建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、九州大学藤原惠洋(ふじはらけいよう)名誉教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!

421日『文化資源の再発見と評価の方法』(藤原惠洋 先生)

日時:2015421日(130014:30

場所:2号館4階 アカデミックコア

出席者(教員)藤原、包清、藤田

(学生)11

 

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1.Culture Resource

私はまずCulture Resourceというのを少し考え直してみようと思う。地域社会に入って発見し、それを評価する。それが方法であるが、それは有意義なだけではなく、楽しくて面白いものであるということを、実際に行った天草市高浜フィールドワークを通して紹介したい。

 Culture Resourceを発見していくときの3つの指標というのは「文脈」、「矜持」、「紐帯」である。文脈は目の前に見えているこのまちや建物がどういう歴史的なできごとのなかで現在に至っているのかを考えることで、行事も含まれる。矜持はその文脈がもたらす地域の誇りである。紐帯は人々の結びつき、個人よりも多くの人の力を借りてするということである。
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2.高浜を事例として

1)高浜のCulture Resource

・天草市高浜を事例とすると陶磁器を作るための陶石の全国の約75%が天草で採取されている。有田焼や瀬戸焼もこの天草陶石を使っている。天草でもこの陶石を活かして高付加価値を付けようという努力がされている。しかし、過去には使われたが、現在は使われていない、うち捨てられたまま窯もある。使わない窯を新しい次の時代を作っていくためにデザイン提案の素材にしていくこともあっていい。

・高浜は昔、漁獲量が多くあった。そんな中、人々には見向きもされない魚がありそれを使って蒲鉾にするというビジネス起こした人物もいた。

・一方、海水浴というリゾートも展開したが、熊本市や福岡市から高浜まで行くのはとても距離があり、また他の地域にも浜はあるのであえて高浜まで来る必要はなくリゾートは衰退していった。

・港としてはものすごく繁栄したが、いまはトラックで天草陶石というのをあちらこちらに持っていくので船はもう使わなくなった。

・里山から植林した杉の木がたくさん獲得できるのでその杉をいかしたビジネスとして木工所ができ高付加価値を上げるために若手のデザイナーとのコラボレーションで製品を作るプロジェクトが生まれだしている。

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2)調査方法

(1)トランセクトウォーク

初めての場所に行って最初にトランセクトウォークをする。それは地域社会がどのようにできているのかというのをいろんな角度から領域横断方でぶらぶら歩きをしながらみていくことである。

方法:土地のことに詳しい人に説明をしていただく。

    事前に市史や歴史等について書かれた冊子を読んで調べておく

    たまたま出会ったおじいさんとおばあさんに声をかけて話を聞きだす。

目標:当該地に住んでいる人によそ者がきていることを見せる。村入りの部分は大切にする。よそ者がやってきていつもとは違う雰囲気をだすことで、当該地の人々の興味関心を誘い出すことができればとてもいいことである。

・現地にはあらかじめいろんな形(土地の歴史に詳しい方、人を紹介してくださるようなおじいさんやおばあさん、顔役、長老など)で事前にぜひ会いしたいということを連絡しておく必要がある。

・ある程度の知識や研究の経験値などが必要であるが知らなくても積極的に聞く態度が重要である。

・インスピレーション、印象、記憶などを持ち、参加者で出し合う。

・ミュージアムや資料館や展示館などでも再々足を運んで自分の情報原に使っていく。

・地域に沢山の情報を持っているキーパーソンとしてお坊さんと小学生たちにも話を聞くといい。

・お菓子屋さんや床屋さんやお米さん、お酒屋さん、豆腐屋さんは土地の情報をよくご存じなので突撃インタビューするには非常に適している。

・町のなかにはよそ者がみると「何だこりゃ」と思うようなものがある。それを見つけてピックアップすると当該地の人には新たな自己発見になるのでする。何だこりゃと思ったものは土地の人に尋ねる。

・まち中で得た情報とできことを意味として置き換えていく必要があるのでフィールドワークを意義付けるために、ディスカッションやミーティングが重要である。

・コンテクストは古い文献や古い写真や古いものがたりを知っているおじいさん、おばあさんに出会って話を聞く。

・地域の問題があるにもかかわらず、問題にすることができない人たちが困っているということに気付いていく必要がある。そういう気付いて支える行為をアドボカシーという。アドボカシー的な行動を生み出せるようになるといい。
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(2)評価をするための情報の出し合い。

・模造紙、ポストイットなどを使って一人ひとりが出した発言というのをその場でキーワードとして出す。

(3)懇親会

・美味しいものを食べるなかでも地域の食文化や歴史を学ぶことができる。

・自己紹介をやりつつ盛り上がる。より知り合いになるきっかけになる。
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(4)発表会

・自分か伝えようとするのを明示化していく。

・発表成果は最初の段階に過ぎないが、その成果が地域社会を再生していくきっかけになっていく。

・成果品を天草市の行政、住民、県や国からの機関に持ち込んで行って、沢山の人がここに駆けつけてくれて一緒になって考えてくれたりするような現場にしておけばいい。

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3.宗像調査に当たって

519日(火)トランセクトウォークとして宗像のまちを一日回るフィールドトリップをする。その時横断領域方の関心ポイントを書き取って回る。写真だけではなくて手持ちのノートにメモを取ったり、スケッチをしたり、現地でチラシやパンフレットやマップなどを集めて情報の蓄積を作りだして、みんなで合算してテーマ別にグループ分けをして取り組み、アイディア出し、その後の提案にもっていく。

 

・フィールドトリップの前後に関連冊子、データなど宗像市の情報を調べてみるのが望ましい。

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