国産業技術大学校コン・オジェ先生との交流が
縁になり、2014年度からは韓国江原大学デザイン学科ハン・ギウン先生、
2015年度からは、韓国内浦地区の村の住民の方々も参加することになり
日本の下浦と、韓国の内浦地区のヨミリ村が、互いの地域に対する問題意識を共有
し合うことで、一緒に地域発展を考える住民交流が生まれました。
それらが縁となり、2015年は韓国からの招待によって下浦住民の皆さんが、
韓国ヨミリ村を訪問したのです。

去年の韓国内浦フォーラム参加及びヨミリ村との交流に関する詳細は、以前の
ブログ記事をご覧ください。

http://keiyo-labo.dreamlog.jp/archives/2058100.html

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今回の反省会では、下浦町の発展のためいろいろ多角な支援(石工歴史の発掘及び
再評価に関する学術的な研究・世界遺産における下浦石工の役割広報・地域再生
デザイン提案・韓国との地域交流など)を行っている藤原先生の労いと同時に、
去年の韓国ヨミリ村を訪問後の下浦の歩みに対する意見交換などが行われました。
 

藤原研究室からは藤原先生を始めとして高倉さんとジャンの3人が参加。
下浦側からは、明日に下浦町ふるさと祭りを控えた中でも松岡会政幸会長と
天草市議会大塚基生議員から始め下浦住民12人が参加してくれました。


反省会で主に登場した主な話題は5つとなりました。

 

1「韓国で下浦の話を聞かれるとは思わなかった」


韓国に来られた下浦の方々は「韓国内浦フォーラム」で藤原先生が基調演説を行い、
自分たちは何も無い日本の小さな町だと思ってきた天草市下浦町が韓国で紹介され
とても嬉しかったと言われました。実際にフォーラムが終わり、唐津市長や地元の
住民や研究者などが「下浦を学びたい」交流したいという人が、藤原先生に沢山
声をかけられたとのこと。日本に戻った後は、藤原先生に個人的にもメールが
来たそうで、下浦が国際的なまちになる可能性もあるかもしれません。

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2 「韓国や日本における衰退する地方の状況に共感」


佐々木さんは、ヨミリ村の子どもたちにあげるためにお土産を沢山持って
来ましたが、子どもの姿は見当たらず、高齢化が進んでいるのを見られ、
韓国も同じ状況だということが分かるようになったそうです。
高度経済成長期を経ている韓国の場合は、日本と同じく地域の過疎化が加速されると
思うので、これから日韓の地域再生に対する様々な情報や町や村間の交流が
必要に見えます。

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3「韓国のおもてなしに感動!」
 

韓国のさりげないおもてなしとは?初めて韓国のおもてなし文化を体験した
下浦住民の方々は、ヨミリ村の気を使わせないおもてなしで驚いたようです。
韓国は、もちろん来賓たちをお迎えにする丁寧なおもてなしもありますが、
実際に仲良くなるには、普段の日常生活の中で招待し、家庭で一緒にご飯を食べる
習慣がありました。「普段私たちが食べる食卓へお箸1膳加えるだけ」という
言葉は、仲良くしていく方法としてよく伝えられてきました。
最近、都会ではなかなかそのような風習をみるのが難しくなったのですが、
ヨミリ村ではまだまだその習慣が残り、下浦の住民を家族のように懐かしく
迎えてくれたと思います。二つの違う国の住民たちが、日常的な交流を通じて
お互いの文化に対する理解を含めていくのもとてもいいですね。
 


4「下浦の住民が団結するきっかけになった!」

今回の韓国ヨミリ村訪問は、下浦住民の方々が韓国の状況を知る・交流する、
という意味以外に大きな収穫がありました。それは、住民同士のきずなが
強くなったということです。先日、残念ながら、下浦石や石工の技術を用いた
「長崎の教会群とキリスト教関連遺産世界遺産」の推薦が一時取り下げられました
が、それにも関わらず、私たちはなにかやっていけるという話が出たことで、
下浦の住民たちの心を強める切っ掛けにもなりました。
また、今年の最後のフィールドワークでは、何かを提案してもらうという立場から
離れ、住民同士がより積極的に参加しよういう提案もありました。


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5 「人間の力で溢れている下浦町へ」

最後の藤原先生からの纏めがありました。藤原先生は、ヨミリ村は少し変わった
小さな村ですが、ここに行くと全国から集った声楽家やいろんな人と会える
ことができ、私達のように国外からもいろんな人がやって来るので、ヨミリは
絶対生き残るのではないかと考えたそうです。このように、藤原先生は新しい
時代の小さな町や村の新しい価値として、いつもは会えないような人と出会える
人間の力で溢れている町や村づくりを下浦へ提案されました。
また、皆が忘れてしまった何かを守り抜いていけば、どんどん町に魅力を感じて
下浦を応援してくれる方が増えてくるのではないかなということを話されました。

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7日朝からは、第24回下浦町ふるさと祭りが行われました。

正式な名称は「石工・ポンカンの里下浦町ふるさと祭り」です。石展示作品や、
ポンカン関連イベントや販売などを通じて地域を広報するための産業祭です。
天草市の他の町では、11月にふるさと祭りが行われています。しかし下浦は
ポンカンの里という理由もあり、2月に行われています。


9時から開会式から始まったふるさと祭りは、様々なイベントと同時に
ガネアゲやポンカン餅、魚類、白米などの地域の名物と農業資材販売、
フリーマーケットなどが行われました。

 


「石工・ポンカンの里下浦町ふるさと祭り」

09:00  ふるさと祭り開会式

09:20  もちつき実演販売/石のボウリング

10:20 キャプテン海道くんジャンケン大会

10:40 ポンカンピラミッド

11:10 春ちゃんの大道芸ショー

11:50 もちなげ

12:20 石展示作品 ポンカン表彰式

12:30 町民芸能ショー

14:45 特別出演 天草市役所本渡ハイヤチーム
15:00 閉会宣言

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開会式の時には、中村五木天草市長さんから藤原先生の下浦に対する調査研究や
活動に対して感謝の気持ちを表してくれました。
また、下浦に関する書籍を作成し、下浦をより沢山の人々に知らせていこうという
心強い一言を伝えてくれました。

その後、創造都市を研究している私は藤原先生からの誘いがあり、熊本市の
河原町を見に行きました。現地では、米沢圭介さんが案内してくれるとのこと。
私は急い熊本に足を運びました。

熊本市河原町は、昭和中期頃(1957年頃)から繊維問屋街として栄えていた町
でした。しかし、今は賑わいを失い、「アートとクリエイターの街」として
変化しています。約10年前から、河原町文化開発研究所という組織が立ち上がり、
現在は約30か所あまりのアトリエや店舗が運営されています。

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ここは、Hack academyという空間で、遊びから生まれる学校ではできない
学びづくりを行っています。この空間を運営している林和文さんは、
自分が自立し、自分で仕事を起こしていく力を身に着けられるような
起業家教育を目指しているそうです。

ちょうど、いろんな人からの募金によるこたつ設置が完成されていました。
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ここは、アンティーク着物やリサイクル着物ショップである「一反」です。
オーナーの方は、ほかの店と比べても約2006年の早い時期に店を開いて運営されて
いました。昔の織や染色の技術等は、今と変わってしまったとのことですが
現代の着物とは違う個性があるので、最近は古い着物を愛用する若い人が
増えているそうです。
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ここは、GALLERY ADOということで、河原町文化開発研究所代表 
黒田惠子さんが経営しているお店です。
1階はカフェで、2階はギャラリーとして利用しています。
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河原町では毎月第2の日曜日に「河原町アートの日」とうイベントがあり
いろんな作品が出品されたり、イベントが広がったりしながら
地元の住民との交流も行っています。
残念ながら、来月を最後にしばらく中止されるだそうです。

河原町を見た後は、隣の古町と新町をうろうろしました。古町と新町は
加藤清正が熊本城を築城する時に造った城下町で、現在まで町屋を特徴とする
昔の家屋が点在し、今はレトロな食堂や伝統工芸品店などで変わっています。


さらに、熊本城や市内の路上観察まで。

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 最近、韓国や日本のいろんなまちを尋ねてみると、明るいまちと、元気が
なさそうにみえるまちの大きな違いは、立派な建物も、巨大な文化施設の有無
ではなく、地元の人々の表情から見えてきます。
明るくて元気なまちでは、暖かいお迎えやおもてなしと同時に、よそから沢山の
人が集まり、面白くてユニークな動きが始まっているのです。
簡単にいえばその大きな違いは「人」です。熊本県天草市下浦と熊本市の
河原町に行くと、暖かいお迎えはもちろん、ユニークな考えをもっている
いろんな人々と会えるのがとても楽しいです。
これから、くまもんより熊本というところの人が好きになりそうです。

下浦の住民の方々、熊本市の圭介さん、本当にお世話になりました。
ありがとうございました。

D2ジャン


 

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