建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

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10月9日(金)午後5時〜7時 学部学外演習「海外フィールドワーク」反省会が
開催されました。2015年度の九州大学芸術工学部学外演習「海外フィールドワーク」
は、94日(金)〜99日(水)にインドネシア・バリ島+シンガポールにて行われ
30数名の学部生の大半は海外渡航が初めてという中、前期から事前学習を重ねて
フィールドワークに臨まれました。反省会では、参加しなかった学生にも沢山の
知見が共有されました。
 

フィールドの一つであるインドネシアのバリ島は、藤原惠洋先生が20年近く調査研究
を行っている場所の一つです。バリ島は豊かで濃密な自然環境の中で芸術文化を育み
19世紀終わりからその芸術文化を世界に向けて発信してきました。
フィールドワーク参加者は、その豊かな芸術文化をガムラン音楽やバリ舞踊にワーク
ショップを通して体験的に触れ、さらに実際に現地のバリニーズの方々への
ヒアリング調査等を通して、文化への理解を深めてゆきました。今年度はさらに
近年ますます創造都市として活発化するシンガポールに渡り、近日オープンとなる
シンガポール国立ギャラリーの見学も行われました。

 
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 藤原先生はこれまで77カ国の踏査をされ、千葉大学で教鞭を取られている時代
には意匠論学外演習の中で多数のフィールドワークを実践されてこられました。

フィールドワークを行う際の心がけとして、
1. 五感を磨くこと、五感をひらくこと
2. 暮らし、年中行事、通過儀礼、広義なデザインを通して社会や文化を学ぶこと 
3.日本の近代化過程を批判検証すること
4.地域社会や沢山の人々とのコミュニケーションを通して自らを社会化させること
5.人間の生き方、暮らし方、哲学を宗教を超えて普遍的に探ってゆくこと
を大切にされていると教えていただきました。
 

バリ島フィールドワークの様子をスライドに投影し、バリの生活文化や芸術について
沢山のことをお話いただきました。ドイツ人ワ=ヴァルター・シュピースが1920年代
後半に移住し、バリの芸術文化を観光資源として形式化し、また西洋を中心に広く
紹介し普及させたことで世界に名が知られるようになりました。
ヴァルター・シュピース自身も絵画制作を行っていましたが、モスクワやオランダに
流出しており、バリ島にはほとんど残っていないとのこと。
さらに、バリの豊かな農業や棚田を支えてきたことで世界文化遺産登録がなされた
水利システム スバック、タマン・アユン寺院、プンゴセカン村のガムラングループ
「スダマニ」を抱えるデワ家でのガムランワークショップ、ジェゴググループ
「スアラーグン」でのジェゴグ公演参観、さらにリサイクルセンターと学校が併設
されている「グリーンスクール」、路上で行われる儀式、生活空間に溶け込む彫刻
などなど、様々なものを通してバリの様子を垣間見ることができました。

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さらに話は建築、美術、民俗学、考現学などなど多岐に広がってゆきます。

研究はフィールドワークで身に付く虫瞰的な視点と、文脈や歴史文化の検証・空間の
全体性を読解く鳥瞰的、俯瞰的な視点の両方が必要不可欠とのこと。両視点を
獲得する大切さと難しさ、そして学問の領域を超えた包括的・普遍的な知見を
獲得することと、社会に還元していくことの重要性を教えていただきました。

4時間に渡る反省会は、様々な分野や話題を素材に沢山考え議論する時間となり
揺さぶられるような時間となりました。どうもありがとうございました。


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この日、栃木県足利市の調査を終えてそのまま大学に戻られた先生からのお土産に
いただいたのは香雲堂の古印最中!同店は150年近く創業しており、包装紙冊子の
デザインはまだ無名であった頃の相田みつを氏が、貧しさに困って店主に頼み
込んで手掛けたものです。60年以上変わらぬデザインが使ってあり、一度目に
したかったのでとても嬉しかったです。


 

國 盛

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