2015年度の芸術文化企画演習の授業が行われました。この授業は今年度で最後になり次年度からは違う形の授業に生まれ変わります。
そんな芸術文化企画演習の授業ですが、本日はこの授業ですること、何が学生に求められているのか、この授業で行く予定の地域について、、全体のガイダンスとあるちょっとした訓練が行われました。
まず、この授業では先生がもってきた内容を学生が受け身でするような演習にはしたくない。
合意形成型のやり方で進めていきたいと先生からお話がありました。
また、学生がフィールドを持つことも重要であるとのことです。大学はある意味実験的な場であり、世の中ではない。この為、学生が実際の現場に行き、自らで地域住民とかかわり、地域の問題がどこに隠れているかに気付く能力が求められていて、気付いたら、どうしたら解決できるのかを考えることが必要であるとのことでした。
第1回目の授業では先生が関わってきた地域や人・もの・ことが紹介されました。
竹田市移住者定住者創出事業。下関市川棚・玉椿旅館。天草市下浦地区。天草市本渡・本渡第一映劇。平戸市飯良地区。日田市。田川市。八女市移住者受入事業。東条川疎水流域ネットワーク(兵庫県)、日本全国スギダラケ倶楽部。それぞれに関する地域特性、地域固有資源、課題の紹介がされました。
また、特別講師として内田洋行パワープレイスのデザイナーで、日本全国スギダラケ倶楽部の千代田健一さん、アートプロジェクトが専門の神戸芸術工科大学の谷口文保先生が来てくれるとのことです。
また芸術文化を活かした地方分権化という考えのもと、ドイツには文化権というのがあるそうです。
また、先生は学生から、なんで外の世界にいくのか、自らは外の世界には慣れていないのでやめてほしいと言われたことがあるそうです。
そんな時は、「学生生活の後は社会人としての生活がある。それは常に未知の人との遭遇と交流である。そこで学生には今から人に対するリテラシーを身につけてほしい。」とのことです。
先生の授業全体の概要の説明が終わったあと、あることをしました。
先生が区役所などからもってきた芸術やスポーツ、芸能、美術館、イベント、食べ物などに関するリーフレットを参加者で分類してキーワードを与えながら分類するというのが第一段階。この時、無言でせずに自らの分類の理由を言葉で表現しながらするというものでした。
しかし、慣れていないことに参加者は無言でなんとなく分類作業ー。出てきた概念をあらわす言葉もかたいものです。「事業」「まちあるき」「講座」「まちづくり」「展示」「演劇」「天気」
先生が秋には奉納の意味があるということを聞いて、納得したりもしました。
第二段階では、ひとりひとりに全体の上位概念を述べてもらいました。
ひとりひとりの捉え方の違いを言葉にしてもらうと、「冬の前に盛り上がる」「過ごしやすい」「秋が好きな日本人」「楽器の音のひびきがいい」「〇〇の秋って言ったもの勝ち」といった表現がでました。
これらのリーフレット全体の概念を短い表現にしていってもらうことになりました。
これをしたいという人はおらず、私が言ってみました。
「過ごしやすい活動しやすい季節に、街にあるものを見直し再び評価しましょう。冬の前にアクティブに物事に取り組もう」-ブブー。これでは30点だそうです。
「人間として生きていく環境には与えられたものがある。ある出来事がある物事をもっと魅力的にしていく。人間が関与することを通して芸術にしていき、それを価値化させる」
-ここまで言うことができれば合格とのことでした。
今見たものをより上位の概念をもって言語化するというのは非常に難しいです。物事の背景や理由を知らず、具体的な一つ一つの物事の好き嫌いや個人の感覚を言いっぱなしにすることは、なんて無責任で単純でやさしいことかと思いました。
それに比べて、責任をもってより上位の概念で物事や背景を捉え表現することの困難さを私は学びました。
岩 井