建築史家でまちづくりオルガナイザーこと、藤原惠洋(ふじはらけいよう)教授の活動と、通称ふ印ラボ(ここで「ふ」の文字は意味深長なのでちょっと解説を。ひらがなの「ふ」は「不」の草体。カタカナの「フ」は「不」の初画を指しています。そのまま解釈すれば「つたない」かもしれませぬ。しかし一歩踏み込んで「不二」とも捉え「二つとないもの」を目指そう、と呼びかけています。ゆえに理想に向けて邁進する意識や志を表わすマークなのです。泰然・悠然・自然・真摯・真面目・愚直を生きる九州大学大学院芸術工学研究院芸術文化環境論藤原惠洋研究室というわけ、です!)の活動の様子をブログを介して多くの同人・お仲間・みなさまにお伝えしています。 コミュニケーションや対話のきっかけとなるようなコメントもお待ちしております!
6月13日(土)、九州大学芸術工学部にて「ソーシャル・アート・ラボ設立記念フォーラム」が開催され、当日スタッフとして出席しました。
KU

・ソーシャル・アート・ラボとは?
ソーシャル・アート・ラボ(以下、SAL)とは 、社会の課題にコミットし、人間どうしの新しいつながりを生み出す芸術実践を「ソーシャルアート」と捉え、その研究・教育・実践・提言を通じて、新しい生の価値を提示することを目的とした研究・教育・実践・提言を行う機関です。
「アート」を美術分野に限定せず、広義の芸術を示す総称として用い、作品という側面だけでなく実践的側面も重視しながら、環境デザイン、テクノロジー、マネジメントの観点からの総合的アプローチを試みます。

・今年度特に注力する取り組み
初年度である今年は、文化庁の助成を得て「新しい交流の場をひらく創造的なアート実践を企画運営できる人材の育成事業」を実施することになりました。事業の開始にあたり、地域づくりにおけるアートの可能性、持続的なプラットフォームづくり、九州・沖縄地区におけるアートマネジメント・ネットワーク構築の課題について考えるキックオフ・フォーラムを開催いたします。
より詳しい情報についてはSAL公式ウェブサイトへ。

・ 当日のプログラム
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会場準備の様子

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「ソーシャルアートラボについて」 尾本 章(九州大学大学院教授・ソーシャルアートラボ長)
基調講演
「大学 × アート × 地域:大学のアートプロジェクトを考える」 野田 邦弘(鳥取大学教授)
「地域づくりのマネジメント:効果的なプラットフォームをいかにつくるか」 飯盛 義徳(慶應義塾大学教授)

九州・沖縄地区でのこれまでの取り組み
ナビゲーター
大澤 寅雄(株式会社ニッセイ基礎研究所、ソーシャルアートラボ・アドバイザー)
中原 恵(福岡市文化芸術振興財団)

ゲスト
宮本 初音(福岡県・ART BASE 88 代表)
黒田 惠子(熊本県・河原町文化開発研究所 代表 )
福森 伸(鹿児島県・しょうぶ学園 統括施設長)
杉浦 幹男(沖縄県・(公益財団法人 沖縄県文化振興会 文化芸術推進課 プログラムディレクター)

演奏 芸工アヴァンギャルド・コンソート
「芸工に残された古楽器の試み」 解説:藤枝 守(九州大学大学院教授)

ディスカッション


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基調講演でまずお話を頂いたのは文化経済学会、文化政策学会等で藤原研究室とも交流のある鳥取大学の野田先生でした。SALが「科学と理性だけでは解決困難な社会的課題に対して、アートを用いて解決へと導く方法を模索する」ことを述べられ、そこから芸術がこれまでどのような社会的位置付けがなされてきたのか、前近代・近代の芸術観を踏まえられました。モダニズムの前進性が立ち行かなくなった芸術ふくむ社会の様相から、新しい動きとしてソーシャリー・エンゲージド・アート(SEA)にも触れられ、さらに創造都市論、セレンディピティといったキーワードを散りばめてフォーラム全体にかかる議論の土台を構成するお話を頂きました。

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次に基調講演をなさったのは慶應義塾大学湘南藤沢キャンパス(SFC)の飯盛義徳(いさがいよしのり)先生です。佐賀市生まれで、長崎私立青雲高等学校、上智大学 文学部を卒業後、1987年、松下電器産業(株)入社。富士通(株)出向などを経て、1992年、慶應義塾大学大学院 経営管理研究科修士 課程入学。1994年、同校修了(MBA取得)後、ご実家の飯盛教材株式会社入社されます。現在は慶應義塾大学総合政策学部教授であり、総務省 過疎問題懇談会委員、総務省 ふるさとづくり懇談会委員などを兼任されています。先月5月には「地域づくりのプラットフォーム」という著作を出版され、今回は著書で紹介されている「地域資源の資源化プロセス」理論を紹介し、さらにそれがどのようにアートと関わっていくのかをお話されました。


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基調講演の後は「九州・沖縄地区でのこれまでの取り組み」と題して福岡・熊本・鹿児島・沖縄からアートスペースやプロジェクト・文化政策や福祉、アウトサイダーアートに関わってこれられている専門家の方々にそれぞれの活動や社会と芸術の関わりについてお話頂きました。
ナビゲーターとしては先日の「九州大学芸術文化環境学会」にゲストとしてお招きした大澤寅雄さん(株式会社ニッセイ基礎研究所、ソーシャルアートラボ・アドバイザー) と、福岡市文化芸術振興財団の中原さんが席につかれました。 
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またゲストには日本における草創期のアートプロジェクトとして有名な「ミュージアム・シティ・プロジェクト天神」を主催されていた宮本初音さん(福岡県・ART BASE 88 代表) や、熊本県の河原町文化開発研究所 代表をされている黒田 惠子さん、 鹿児島で障害を持つ人たちの感性あふれる創作姿勢に魅せられ、工芸・現代アート芸術・音楽を中心に創造的な活動を行っている「しょうぶ学園」をされている福森 伸(鹿児島県・しょうぶ学園 統括施設長)さん、そして地域アーツカウンシルを沖縄で標榜されている杉浦 幹男さん(沖縄県・(公益財団法人 沖縄県文化振興会 文化芸術推進課 プログラムディレクター) がいらっしゃいました。

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各方面からの発表の後で、「芸工に残された古楽器の試み」と題して古楽器によるコンソートが行われました。藤枝守教授 による楽器と曲の紹介がなされ、穏やかな音色に皆聞き入っていました。

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ディスカッションの様子。「地域はアートを求めているのか?」という問いかけからスタートし、民営で手探りだったアートプロジェクトが官民一体事業として行われてきている現状についてその背景を自覚すべきであることなどの話は口角飛沫の様相を呈していました。
また時間不足でやや駆け足でしたが、会場からの質問にも触れられました。「アートは手段か目的か?」という質問に対しては「その問いかけ自体が実はモダニズム的発想からくるものであることを認識する必要がある」「地域づくりの文脈ではどちらもありうる」「無人島で絵を描くことが出来るか?という質問に近いと思う。芸術家は社会に貢献しようと思って居ないのに評価されることがある、しかし全く評価されるのを拒むわけでなく、人に観てもらうと嬉しくなるのも事実。どちらも求めることの結果ではないか。」などの意見が飛び交いました。

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懇親会の様子

(文責:吉峰) 

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